北村。体力増強は十分か?

北村、急用などは入ってないか?(来たる放課後。掃除当番諸々を終えたのち探していた黒髪を見かけて近寄った。事前に交わしていたやり取りで伝えていた通り彼女の都合を伺うよう声をかけて、特に問題がなければそのまま校舎を後にする。夏に比べて大分日が短くなったとはいえ、外はまだ十分明るかった。)遠回りしながら北村の家の方向へ向かおう。どっちだ?(寄り道ツアーを終えた後で彼女が問題なく帰宅できるようにと考えた結果の問いではあるが、方向音痴の男がどれだけ定めた方向へ逸れず向かえるかは分からない。迷子になったら最悪タクシーである。サングラスを額上に持ち上げながら勝り顔で語るは、)寄り道のコツはただ一つだ北村…『気になるものがあったら足を止めること』、それから『そのためにも視界を広く持つこと』だ!好奇心を撒き散らすのが大事だな!(ただ一つと宣言しておきながらボロボロ溢れる伝授のありがたみのないこと。歩くたびにアスファルトを革靴が打つ音がして、その穏やかな一定の間隔は歩調の緩やかさを物語っている。)だから気になるものがあったらすぐ走れ!そうこうしているうちにおそらくすぐ夜に… あーっ!(言った傍から駆け出し向かう先はよく見たら店に見えなくもないというレベルのひっそり営業している和菓子屋。)豆大福が食べたいっ!(今この放課後に求められるのは、こういう衝動である。)
橘鷹銀河 09/22 (Tue) 23:04 No.953
抜かりはないわ。(席を立ち、鞄を肩に掛けて共に教室を出れば昇降口まで向かう足取りは軽い。自宅の方角を指差し、二足の革靴が少し遅いペースで音を立てて道を辿る。派手なアロハシャツと対極にあろう制服姿の傍ら、同様に校則遵守の膝丈スカートを揺らしながら、されど頭上のサングラスが恰も当然の顔をしてそこにいるからバカンスでの気分がどうしたって抜けない。)なるほど…ふふ、何だか野良犬の先輩から散策の仕方を教わってる気分ね。(次いだ助言も相まってそれはより一層リアルを増すから、可笑しくて思わず溢す笑みは二人の緩やかな歩調を表すかのように和やか。晴れてよかったわね、だとか、制服似合わないわねだとか過不足のない雑談を振ろうと開いた唇は、しかし早速声を上げて駆け出した野良犬先輩に瞠目し)は ちょっ、と…!? ……はぁ…はぁ…げほっ…、え゛…?(殆ど反射で彼に続くように走り出せば、立ち止まった彼に追い付き並んだ時点で早々に息切れ咳込み。彼の手首を引っ掴んで)いきなり走り出すな…びっくりするから…リードつけるわよ……(現時点リード代わりとして掴んだ手首はそのまま、次いでいかにも地元の愛に支えられて生きているであろう雰囲気のある和菓子屋に視線を向ければ)よく見つけたわね。嗅覚?私も欲しい。 ごめんくださーい…?(窺うように掛けた声は控えめに小さく。店主の応答はなさそう?)
