江坂さんそろそろ出番。

江坂見せて。(放課後となり部活に向かうなり帰宅するなり扉に向かう級友とすれ違って彼の座席前に手ぶらで向かった。通学リュックさえ置き去りで幸運にも彼の前席が空と分かるなり椅子を引き、背凭れに両腕を置くよう深く腰を下ろす。主語無き文法も伝わりへの懸念一切湧かなければその手が持つ物を期待して視線で促す。)どんくらい上達した?と言うか、江坂って美術部だったんだな。部活って普段どんなことしてんの、やっぱ絵描いたり?(余白なく重なる質問はまた新たに知り得た姿の詳細を求めて。南国で聴いた音色が響けば自ずと口は閉じるけれど、それまでの間はそうする理由もなければ気ままに動く。そしてふと気付く点こそ配慮に欠けていた衝いて出る。)てかここじゃないほうがいい?移動するのは全然オッケ。屋上とか開いて…ても、俺たち1年が行くのはまずいか。(放課後であっても教室内にはクラスメイトがちらほら残る現状。立ち上がりは彼の答え次第で。)
森地康太 09/21 (Mon) 21:43 No.940
おう。(たった二文字を投げ返した唇は微かな弧を描いていた。常のリュックに加え今日は一つ追加された手荷物たる楽器ケースはロッカーにて待機状態。彼が前席に座ったのを認め、ロッカーに入れておいたそれを回収しに立ち上がる。戻ってきた男の手には黒いケースがあった。)とりあえずそんな音は外さねぇようにはなってきた。校歌もばっちり。(軽口と共に着席し、早速取り出した夏の名残を軽く調整しながら)結構自由だわ、絵描いたり雑誌読んだり課題やったり。人によっては粘土こねたりもしてるし。(ポロン、と彼に聞かせるのは二度目の音色がまろび出る。そのまま家で練習する際の準備運動として弾いているドレミの歌を爪弾きながら、)や、いーよ。ここで。素人演奏だし、って開き直れるから、逆に。(趣味だとか遊びの範疇を出ないからこそ、不完全な状態だろうと彼以外の耳に入ったところでマイナス感情を浮かべる理由も無かった。所持の理由を問われれば「夏休みに花島の別荘あるとこで買った」とクラスメイトなら誰もが頷く内容を述べられる。)あ、そうだ。めちゃくちゃ遅刻だけど、これプレゼントな。(は、と一瞬見開いた瞳はやがて己の指先へと落ちる。ややあって確かめるように爪弾いた一音目は意図した音階、そのまま弾く楽曲は──前言通り、大遅刻のハッピーバースデートゥーユー。)
江坂匡 09/22 (Tue) 22:16 No.952
(簡素であってもこれ以上とない返事に口角を上げつつ、彼の動きを目だけで追えば超短距離復路に揺れる黒が初めてだろうが中身は言われずとも。語られた現状に感嘆の声を短く挙げたも決して忘れまい南国での音色が頭に響くから、直後笑いに揺れた。弾く指先を観察するよう注視しながらフリーダムであった活動内容に目弾き。)自由過ぎない?なんかもっと、コンクールに向けてひたすら絵を書くとか思ってた。俺がしれっと混ざってもバレなさそうじゃん。顧問だれだっけ。(イメージとの大差は惜しむものではなく笑い話と捉えて相好崩したまま、挙がる名次第では雲隠れの実現有り得ると共犯者としたい彼の答えを待つのみ。そんな調子乗りした面も久しいと思えた音が耳を打つなりすっと引っ込み、整いの邪魔せぬよう無意識に呼吸も潜みがちに。場所変わらず机と椅子が並ぶ教室は、その音色を響かせた風景と違ってやや閉鎖空間ではあるからこそより一層身近に感じられる。)は?プレゼント?(洩れた単音は素っ頓狂。緩やかに倒された首は贈り物となった節を届ける内は微動だにせず固まっていただろう。聴き終えた後、解けたみたいな笑みは照れ臭さを誤魔化せていたか。)ありがと。すげえ嬉しいんだけど、嬉しいから言おうとしたこと全部忘れたわ。ウクレレで祝われんの多分これが最初で最後になる。…いや違うか、来年もよろしく。(彼が祝ってくれる限り最後はその時。軽い具合で来年の取り付けを口にしながら)家族には見せた?ウクレレ。
森地康太 09/23 (Wed) 21:34 No.959
