ゆるゆる卓球部員巽さん

(土曜授業に倦怠感漂わせ、机に肘付く傍ら蝉の鳴き声を聞く午前が終わった。担任が教壇から降りたのを目視するや自席の斜め後ろに移動する。中身少なめのエナメルを肩に掛け出立準備は万端の状態で、巽さん、と呼び掛け彼女の机に影を作ろうか。)集合みたく言ったけど出発一緒だったわ、行くか。(朝方LINEを送っといての気づきを落とす。相手も準備が整えば教室の沓摺跨いで「腹も減った、後でなんか食う?」と自身の買い物以外の目的が曖昧故に、人任せの無考えを覗かせて、)ポンポンパシーンの語呂が良すぎて頭ん中ずっと残ってる。(徐にメッセージの遣り取りを蒸し返しながら目的地へ歩を進めてゆく。つい数日前まで鮮やかな夏空に見守られ、スポサンやらビーサンやらを履き慣らしていた爪先は開放感を享受していたが故に、スニーカーの窮屈感が暑苦しい。程無くして辿り着く、朝間高校運動部員の味方の地。壁にフロア案内が掲げられた入口付近にて立ち止まり)タオルってどんなん。(未だ部活動に勤しむ彼女の姿を想像し難く、必要物についてもぶれぬ表情の下情報収集から。)
上埜新太 09/05 (Sat) 22:27 No.660
(滲む汗と蝉噪を煩わしく感じるより先、教師が午前の終わりを告ぐ。ペンポーチに筆記具を片すさなかに机に伸びた影の正体は双眸が確かめるよりも鼓膜揺れるが早い。)現地集合やったらどうしよとおもってた。(責める意味合いなど把持せぬ口端から笑みが漏れて、頭上と視線交わればおさげの毛先が跳ねた。さっさと制鞄の中に荷物を仕舞い込んだなら、上履きが廊下を踏みしめる音響かせると共に心窩部を擦って「わたしもお腹空いた、何の気分?」はこの後に向けた同意。目的地への徒行も連れ立つ存在があれば、蝉時雨に然程意識は奪われない。)あはは、自分で言っといてなんやけど語感いいな~って。ポンポンパシーン。これでわたしが卓球部ってすぐ思い出せる?  でも体育館蒸し暑すぎて、選ぶ部活間違えたかも。(桜咲く季節の選択に静かに眉根寄せたのは拘りの無さ故に。館内冷房に半袖から顕になった腕を擦るけれど、フロアマップを仰ぎ見たなら「上埜のはここかな」と指差すは水泳グッズの記載ある3階。エスカレーターの左側に身を寄せては、)スポーツタオル…?ちっちゃいハンカチタオルやと使いにくくって。(一先ずの目的地3階に降り立っては彼についていく心算で緑の眸を伺った。)
巽志真 09/06 (Sun) 17:11 No.669
現地集合のつもりで隣歩くな、それ。(仮に言葉通り事が進んでいれば失敗と言えよう内容が柔らかさで包まれ、妙な並びを想像させる雑談と化した。「甘くないやつ、良いと思ったとこに適当に入ればいいんじゃね」、一度唇結び思案の表情浮かべるも追って答え未満を返す。確信は持さぬとて道中何か芳しい物が見つかる気がするのは食欲に基づくアンテナがひとつでなくふたつだから。軋る音より彼女の口吻で鼓膜を満たす事欲し、コンクリ踏み締めながら淡々と会話連ね、)忘れねーな。後悔すんのはや、水泳部くる?冬は走ってっけど。(未だ高校生活の冬を迎えてはいないが経験上を述べて、部活に対する嫌気の理由が余りに気安いなら、旋毛に向けて流す目線に軽口も添える。標的探すべく案内を辿る視線と彼女の先端がぴたり合わさり首肯、してその背に着いて行きエスカレーター数段下に位置取り手摺に腕乗せて、)へえ、そんくらい汗かくんだな。俺の買ったら2階。(離れゆくマップの文字を細目に見て次も決定。間も無く目的階にて自らのターンのため先立って歩み始める。シーズンスポーツなだけあり苦労せず見つけたエリアに並ぶは多種多様のスイミンググッズ。その端を一瞥しては、)……、これ。買ってくるわ。(思考時間はほんの僅か。変哲も無い黒のゴーグル手に宣言してレジへ直行、会計済ませて戻りもまた早く「じゃ、下」と下り方向を身体反転で示そうか。)
上埜新太 09/07 (Mon) 22:26 No.679