北村伊鶴 09/24 (Thu) 01:13 No.961
野良犬?今の僕らは犬ということか?野良ならば次に学ぶのは喧嘩の仕方かな。ふふふ…僕は喧嘩が弱いぞ…もうキミに教えることは何もない…。(曲解は否めないが、例え話であったとしても先輩という肩書に憧れる1年生は無駄な優り顔を浮かべる。誇れない事実を重鎮ぶった雰囲気で謀ろうにもあまりに情けなさすぎた。絶好の寄り道日和だなだとか、僕もそう思うからそのうち柄物シャツで登校してみようと思うだとか、振られていたらそのように弾んだろう会話が交わされることがなかった元凶の衝動ダッシュを制止するのは細っこい手のひらで、手首を掴まれたならぐんとつんのめる。背後から聞こえる尋常ではない息切れにぎょっと目を剥くのは振り返って彼女の風貌を確認した時。)だ…大丈夫か!?死ぬのか!? わかった!いきなり走るのはやめる!すまなかった!!死ぬな!!!(今にも吐血するのではと思わずにはいられない咳き込みまで聞けば、今際の際を感じさすがに大人しく言うことを聞く。飼い主となった彼女にリードを繋がれたまま「さっきまで野良犬仲間だったのに」と諸行無常を思って口をつくけれど自業自得の域であった。)ははは、犬だからな!…おお、嗅覚が欲しいのか。そんなに欲しいものか?(そうして孫の代までお世話になってます的な和菓子屋へ向けて控えめな声を吹き込む北村とは裏腹に、橘鷹はときたら「返事がないな!!」とへズカズカ入り込む。狭い店内を無遠慮に見渡して)む!豆大福の他に煎餅や羊羹もあるぞ。食べたいなぁ。 キミはここで買い食いしていく勇気はあるか?
橘鷹銀河 09/25 (Fri) 21:52 No.967
かっこわる………(思わず零れ落ちた感想はあまりにも正直かつ無情。そもそも喧嘩なんて強弱以前にやらぬが一番だと声を大にして唱えたい女子は、憂いとも不憫とも取れぬ些か言葉にし難い複雑そうな眼差しを先輩犬へ向けた。曲げる腰、咳込み揺らす肩はほんの数度。青褪めた顔はされどよく見なくとも平生とそう変わらぬ悪さにて、深呼吸の後姿勢を戻せば)うるさい、死なないわよ。心配しすぎ。そーい、過保護ビンタ。 はは。(驚き、此方を窺う深刻ささえ垣間見えそうな表情と向き合えば、平坦な掛け声と共にもう片方の手で彼の健康的な色白頬をぺちんと弾いて笑った。その笑みは次ぐ頓珍漢な切り返しにもう一段階膨れ上がり)…ばっか、欲しいのは嗅覚じゃなくて豆大福だってば!あっはは!なにアンジャッシュしてんのよ、いや別に嗅覚があっても便利だけども…ふ、ふふ、いや今のは私も悪かったわ…はーしょうもない…もー…… っ、とこらこらこら(嗅覚の必要性について殊の外本気で考え込む様が見受けられたから尚更笑えてしまった。余韻を引き摺る傍ら、早速掴んでいたリードがピンと張れば怖いもの知らずの相方に引かれながら店内へ。店主不在の商品を眺める姿は宛ら──)千尋のお父さん?あんた、この後豚になるやつだわ…(他人事みたいに細めた双眸は来たる未来を憐むように。振り向いた確認には、首を横に振り)いや、私は買って帰りたいだけだから、……あ!すみません、あの!(その向こう。よろよろ現れた耳の遠そうなお婆さんと彼越しに目が合えば慌てて呼び止め、間もなく会計を済ませることとなろうか。勿論、彼がイートインをご希望なら当然付き合うつもりで。)
北村伊鶴 09/27 (Sun) 21:27 No.973
