みっくん!今日はキミがシンデレラだよ!

みっくん、見てくれ!!(9月15日、橘鷹は160サイズの段ボールを抱えて教室に飛び込んできた。彼の席前に立つなり机の上にドン!と置いた味気ない茶色の箱は、)びっくり箱だ!!(男曰くそうらしい。開けてみてくれ開けてみてくれと急かす眼差しははついに口にも出るし、もしも三国が開けるのを躊躇う素振りを見せたら自ら開け放つぐらいには堪え性がない男である。開いた瞬間バネで人形が飛び出してくるだなんて仕掛けは全くない宣言詐欺で、箱の中身はいつか好きだと言っていたヤンヤンつけボーとピュレグミが手加減なしに詰められるだけ詰められていた。更にはスポーツメーカーや専門店で買い漁り詰め込んだ靴紐は、体感は全部繋げたら地球を一周できるぐらいのひとかたまり。彼の反応をワクワクしながら待ち何かしらのリアクションがあれば、)誕生日おめでとうみっくん!(顔を見るなり言いたかったお祝いを告げる時、待ちきれなかったぶん笑顔を弾ませる。)ははは、通話をした日から早くこの日が来ないだろうかと待っていたんだ!あ、見てくれ!この靴紐は光るんだぞ。三国のバースデーいい国作ろうぜ!(段ボールの中からLEDライト内蔵の靴紐をつまみ上げて見せ、踏めてるんだか踏めてないんだか定かではない思いつきのライムを刻んだ。)それから僕と遊ぶ時間…は、僕が欲しいだけだな!ちょっと散歩に行こう、みっくん!星は出ていないが!(午睡のまどろみも到底訪れぬさわやかな午前。今誰よりも星でいるこの人を前に、まひるのに空に隠れた星座を探す必要はない。)
橘鷹銀河〆 09/15 (Tue) 23:01 No.824
出た。来た。(嵐のような男を待ち侘びてしまった自分の完敗だった。「おめでとうは?」と強請る口吻はあからさまに浮かれて、けれど想像をゆうに越していく男の所業へ戦々恐々も否定出来ない心地。戸惑より一歩先行く感興孕んで箱の中身を暴く顔はクリスマスの朝の子供みたいだった。)うっ  わあ…。はは、マジ。  マジかきっくん。(面映ゆく鼻から抜ける笑みは抑止力を失って、腑抜けた声が思い出したように)ありがとう、すんごい嬉しい。でもさあ、あのさあ、前から思ってたけどさあ、きっくんて、(ふすすと収束の気配を見せぬ笑みを呼気1つで嚥下すれば、)だいっぶバカだよね。(甘ったるい暴言が唇を割ったら地球一周目指して駆け出したい心地で紡ぐ「ありがとう。」はこの日きっと何度でも。)向こう3年くらいヤンヤンつけボー困らなさそうじゃ うっわなにこれ!?俺の足二本しかないの知ってる?(手を突っ込んだ箱からみょ~~~~んと長い靴紐の塊を掬い上げ失礼ながら正直な所感。「待って光ってるしこれなに!?」「この柄ヤバくない?」「かっこいい紐が目立たないって何事」と迎え撃つ感想も弾みに弾んで、手首にどっさり巻き付けた靴紐は元来の趣旨を違えていても今日という日を愉快に飾り立てていた。)お前の計画を前に俺降伏イェーだよ。(碌なライムが刻めないのは嬉しさの所為と責任転嫁して、「ったりまえ」と椅子を蹴らんばかりの勢いで立ち上がる。退屈知らずの此の男さえ隣に居たら例えひるなかの奇跡を見つけたってゴミ屑と捨て置いちゃう自信だけ、あった。)
三国雪緒〆 09/17 (Thu) 21:19 No.866
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