上埜新太を私の城へ招待します。

(店番を交代した所で、恐らく同タイミングで抜ける準備が整ったであろう級友の彼と顔を合わせれば手招き。1-1の縁日宣伝用手作り団扇を片手に、共に教室を後にすれば足取りは迷わず。灰色の混ざったような薄紫地に白い椿の花が描かれた浴衣は当然下ろしたて。黒髪を編み込んでねじって低い位置で纏めたシニヨンに挿すとんぼ玉の簪までもれなく指差して傍らへ)ねえ、どう?感想。(敢えて言葉少なに尋ねれば、YESとNO以外でなるべく多くの言葉を引き出そうと試みるが果たして。自分より余程暑がりな印象のある彼を時折団扇で仰いでやりつつ、足取りは迷わずに行き慣れた道を進んで、辿り着いた先は保健室。我が家のように躊躇いなく扉を開ければ、無人の室内から先生は不在であることが知れるだろう。冷房のよく効いた家ならぬ城だ。)涼しい〜……店番お疲れ私たち。まあゆっくりしていきなさいよ。(我が物顔で冷蔵庫を開ければ、予め入れておいたペットボトルのお茶を取り出し一口。半拍置いてから「飲む?」と彼にも差し出してみようか。それから本日はまだ誰にも使用された形跡のないベッドに腰掛け、片手で空いてる椅子なりベッドを示しながら)ちょっとだけ休憩ね。どこか回りたいところ思いついた?
北村伊鶴 09/10 (Thu) 17:33 No.708
(体力を要するとすれば立ち仕事が続いた事くらい。店番終了するや首を回し、大して気合が入っていた訳ではないが気持ち切替え目当ての彼女の元へ向かった。行き先を告げずとも進む団扇に自然と続きながら、視界にて揺れる裾を見遣る。「感想、」指の動きにつられ、目線上げ同音を繰り返すのは思念の時間稼ぎのために。)良いと思う。褒めろって言われたから今日ずっと見てた。(頷きつつ放つは単純な答え、ついでに経緯を添えれば真実味が増そうか。目指す場所を知らぬとて行動に拘りなく、隣からそよぐ風も無遠慮に享受する道すがら。やがて目先に保健室の札が姿現したなら成程と納得漂う横目を隣に流し、)保健室だけ電気代高そ。……北村さんちか?(疑問符投げるも躊躇いない爪先をかの城に侵入。ほぼ黒色の浴衣纏う背の汗が引く感覚実感する傍ら「今日は気にしねーの」と僅かに瞬き問う。ただし聞くだけ聞いて受け取り飲む。促されるままベッドに程近く置かれたパイプ椅子に座り、)おー、お疲れ。2年生のどっかがやってたガチャガチャコーナー面白そうだった。(自由時間故に持ち出したスマホ画面上、雑に撮影した出し物一覧の写真を出して見せる。)そういや差し入れ食ってた時なんであんなはしゃいでたわけ。(冷涼の魅力に浸るひと時、現況の発端とも言える件に触れようか。)
上埜新太 09/12 (Sat) 00:29 No.739
(良いと思う。いたって簡潔にして明確な褒め言葉を受け取り、礼は返すが)今日ずっと見てたのにそれだけ?…は、流石に欲しがりすぎか。上埜も格好良いわよ。いい体してるわ。(自己完結を終え、次いで返す言葉の後掌で広い胸板を一度だけ軽く叩き。北村家を否定する理由はない為、そうと簡素に肯定し)もう気にしねーの。私ばっかり意識しても恥ずかしいだけだもん。運動部共通の文化なのかしら。(彼の喉を潤し終えた所で返してもらいながら、巡らせる想像は幾ら深めた所で経験のない自分には到底辿り着けない結論。落とした視線の先、足を前後に揺らせば腰掛けているベッドが軽く軋む。興味の唆られる言葉を聞けば、再び顔を上げ、向けてくれた液晶画面を眺めて相槌数度)…いやだからはしゃいでないんだって。あんたは一体誰のどこを見てたのよ。ぼんやりマン。(即興で名付けた渾名は雑極め。)どうせあれでしょ、あのLINEも休憩の時に馬渕に言われたからでしょ。(ジト目、浅く寄せた眉根と尖らせた口は少しだけつまらなそうに。)ああ別にはしゃがないんだな、ならきっと怪我もしないな、じゃあもういいかサヨウナラ はやめてよ?