(会話と手元と、意識の度合いは半々だ。どちらともそれなりに受け止め組み立て発し、それなりにそぞろになる。ぽぺん、と半音外れた音がその証し。)そういう先輩もいる。けど、絵だろうが粘土だろうが、好きに美術っつうか創作?造形?してる部だわ、誰かの邪魔しなきゃ許される。(メリハリのある、と言えば耳障りは良いが、自由過ぎるの方が似合う場所は本日お休み。定年間近、問題を起こさぬならそれで良いタイプの美術教師の名を口にしたのを追うドレミの歌もファが終わって後半に突入してゆく。)混ざる?っつうか、遊びに来る?(まるで自宅に誘うかのような気安さで、連続した疑問符投げ掛けくく、と笑った。その声も南国の調べが上書いていくから、ドレミファソラシド全てが揃ってジエンド。指ならしはここでおしまい。さも今思い出したかのように言葉を装ったけれど、本当は連絡をもらった時からこうしようと決めていた。コソ練済みの一曲はどうにか耳慣れたメロディーを違うことなく辿ることが出来たから、最後の一音を放ち追えた時に胸に安堵が満ちて、それから彼の反応を見てそれは深まった。)どーいたしまして。いーよ、思い出したらで。……んじゃ、森地の誕生日祝いにはウクレレ標準装備な。来年は歌いながらとか……や、自分でハードル上げんのは止めとくか。(色好い反応に気を良くした唇がくるくると回るも、ふと冷静になれば勢いだけの台詞にセルフの制止。何かを奏でるでもなく、適当な和音を爪弾きながら)自分分も含めて土産全部見せる羽目になった、から真っ先に見せた。たまに酔った父親に何か演奏しろって絡まれる。(僅かに口元に現れた苦味をひとまずはゆっくりと流れる音に浄化してもらうこととして、)レパートリー増やしたい気持ちはあるんだけどな。何かいいのある?(他力本願極まった一言は問いの体裁こそ取っていたが、響きはごくごく軽かった。)
江坂匡 09/24 (Thu) 20:28 No.965
(程良い距離感に続き顧問の名が判明するなりいよいよ実行移すべく動いた口も、彼の誘いが数秒早ければ閉ざしは整えとしてすぐ答えを返す。)そのつもりだった。そこで課題片付けるつもりだけど、粘土楽しそうだな。まさかの才能あっちゃって、スカウトされたらどうするか…帰宅部退部か…。(悪巧みの含み笑いを彼が零せば釣られ上げた口角は、冗談染まり切った不必要の気掛かりが虚飾に真一文字。この機会願った立場であれば他を望む烏滸がましさも権利無しも承知としていたし、実際これ以上を巡らす思案が生まれなかったも満ち足りる心地をくれた音色はあまりにも温かくて優しかった。彼自ら期待持たせた直後の我に返ったような判断に噴き出す。)あーそのままやるって言い切ってくれんの期待してたのに。けど来年にはもっと上手くなってると思うし、そしたら客も集まって来そうじゃん。俺の誕生日祝いだけど。あ、じゃあ歌じゃなくてアレンジつけてよ、江坂なりの。(惜しがる声音は茶化しの軽さを伴えばジョークとして。サマリンで聞いた時よりもちょっと違うとはもちろん素人の主観に過ぎない。江坂家の息子としての彼の顔を垣間見れたなら)お父さんもうファンだろ、江坂のウクレレの。(困ずる表情に父親の心理を憶測しながら緩む口元は微笑ましく。問われて天井に視線を投げたまま)…童謡とか?あ、でもジブリの曲でもウクレレの音に合いそう、優しいし。(曖昧な選定を向けて、最終判断は彼に任せよう。奏でる指先を追う目線を一方で開いた口からは)あ、師匠のSNS。
森地康太 09/26 (Sat) 23:49 No.971
