入江!合言葉を言え! かため!!

(沖縄で過ごした打ち上げからしばらく。半袖シャツといっしょに夏を仕舞い込んだ衣替えで、すっかりブレザー人口が増加した学内を生意気にもグッチの総柄Vネックニットを身につけた男が闊歩する。「まだ暑かった!!」と、調節下手のバカを露呈しつつ足音と共にガラガラ車輪のまわる音が混じった。橘鷹銀河は台車を押していた。)入江ーーーーーー!!!(1年1組の教室前。クラスメイトの名前を教室内へ吹き込めば、本人に届くなり誰かが伝達してくれるなり彼女を呼び出すことが叶うだろうか。いずれかでなくても痺れを切らして迎えに行くだけ。腕まくりした両手を尊大に組みながら、)365箱だったな?(入江と対顔するなり出し受けに突きつけた問いがまだ彼女の記憶の中に留まっていたならば何を指すか察しがつくか。台車の上にはプリン入りダンボールが山積み…ではなく、中くらいのものが一箱である。)それにしても365箱だなんて言い出すと思わなかったから流石に驚いたぞ。キミは1日1箱食べるのか? 賞味期限の関係で一気に365箱を持ってくるのは無理だったからな。これから毎日一箱ずつ持ってくることにした!(なにをどうしてか優り顔で悠々と告げた時、通行人の視線もそこそこ集めたことだろう。台車をポンポン叩きながら、どうだ嬉しいか、橘鷹様と呼んでもいいぞ等々、彼女の反応を伺いつつ「それでな」の新たな切り出しは彼女の視線を呼べるだろうか。)……食べきれなかったら、食べるのを手伝ってやってもいい!(いたずらげに笑うのは彼女の専売特許だったろうが、言葉裏に含ませた意趣返しに次浮かべるのはきっとそういうしたり顔だ。迂回した一緒に食べようが彼女に伝わるかはさておき、理解されないならそれはそれで過日の入江ように「バ~~~~カ!」と小学生みたいな悪口でやり返し、デコをつついてやるだけなのだし。)
橘鷹銀河〆 09/30 (Wed) 22:53 No.985
(もう真夏気分ではいられないというのに、ギリギリまで粘るつもりの無意味な半袖バカがひとり。ホームルームが終わり自由時間を手に入れたなら、花はさかる帰宅部の時間だ。適当な机に体重をあずけながらポッキーくわえたり駄弁ったり。おだやかで平和な日常が中断されたのは響く一声により。)は~~~い??!!!(声がした方向にデコを向ける。完全に自分を棚に上げて、大げさに眉をひそめてはやれやれ騒がしいなを顔に描いた。聞いた瞬間からわかっていた相手と対峙すれば、同時の問いかけにニヤケ面をさらして、)なにが~~???(得意げな彼を憤らせたくて紛れもないおとぼけをかますけれど、頭の中ではLINEトーク内の文字たちが踊る。さすがに傍らの台車が目に入り、できる限りで有言実行してくれたとの予想立てて次なる手を楽しげに笑んで待っていた。――しかし。弧状の唇がぽかんと開く。多大な願いを叶えきれず一箱に詰め込んでくれたものと、突然の一般論を浮かべていたから。「マジ~?!?!」目をかっぴらいて叫び、)ぶっ、あはははは!!!ぱくぱくするしか!サーティーワン超えじゃん!……ふふっ、持ってきてくれんだぁ。(起立し台車のまわりを行ったり来たりしつつ、輝きをのっけた両の目を彼の方へチラチラ。毎日宣言を受けて、こらえきれない興奮が破顔と一緒にはじける。「めっちゃうれしい!」「呼ばん!!橘鷹が入江様って呼ぶならいいよ!」ころころと表情を変え、どうしても下手に出たくない無駄なプライドが発揮されるのは相手が彼ゆえに。不意に挟まる言葉も音だけひろったら、目の前の表情相まってちょっと神経を撫でられるがままゆがんだ口を開いてしまう。)ハァ?もうあたしのなんだけど、ッ  い゛った!!!!?(デコクリーンヒットはもちろん自業自得。衝撃で頭が冴えたかも。)あ!(走馬灯が走ったみたいな感覚で過去の自分の発言と今がリンク。つついてきた手をひっ捕まえて自身の体近くでブンブンと振り、)毎日あーんして待っててね!(お返しのいたずら顔が想い見る365日。楽しくならないわけがない。)
入江小糸〆 10/03 (Sat) 22:01 No.992
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