北村伊鶴 09/13 (Sun) 03:30 No.775
(思うが侭告いだ評価に不足訴えられるや眉間に皺刻み、)他の奴らみたく上手い言葉見つかんねーし。  なるほどな、俺の体目当てか。(彼女からリテイクは飛ばず、まるで感想お返しを受け険しさ消すも、言葉と衝撃通り汲み取って自身の胸元へ視線落とした。軽くなった容器をその手に戻し、相手なりに此度の問題を落とし込んだ様子看取すれば最早何も言うまい。「もう遅いしな」と湿った唇で後の祭りを語る。)ゼリー食ってた北村さんの口。ぼんやり見てるっつーこと…?(語尾に足されるよう賜った渾名に対し察し悪く首傾げると、ちゃちな作りの脚部分が金属音を奏でた。音の方に一度視線遣り、)なあ言ったろ。顔見て喋る方がよくね。原始人だっけか。(彼女の指摘は誘いの声掛けが突如の物だったなら満点予想、けれどそれは文字応酬の延長線故に。過去をさらうなり矢庭に立ち上がって程近くの薬品棚に爪先向け。自然ベッドを背にする傍ら鼓膜に己の行動予見する物言い届き、正面向けば双眸とその先に陳列する品々の間を硝子が隔てる。映り込むは座す彼女の姿。)…浴衣しっかり着て、んな顔してる女子置いてかねーよ。(一拍置いて戸を開き、物珍しさが為液体入った瓶を手にとっては、)これなんの液。(振り返り城主もとい保健室の常連へ問う。何の変哲も無い消毒液だが縁薄く知らずして。)
上埜新太 09/15 (Tue) 04:07 No.812
(皺を刻む顔と対照的に双眸を見開いた。見つからないということは、)探しはしたのね。(離れた眉が元の位置に戻り可笑しそうに、されど何より嬉しそうにはにかんだのは正直な感情だった。その一言だけで十分満たされたのだから現金な女だ。体が目当てかなんて言葉を彼の口から投げられたら、それもまたおっかしくて声を上げて笑った──が。)く、口…っ?!(予想外の箇所に思わずぼっと上がった体温。裏返った声で咄嗟に片手でその部分を隠したのは、この女にとって完全に無防備な場所を一方的にマークされていた事実に対する羞恥から。)なんで口…?いや、あんた、やっぱりよく分からない男ね……ぼんやりっていうか……謎………(渾名は早々に改められ、上埜新太への理解は益々遠のいた心地。此方の様子なんて我関せず、マイペースなまま尚も話を続ける謎男に瞬きは自然増えようか。)つまり、ただ連行するための口実だったって話?(どうやらこの原始人はどうしたって文字だけの遣り取りだと億劫になってしまうらしい?答え合わせをするみたいに傾げた首を一度戻せば、でも実は、ともう一言だけ付け足した。)暇な時とかにあんたとのLINE読み返すのもわりと楽しくて好きよ。殆ど頭使ってない感じが。(薬品が入った硝子棚に映る自分の顔は自覚していたより不機嫌そうで驚いた。ベッドから腰を上げれば、数歩で傍らに並び)知らん。でも飲んじゃだめよ。流石のあんたでもお腹壊すと思うわ。ねえ、(浴衣の袖を指先で摘んで引く。)さっきの一覧、もう一度見せて。ガチャガチャだっけ?
北村伊鶴 09/16 (Wed) 02:39 No.835
(相貌に携えた鋭さが長続きしなかったのは彼女に円やかさが覗えたが故。)誰のどこって聞かれたから。喋って食ってたら見るくね。(眼前隠された口元を不躾に指差す。当然のごとく自分基準を述べれば何やら問答繰り広げる様を尻目に注意を音に流した。「なんか悪い奴みてーな言い方だけど合ってる。」と口端上げるなら表現に気分を合わせ不敵さを若干漂わせて、)相当暇だな、それ。程々にこれからもよろしく。(振り返りに時間を割く気概を知らぬ性がまず感想を宣う。遅れて言い回しはどうあれ頂く好ましさを受け、未来を願いながら僅かに目尻細めて。間接的に見留た姿が気づくと今や隣に。見下ろす先の即答が鼓膜叩くや、同様すぐさま口唇開き、)いや、飲めなさそうってことは分かる。 ん?(関心失った瓶を仕舞った後、弱くも察知可能な感触につられ短い声音を発す。)な、袖。離せよ。手使えねー。(伏し目がちに言葉にて控えた抵抗翳すも自ら振り払いはせず、腕が解き放たれる期は彼女に因るか。来たる折相手が真直ぐ見れるようスマホ上部を親指人差し指で挟み、先程の画面をもう一度。)これ。……つか、北村さん体力切れてたんじゃねーの。保健室直行だったし。(体勢そのまま問うは現在の場所に招かれた時からの疑問。肩が触れるに近い距離で影を落とす。)
上埜新太 09/18 (Fri) 04:12 No.877
