小田仁希ちゃん♪

(客足が落ち着き、店番大好きなお姫さまが手持ち無沙汰になった頃合い。背後から水色の君を認めれば、静かに迫り──)ば! あははっ!攫いにきたっ♪(両肩に手を乗せて軽めに驚かす作戦。その瞳が振り返るなら、映るのは紺地に白い蜻蛉が描かれた浴衣に身を包み満面の笑顔を浮かべたクラスメイトの姿があろう。黒髪はワックスで涼しく上げられているから、彼女曰くおぼっこさからは幾らか遠ざかることが出来たかどうか。一方的に手を掴んだ所で他の店番ちゃん店番くんへ「小田さんしばらくお借りしまーす!」と一言残し、その手を引きながら一緒に教室を後に。)本当にずっと店番しててびっくりしました。おもしろいお客さんいた?(掴んだままの手は払われぬ限りはそのまま繋ぎにシフトチェンジし、ぷらぷらと前後に揺らしながら問い掛けるのは彼女の好きなことについて。)おれはしばらく水風船を補充してました!で、部活のほうに少し顔を出しにいって〜その後隣のクラスの子と吹奏楽部の演奏を聴きに行って〜それから あ。(指折り数えながら自分の本日のスケジュールを振り返る最中、隣を再び見れば)小田さん、今日はみんなにちゃんといっぱい褒めてもらった?(たくさん綺麗にしてたくさん店番してたくさん頑張っていることは本人の動向の全てを追っていなくたって理解に容易い。例えばその浴衣の色や柄が、髪型、化粧が小田の顔立ちや体格に似合っているかどうかとか。そういう厳密なことは一切分からないけれど)今日は特別可愛いね!(それがこの男の率直な感想であることは、少なくとも小田仁希であれば疑いなく受け取ってくれる自信があった。目映そうに細めた瞳、「見せびらかし、」平生と変わらず自然と溢れ落ちそうだった二言目はされど途中で呑み込み沈黙数秒、)…たくないな? あははっ、誰もいないとこ探そ♪(校内、人混み賑わう声を背中に笑い合う浴衣姿の男女一組。その後の行き先を知るのは二人だけ。)
秋吉かもめ〆 09/19 (Sat) 10:12 No.903
んなぁっ!?(頓狂な第一声が室内の注目を集める片隅、陽気な人攫い宣言の主なんぞ詮ずる迄もないから振り返りざまの睥睨は茶番めいて。文句垂れるより先物珍しい風貌を視界が捉えたら「わ!」と短な声が上がる。)すごい!いつもとぜんぜん違うふうに見える。似合うね、かわいい。雰囲気もちがう。(動くたんびに飛ぶ蜻蛉へ真直な称賛が唇を割ったらまじまじとでこっぱちを眺めてからもう一度、「うん、素敵。」はしみじみと。斯くして「さらわれます、どうも。どうも。」と当番でもないのに居座った射的のエリアから手を引かれるまま離れたら殷賑極める廊下と徒行する下駄が陽気に転がる。)キッズ達に手玉に取られたり、輪投げにそこそこの躍起になる他校生とかきたの。売上に貢献しちゃった。(導火線みたいな結び目へ視線を落としたら仄かに熱を持ち始めるから、「誰も見てないだろうに、みんなの前だとちょっと照れるね」と胸の内を素直に吐露してもほどくことはしないまま。)前から思ってたけど、秋吉くんてほんとうに友達作るのがじょうずだね。なに演奏してた の、 ?(充実したスケジュールへ感嘆の声を上げながらご相伴に肖らんと感想を求める傍ら、ふっふっふ、と喜色を抑えきれぬ笑みが零れる。)うん、朝から志真が褒めてくれたでしょ、褒めてくれない子はかたっぱしからオラオラして褒めさせたの。(褒め言葉強請りヤクザと化した数分前迄をあっけらかんと唇に乗せたら満足気には一匙足らぬ顔貌で、予め用意した「でも」は然し唇を割る前にお役御免。)ひゃく!なゆた!てん!(今若し小田の言葉が目視できるならスタッカートに音符付きで跳ねていることだろう。出鱈目採点は天文学的な数字を持ち出す程、耐え切れぬ破顔一笑が同時に空気を砕破したら「待ってた」とにやつく唇の端っこを噛み締めるが当然のようにでしょでしょやったあと続く筈だった言葉が二度目のお役御免。へ、と笑みで固まった表情がへちゃむくれに崩れる。)ええ。うそ、そんなにかわいかった?さては秋吉くんお気に入りのおもちゃは使わずに自分だけの箱にとっておくタイプ?(可愛いを強請りまくる癖に過分だと思わずには居られない評価には羞恥心と気後れが先立って、疑問符にははにかみが滲む。然して誘われる掌の先には一番星みたいなとっておきが待ってるから峻拒の選択肢は無い。逃避行の緞帳が上がる。)
小田仁希〆 09/21 (Mon) 01:03 No.925
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