お、いんじゃね。それで才能開花したら芸術を志すきっかけは~とか聞かれたら俺の名前出していいからな。(満更でもない風に笑む口元から滲むおふざけの色はなかなか薄まらない。大歓迎と正面から言わずとも、この時間の延長のようにいつか二人、美術室にてふざけ合う日を望む心が弦を爪弾くようにほろりと震え揺れた。)ちげぇよ、今言ったらサプライズ要素無くなるだろ。(照れ隠しにしては雑すぎる理由を放り投げ、一度大きく息を吸って吐いて。一度だけの適当な和音は新たに息を継ぐために。)……余計ハードル上がってるだろ。あー、けどまあ、分かった。努力はする、してみるわ。グダグダになっかもしんねぇけど、来年楽しみにしとけ。(予防線めいた言葉を並べつつも、期待を持たせるようなエンディングへの着地を果たす。季節がちょうど一回りした未来の自分に今の自分が託すのは、結局のところこんなやり取りを重ねた日々の結実だった。それが騒々しいのか穏やかなのか、今は分からぬけれど彼との友情がそのままに育まれていれば良いと、そう思う。)けど翌朝大体頼んだこと覚えてねぇの。……あー、なるほど。ジブリはありかもな、めちゃくちゃ見たわけでもないのになんか覚えてること多いし。(指先ではなく鼻歌で奏でるのは森の中に棲む巨大な生き物の出てくる物語のテーマソング。それに紛れるように成された彼からの要請に鼻歌はフェードアウト、ポケットへつっこんだままのスマホを取り出しロックを解除した。その無音のタイミングで。くう、と鳴った腹の音の持ち主は小さく舌打ちする、さすがに聞こえてしまっただろうという自覚はあったから。)……ラーメン屋で見せるわ。そのために昼飯気持ち減らしたらもうこの時間でも腹減るのな。(ばつの悪そうな顔をしながらももう鳴るなよと言わんばかりに腹を軽く押さえて彼を見遣る。了承得られれば森地康太のための江坂匡ウクレレコンサートin教室はこれにて閉幕。人好きのする笑みを浮かべたウクレレ講師のSNSアカウントのホーム画面を表示したままのスマホから明かりが落とされ、再度明るさを取り戻すのは校舎を出た先になるだろう。)
江坂匡 09/28 (Mon) 20:50 No.976
(ふざけを受け止められて同じ調子で交わすキャッチボールは予想外でもなければ、調子乗りの口が静まる時はもう少し後だった。なんやかんやで取り組む素振りを見せてくれた人柄の温かさを改めて感じれば、礼告げた口元に携えた笑みに圧はなく。)覚えてないって相当酔ってんじゃん。てかそうなると……江坂も酒飲むと…?(言葉全て言わずとも探りを向けた視線の含みはふんだんに。彼の納得得られたなら安堵抱いた先、小さくも確かに耳に届く新しい旋律を聞こうと傾けを見越したように出所違いの音が打つ。向き合う人物は彼一人であるから無粋な問いは投げぬが、目弾きと反応窺う視線は真っ向から浴びせ視線かち合うなり吹き出しは致し方ないと思いたい。)いやごめん……予想外過ぎて…ふっ…。タイミング良いのか悪いのか。店着くまでに倒れるなよ。……あ、昼飯って言えばさ、幻の焼きそばパンって江坂聞いたことある?3組の奴らがこの前話してて…(そうして昇降口から廊下までは聞きかじった程度の話を共有し、すっかり秋めいた空気の中に微か混じる冷気が肌撫でるからラーメン屋へと向ける足は変わらずとも気は急く。しかし道中念願であったウクレレ講師SNSを拝見出来るとならば一時停止も視野に。)ああ……、ちょっとでも読めるようになった?俺は全然。笑顔からすげえ楽しいんだろうなってことは伝わってくるけど。(数週間で読解力の成長は毛ほどもなく、並ぶ文字を眺めてすぐに顔が渋くなる。それから程なくして目的のラーメン屋は幸運にも並ばずの入店でテーブル席へ。)俺は餃子定食。
森地康太 09/29 (Tue) 23:13 No.982
(交わす会話は爪弾く和音のようにテンポよく弾む。いつの間にか二人だけになった教室に、男の笑い声が響いた。)はは、どーだろうな?母親の方は強いから、似るならそっちがいーけど。酒飲むようになったら森地に確認してもらうか。(来年の次は二十歳まで放った、約束と呼ぶには軽い言葉に対する返答がどうであろうと。腹の音は消せないし、口元に浮かんでいた弧は引っくり返ってへの字になった。確かな嘆息向ける相手は勿論自分だ。)むしろ笑ってくれた方が助かるわ……。(多少の情けなさが滲むはご愛嬌。ウクレレ片付け立ち上がれば二人は一気に放課後に溶け込む男子高校生となる。「初耳だわ、どういう風に幻?」なんて応じながら、部活動に励む生徒たちの声が響く校内から玄関を抜けて校門をくぐる。薄絹のような闇が一枚、空を覆ったような色合いは季節が移り変わる狭間であることを示すようだった。)