はっ!?しまった、つい……………うぶっ!(頬に受けたペナルティに痛みは感じずとも顔が弾かれた方向に逸れる。ビンタされた頬を抑えながら「親にも殴られたこと……、あったな しかもグーだった」と常套句さえ決まらない。突如彼女の語調が笑声を増したのなら何事だと目を丸くするが、指摘を受けて考える時間が数拍あって、)………ああ!?通りで!!なぜ急に嗅覚なんか欲しがるんだ!?と思った!!ぶっっ あっはっはっは!!そこで嗅覚のフォローにまわる!?人が好すぎないか!?あはははは、すまないすまない、普通に考えたら豆大福だよな…ふふふっ くそ…あそこでストレートに返さなければコントができたかもしれないのか…。(ツボにはまったからには簡単に引かない笑いの波とズレた悔やみ。しばし笑い声をこぼし続けたまま、箸が転がっても笑うスイッチが入ってしまったから彼女の顔を見ても笑う始末であった。視線が店内の商品を物色する頃にはもう落ち着いていたが)…おいおい、犬の次は豚か?一人上野動物園をやってるんじゃないんだぞ! キミは千尋というよりリンだが…まあ気が向いたら豚になった僕を助けに来てくれ。(上野動物園に犬や豚はいない。馬鹿発言はさておき冗句はどこまでも軽く、彼女が店主の姿を見つけてくれたから無防備に札を置いて退店することなく無事に会計まで済ますことが叶う。)それじゃあ北村、歩きながら食べよう!(橘鷹の所望はこれである。豆大福を歩き食いする高校生は物珍しかろうが、男にとって譲歩のつもりでもあった。寄り道旅の第一ポイントを終えて再び通学路を歩みゆく行程に戻る。)
橘鷹銀河 09/28 (Mon) 23:31 No.977
(「可哀想。」簡潔な呟きはそれ以上でもそれ以下でもない感想。噛み合わぬ会話の可笑しさに声を上げて笑い合うことも彼とはさして珍しくない日常になることを、春の自分にはきっと想像も出来やしなかった筈。コントをしたがるな、と突っ込む声は笑いを引き摺る震えを伴う。相方の言動にいちいちツボに入ってちゃ到底漫才なんて成り立ちやしない。閑散とした店内の沈黙さえも可笑しくて、顔を合わせる度に頬を痙攣らせるくらい持ち上げて笑い合いながら。一頻り騒いで落ち着いた頃、視界に豆大福の文字が入ってフと肩を揺らす余韻ありつつ)そうね、あんたはどちらかというと一人富士急ね。 気が向いたらなの?絶対助けてくれー!ブヒー!じゃないのね。…やだ、いよいよ物真似までやり始めちゃった……(北村にとって橘鷹は常にジェットコースターのような男だから。親しさが深まるにつれて彼に対してうっかりが増えていく昨今、額に手を当て我に返りながら共に店を後に再び歩き始める。「家で食べようと思ったのに…」呟く声はされど、最終的に彼と肩を並べながらの食べ歩きを選んだ。包装を外して小さな一口をかぶり付き、傍らを見遣って顔を合わせれば)うん。普通ね。(ドラマチックな美味さはないものの、美味しい美味しいと機嫌良く頷きながら──ふと。)ねえ、楽しい?(投げ掛けた問いはいつかと同じもの。彼が覚えているかはさておき、今度は次いでまた唇を開けば)私って結構、その時自分が楽しければそれでいいと思う事が多くて、相手が楽しいかどうかはわりと二の次っていうか…基本そこまで相手の考えてることを深く気にしたことはなかったんだけど……。橘鷹と遊ぶ時はちょっとちがったみたい?無防備に時間をくれるからかしら。(「誰よりも顔に出て分かりやすいのにね、あんた」笑ってあっけらかんと伝えたのは揶揄い混じり、過日の答え合わせのつもり。)
北村伊鶴 09/29 (Tue) 08:43 No.978