見るくないわ。……うわ、悪そうな顔。(指差す手を払いながら、んなわきゃないと一刀両断。見上げた顔に悪役よろしく見事な薄ら笑みが映るものだから、此方もまた揶揄うようにその鼻先へ指差し。)いやだからさぁ……。暇って自分で言うのはいいのに、他人に言われるとこうも腹立つのは何かしらね。程々にとかわざわざ言わなくていいの!(定期的に言葉の選び方を指摘しては意味が合っているならいいだろうと交わされる言葉の応酬は、二人の間で既に様式美になりつつあるかも知れない。飾り気の無い、感情そのままを音にして伝えてくる彼の言動ほど信頼のおけるものもないだろうが。言われるがまま離した指先は、向けてもらった液晶画面を上下に滑らせたり拡大して確認後、ふと視線を持ち主へ持ち上げて)だから終わって速攻で回復しにきたんでしょ。あんたとはこのあと文化祭たくさん回って遊んで、それから…(手持ち無沙汰な指先が後頭部を飾る蜻蛉玉に触れつつ、傍らから逸らした眸が保健室の窓越しにグラウンドで盛り上がりを見せる運動部の出し物を遠く眺めながら)沖縄の打ち上げで、ジュースで乾杯するまでが決定事項よ。忙しくても一瞬でいいから顔貸しなさいね。(そこまで言い終えた所で漸く意識を室内に引き戻し、瞬き一つ。再び顔を見上げ、さて。)上埜のいい体を学校中に見せつけにいきましょっか。(彼曰く、体目当てらしい一言は勿論態と。先程の其れに負けず劣らずの悪どい笑みと共に。)
北村伊鶴 09/19 (Sat) 03:24 No.897
(室内双方荒くもない声がそれなりに響くのは、白を基調とした静謐な空間が故に。彼女の物差しに基づき迂闊な物言いを刺されたとて、けろり平常を貫く質が大きく変化する事は今後も無いだろう。揺蕩う疑いは直様晴れた。納得に値する理由存じては頷きながら、)ガチャガチャと、そうだな。クラスのやつのたこ焼き食いに行ったり、(相手の無音の隙間、思案が叶い抑揚持たぬ口吻で思いつきを重ねる。視界の隅で硝子細工が艶めくさまを捉えた折。耳朶打つ音が先の話を予感させるなら、「おー」と是を紡ぐ一方で、)なあ、いちいち命令みたくしなくても俺がしてーからすんだけど。(幾多の指摘貰う立場で言えた義理でないが彼女の言い回しに芯が撫でられ、意思が唇を割って出た。されど次いだ言葉がパズルピースのごとくかち合うから、)そうそれ。(瞬くも真顔維持しつつ短音を転がす。己の軽口を拾い、悪役染みた色を濃くする様子は虚弱の印象と些か遠のいて。屹立のまま改めて彼女の出立ち眺めるや自然口開き、)北村さんが、……着たいもん着て笑ってんのが良いと思う。(果たしてこれが見つけられた解答か、採点は今でなくて良い。即座「こっち」と発音にて方向示唆し、魔王の城を後にしようか。後ろを振り返らずとも後々傍立つ最中は視線を注ぐ。白椿、結髪、蜻蛉玉、並び歩く足音。)
上埜新太〆 09/21 (Mon) 13:57 No.936
(「江坂が頑張って量産してたヨーヨーも釣ろ。」冷やかしと紙一重の提案も上埜が相手ならどうせ了承されるだろうから、最早単なる相槌代わり。良いも悪いもはっきりした物言いが印象的な様、その上更に通話をブチ切られた前科も加味した上での振る舞いに珍しくも物申されたなら、素直に驚き瞠目し)…それは、失礼……(咄嗟に謝罪以外の言葉が出てこなかったのは、そう多くない時間の中で築かれた自分の中にある、恐らく世間一般とそう変わらないだろう上埜新太像が、本人の発した一言で覆ったから。瞬間追いつかなかった思考は、別に誰かに急かされている訳でもあるまい。落とした視線の先で咲く椿の花柄を見詰める双眸は、次ぐ彼の声に再び持ち上がって和らぎ)肉付けしてくれてありがとう。なに、さっき私が不満そうだったか あ、ちょっと。(無駄を嫌いそうなその口唇が何を原動力にその言葉を発したか、現時点この女が知る術はないだろうが。すぐさま浴衣を翻して一足先に歩いて行ってしまった彼に追い付くべく、数歩分の距離を早足で詰めればまた隣へ。向けられる視線は痛い程。此方が彼を見上げれば、その目が合うのは容易い筈。「…もしかしてなんだけどさ、」と切り出したのは、あれから黙考し暫く経ってからの話。)私、これまで上埜が言おうとしてきてた言葉、結構邪魔してた…?(彼の意思を聞いた瞬間、それを新鮮だと感じた事実が何より自身の罪悪感に刺さって抜けなかった。)
北村伊鶴〆 09/22 (Tue) 16:04 No.949
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