なにケーキ好きなの、今日買いに行くか放課後。（登校途中、登校後。どちらにせよ彼の元まで歩み寄って、おはようの挨拶を済ませた二言目に飛び出た問いの意図は本日の日付で後は何も語るまい。頷きが返って来るなら昨夜見たバラエティ番組の感想になるが、もし振られるなら「は？」「先約あり？俺なんも聞いてない」恥ずべき台詞がつらつらちくちく刺すばかりであったが、もちろん誕生日ユーモア溢れた茶化しであれば後日とするだけ。そうして迎えた放課後、出入り口扉から少し遠ざかる後方へと彼を迎えにやって来た。）一番後ろ最高じゃん。一回席交換しない？こっちもまあまあ先生と目が合うベスポジ。（到底実行叶わない対価の差し出しは浅い笑みを引き連れて。そんなやり取りを経て、学校近くの洋菓子店に潜る込む後ろ姿は一体傍からどんな風に映るだろう。ショーケースに並べられた種類豊富なケーキと彼とに目線を配りつつ、ひとまず第一声は。）あんま高いのは割り勘。ホールとか止めろよ…と言うか三国って甘いのいけたっけ。なんか話したことあるようなないような気もするんだけど、思い出せない。俺たちいつもどんな話してた…？（今更の確認に初夏を思い返せば彼の姿は至るところにあるもの、肝心な答えを掴めないむず痒さと内容浅くも濃い記憶に笑みが浮かぶ。ともあれ千円以内で何かしらを選ばせ、店を出た際に菓子の入った箱を差し出した。）おめでと。じゃあまた明日。（現地解散は名残残さずあっさりと、すれば互いの家路を辿るだろう。”別にそんなことない”から今は何段目か。）