(卒然と投げかけられる問いの聞き覚えは気のせいなんかじゃない。デジャヴを素通りせずに立ち止まれど、きっと過日と同じようにどうしたと言いたげな双眸が数度瞬いた。以前、沈黙で有耶無耶になってしまった問いの内訳を明かす彼女の言葉をひとしきり聞き届けたら、粉まみれの指先が自身の顎に添わる。)ふむ…?よく分からんが、誰よりも顔に出てわかりやすいならよく見てくれ!書いていないか?顔に楽しいって。 顔に『楽しくない』が出たら、その時不安になってくれればいいよ。(彼女自身も曖昧な様子が見て取れれば、無論この男も北村の言いたいことの全てを理解できたとは思えないが、あっけらかんとした揶揄が男に軽い調子を伝播させる。そんな時はおそらく訪れないだろうからと未来への信頼あってこその台詞だった。豆大福をまた一口齧って暫しモゴモゴいわせた後、)それは北村の優しさだと思ったよ。僕が時間を浪費してるんではと心配してるんだろ?違ったら悪いな!それが気を遣ってると同義なら、今すぐ頭を空っぽにして他の皆と同じように接してほしいところだが。 まあなんだっていいんだ!今この下校時間は、僕と北村さえ楽しければね!(気を遣ってるは、また多分違うんだろうと思いながらも、的確な語彙もない男だからすぐに思考を放棄する。暮れなずむ住宅街、電車の走る音、背負った夕陽が静かなまばゆさを放つおかげで伸びゆく影。けして果てしなくはないこの空間で、今この瞬間を楽しいと思えていればなんだって良い。)僕はな、今日も北村と同じ質問はしないぞ。今日は楽しいって北村の顔に出るまで帰れま10だからな! さあ次だ、歩くぞ!(指差す自分の顔貌。同じわかりやすさを彼女に求めて勝手なルールを課しながら歩き出せば、)いやあ、それにしてもこの大福 普通だな!(言葉のわりに、ごちそうでも食べてるみたいな笑顔だった。)
橘鷹銀河〆 10/03 (Sat) 00:15 No.990
(北村の中で他人よりも鈍感な印象がある彼には、多少の手間を掛けてでも言葉を尽くして伝えておきたい感情があった。ポケットから取り出したハンカチを彼の顎に押し付けて指先諸共拭わせる心算は、多少手こずるとしても譲らないつもり。そりゃそうだわ、と頷いてから改めてその顔を見遣り)そうよね。あんたに楽しくないと思われるのが一番怖かったんだと思う。みんなと仲良いから、橘鷹は。 ちょっと試しに『楽しくない』顔してみてよ。(覗き込む眸に好奇心が深まる。どんな顔が返ってきたとて、打ち返すは唇を尖らせて眉根寄せぶつくされた自分の『楽しくない』顔。傍目から見ればただのにらめっこにして、きっと何方からともなく零れた息がやがて笑いとなればいい。歩調ゆるやかに、ある種珍しくも感じる橘鷹の持論に素直に耳を傾けながら進む道。相槌はいたって穏やかながら、とある言葉がよぎったところで挟む口は拒否の意を込めて強く。)同じはもうムリ!だって橘鷹と遊ぶ時の私、普段の三割増しでうるさくなるもの!だからそうかそれならそれでいいぞあっはっは!って言って!(眦溶かした曲線一本の笑顔は、例え顔色が幾ら悪くてもそこには一切の無理がない事が伝わるか。真似た台詞はあくまで口調のみ、顔を合わせる度にお高くとまりたがる気性を年相応以下にまで引き摺り下ろしてくる友人の存在はひとえに新鮮で、存外心地の良いものだと知った。それをまさか橘鷹銀河から教えられるとは、少なくとも入学したばかりの自分は夢にも思わなかっただろうが。放棄された思考だって、橘鷹だから仕方ないと脊髄反射で受け入れられる。返答は彼の広い背中を掌で思い切り叩くのみにして、)私の楽しい顔はなかなか高くつくわよ。流石のあんたもそう簡単には引き出せないかもね…ホホホ。(そうしてまた傍らを見上げた所で『楽しくない』顔もといぶすくれた変顔を再現。それも、無邪気声高らかに放たれる普通を聞くや否や、途端に我に返ってぎょっと顔を歪め一人慌てて歩いてきた道を振り返ってから)バカ、声がでかいわ。(この夏一体何度指摘したか、ボリューム調節ねじのぶっこわれた横顔を睨むけれど、それもまた橘鷹だから仕方ないのだろう。こいつめ、相変わらずなんてかわいい笑顔だ。)
北村伊鶴〆 10/04 (Sun) 01:51 No.994
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