秋山はさ、時間に余裕持って登校してる?俺は焦らずに遅め。

(開け放った窓から吹き込む熱風がいつの間にかそよ風に変わりつつある夏の暮れ。バカンスだの文化祭だの打上げだの、酔いどれそうになる程心地よく浴び尽くした非日常の光景がLINEのアルバムに納められる頃。気候としてはいっそ秋の気配を感じられる気さえするのに、飛行機に乗り慣れた夏の名残はいまだ胸に強く残っているせいでなんてことない日常にこそ馴染めないでいる錯覚が起きる現状。)家庭科部への招待状、時効が卒業までってすごく気長だよね。おはよ、秋山。(喧騒がたちこめる朝の教室内。後ろの扉から入室すればすぐ傍にある座席、そこに彼女が着いていた偶々のタイミングで声を掛けた。)覚えてる?おまえがマドレーヌ100点宣言してきた時の会話。(バターの香りを漂わせているらしいこんがりきつね色した魅惑の焼き菓子は泣けるほど優しい食感がするんだとか。)やっと巡ってきたからさ、行事が落ち着くタイミング。ここぞとばかりに話しかけてるよ。(メシテロの挙句食べちゃったのオチが付くようなしてやられた記憶を把持した侭どうして卒業なんて迎えられようか。幾ら待つのが上手く見えようとあと2年も機会を温めていたら彼女が好んで作る菓子の方がまったく違うものに変わっていそうな気さえする。いや今だってもしかすると。)そろそろ遊びに行きたいけど秋山の気はマドレーヌから逸れてない?逸れてたら戻して貰いたいけど。どう。(夏中ずっと関心を奪っていった幻の香りを植付けたのは食レポ検定1級でも持ってるんだろう秋山紘のきっとたかが気紛れなんだろうけど。よければもう一度気紛れを起してくれたら何より。噛めば染出るバターの味わいが季節を越えてくれたなら彼女のもとに留めた爪先が報われよう。願わくば、それじゃあまたいつかの放課後に。)
葉邑柊〆 09/25 (Fri) 23:52 No.968
(季節が移り変わるように味覚も四季を楽しむ一つ。初夏は真夏の予感に踊り、真っ只中は南国の気候を肌で感じ、終わりも忙しない日々で月日を過ごした。新緑の変化に抱く寂しさは否定出来ないが濃くなる秋の色を待つ心地はとっくに浮かれてもいるから、今日も今日とて前方少女の背中を突っついて変化を馴染ませていた。談笑終えて友を見送った際、声届く方向に身体ごと向き直しながらひとまず遅れてくっ付いた挨拶に軽く笑う。)おはよ葉邑。あはは覚えてる覚えてる。上手に出来過ぎちゃってだれかに伝えたくてしょうがなかったの、だから葉邑を巻き込んだあの日でしょ。……120点だっけ、あれ200点だったかな(電話は基本唐突であるもの、内容思い起こせばメシテロ含めた押し付け感拭えずとも笑い飛ばせる思い出話としたが、抜けたピースは冗談でない。向こう2年として送った招待状に込めた気持ちに偽りなんて混ぜていないけれど、彼から赴き持ち掛けてくれた事実があり現実となるなら喜色が堪らず滲む。)ほんと?!おいで!あっでも確かにうん……マドレーヌはもう飽き…うそうそ。いつでも待ってるからいつでも来て、今日の放課後は?(夏空はすっかり秋空模様、すれば関心向く先も変化したと眉下げは彼の狼狽を引き出す為だけに働いた。食べて欲しい。その気持ちが薄れることない真実でもあればすぐに明かした後、早速予定を取り付けようと伺う。そうして話がまとまったとしても踵返す素振りが少しでも見られるなら、この場に繋ぎ止めるみたく話題を放る。)あっ葉邑!この夏どうだった?(予鈴までの数分で収まる話かさて置き、唐突とも思えば「予鈴まで喋ろーよ」と足止めの魂胆晒せればすっきりした面持ちで勝手に隣席の椅子を引いた。サマ高の始まりのベルが校内に鳴り響けば)ありがと、じゃあね。今の葉邑の目、だいぶ浮かれポンチ。気配消しがんばってね。(透く青緑を映し、ヤブ医者再来。いつかの放課後は、体育組み込まれていない日が吉か。)
秋山紘〆 09/28 (Mon) 14:31 No.974
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