俺も微妙、ただ前より電子辞書は使うようになった。単語繋ぎ合わせる程度だけどな、例えばこれだと……(道すがらに見せた文字と写真の解読は入店を果たす頃には一時停止。漂う香りに暴れ始める腹の虫を制しながらも、メニュー見据えるレンズ越しの瞳は真剣だ。)醤油ラーメンにチャーマヨ丼足すわ。(注文終えたなら再びの解読大会、恐らくそろそろ地域の祭りで発表会めいたことを行うのだろう、と曖昧ながらも答えに着地したのを見越したみたいに二人分の品がやって来る。)ほい割り箸。あ、七味とか胡椒とかいる?(ひょいと掲げたそれの要不用を問うのは常の様子ではあったが、気安さが全面に出ていた。互いに丼の中身を自分好みにしたのなら、揃ってはい、いただきます。湯気のたつスープを前に眼鏡を外す、彼の前でそうしたのは南の島のあの日以来だったかもしれない。ずず、とコーヒーにも似た色のスープをレンゲに取って味わえば。)は、うま。すげー香ばしい。(美味いものを前にすると語彙力が低下する、これもまた夏を通した学び、だったかもしれない。麺に具にと止まらぬ箸がぴたりと動きを止めたのは数分後のこと。)この一番でかいチャーシューと餃子一切れ、トレード出来っか?(窺うような視線の先にいる彼の返答をただ待った。──食べ終わり外へ出れば時は夕暮れ、伸びた影が時の流れを示す。心も腹も満たされた心地で紡ぐのは)んじゃ、また明日な。(来年よりも二十歳よりも。明日を希う言葉が今、一番馴染んでいる。)
江坂匡〆 10/02 (Fri) 20:04 No.988
(義務教育抜けたばかりで未成年の階段は当分続くが交わす約束は単なる調子合わせではない。クラス変わろうが成人しようがウクレレの福音を当然としたい願望ある首肯だが、そこまでの重さ含めない動作はすんなり軽く。ゆとり纏う雰囲気がふと見せた隙に返した笑声は爆笑に相応しいが、引き摺り意図なければ一時の大波であるから廊下での談笑は穏やかに過ぎて行く。彼の頭脳に頼るばかりの思考は聞き役に徹するなら耳を傾けて。)ああ、ここそういう意味か。あれこれ江坂じゃん、違った。現地の人だ。(解読任せの現実がある上、とある写真に並ぶのっぷを見間違う冗句を交じる始末。対して脳みそ使用していないくせ道中の勉学にも染みた時間による加速した空腹は一丁前で、椅子に腰を下ろすなり腹を摩った。)替え玉無料で丼の大盛りも出来るから。(呼び出した店員が来る前のほんの数秒、教室での鳴き声を掘り返すようなお節介は敢えてか良心か。半々だ。再び訪れた解読大会に前のめる姿勢はスマホの画面共有を欲した現れであったが、もしこの場に電子辞書があるようならば検索を自ら申し出ただろう。そんな互いの努力実ったご褒美が湯気立ち上らせながらご到着。)ありがと。欲しい。(細やかな目線だと感じたもの口にする前に求めた手が何より先に出て、結局言葉はスープと共に飲み込まれた。心配りよりも友人としての響きを先に強く残したせいであったかも。二度目となる裸眼姿に注ぐ凝視は未だレア感放つ故。)はは、良かった。てか打ち上げが沖縄って凄いよな、年明ける前に感覚マヒしそう。江坂、沖縄は行ったことある?俺はある。(食べ進める様に安堵を見せ、次いで初海外仲間でもあった彼に伺う経験の否は幼少期を振り返ればちっぽけ優越を口に浮かべた。それから些細だろうが腹の満たしで彼に損が生まれる交換案には、空き皿に餃子を二つ乗せて元まで滑らせる。)遠慮せず食って。俺も遠慮なく。(確かに一番のチャーシューを箸で攫って早々に舌に運ぶ。食事の最中は箸の運び一途とするから会話よりも啜る音の交わしが勝ったか。冷気は嘘みたいに消え去った体感で分かれ道向く手前。)また明日。(おうむ返しであっても不足なければ、控えめな手振りを最後として現地解散。戻った日常に映る姿が増えた季節。そんな夏の音色と言えば?江坂のウクレレ。)
森地康太〆 10/04 (Sun) 00:54 No.993
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