(彼の気分がざっくりとしたジャンルに分類されるのを聞き届けるや、地面が照り返す日射しも気にならぬ朗笑が溢れた。どちらかと問われれば剛毅果断大なり優柔不断のふたりと判断、「そうしよ」の肯定に時間は要しない。)走るのは全然いい、持久走大会のスニーカーも役に立つし。でも、(根本的問題点を種明かしする寸前の口吻は自分でも可笑しくって少し震え気味。)わたしろくに泳がれへん。(折角のお誘いがどこか勿体ない気がして、唇尖らせて拗ねた素振り。エスカレーター後ろ向きで応酬に興じるのもあっという間だから、後れ取らぬようにと二本の爪先は寄り道しないけれど、視線だけはあちこち泳ぐ。)ゴーグル、   え。待って。はや。(即断即決の様相に瞠目も僅か、先刻の思惟が的中と知れば会計終わりの頭上に「決め手は値段?」と問うのは雑談の一環に過ぎない。今度はエスカレーター数段上からその背を見下ろす形となって、「結構上埜焼けたなあ」と与太話を告いでは手摺りに片肘が乗った。斯くしてタオル売り場に降り立てば、辺りを見渡してくるりと一回転。手近なところに陳列された黒地にPUMAのロゴが白でプリントされたタオルを手にして数秒の思案顔。とはいえ、そのかんばせから然程の拘りがないことは明白か。)これにしよっかな。  上埜はほかに買うのある?なんでも付き合うけど。(返答次第でレジに向かうか否かを決める算段。)
巽志真 09/08 (Tue) 19:16 No.686
(運動話から以前の持久走話題に発展し、凪いだ記憶想起しては逆説を特別違和感なく聞いていたが。条件満たさぬとてあくまで冗句は滑らかな言い草で以て、)初心者歓迎、アットホームな部活。(ウィンドウショッピングの趣味が無い故の潔さを発揮する傍ら、彼女の視線右往左往に気づけば足取りだけはやや緩む。しかして途中迷いや誘惑に駆られる事も無く、相手のもとにまるで直行直帰し、)まあ、それと別に使えりゃいいし見た目はどうでも。今のやつ耳んとこが千切れそうだからすぐ欲しかったんだよな。(一点のみの購入のためシールで済ませたそれをバッグに捻じ込む。次の階に向かいながら向けられた、夏の感想の原因と思わしき首裏に手を当て「海のお陰?」と満更でない視線を後方へ。己と異なり時僅かであれ商品を吟味する様を眺めて、)いんじゃね、いや、特には。(短い言葉のあわいに目線上げては気遣いに一旦無用の帰結。)あ、ポテト食いてー。巽さん小腹空いた時大体何食うの。(やがて彼女の追加購入があるなら同行し、用件済んだなら腹の虫に忠実な希求を投げる。出口を目指す徒行の供に、巽さんレベルを上げんと質問も兼ねて。)
上埜新太 09/10 (Thu) 14:11 No.706
わあ。(冗句と存じていても、何割かは素直に受け取ってしまう性分だから感嘆の声は自然と。)めちゃくちゃ入りたくなったから、見学行こっかな。(顎先に大仰に指押し当てて思案顔も僅か数秒、何がとは表現しきれない愉悦で頬が緩む。選択の理由を知るや、そのシンプルさが耳障り良くて成る程の首肯ひとつ。一段後ろから前に向けて手摺りに乗せた片腕を伸ばしたなら、彼の腕とのコントラストを見比べてごちる。「わたしも焼けたはずやねんけどな」。斯くして今度は己の番となる買い物も良しの評価と追加がないと知るや、会計までの道程もあっという間。片手に引っ提げた紙袋揺らして、お待たせは小さな会釈が告いだ。)わたしもナゲット食べたいとおもってた。(腹満たす目的地の合致を暗に示しては、爪先は出口の先の一歩を決定。)んー。家なら煮干し。(思惟にそう時間は掛からないけれど、「学校とかやとカロリーメイト」は一般論に寄せる。)レベルアップ。おめでとうございます。(過日の応酬を擬えたら足取りが軽く弾んで、外気で汗ばむ首筋も気にならない。「でも、」と続いた逆接は蝉噪と裏腹に静かに落ちる。)こうやって答えてって、上埜がレベル上げに満足しちゃったら、わたしに興味なくなる?(何時も通りのトーンで言い切る声はまごつかず、「あ。マクド。いい?イヤ?」は数十メートル先に見えた看板を指差した。)
巽志真 09/10 (Thu) 22:19 No.717
(端的な戯言も反応あれば色づき2人の間を流れていく。延長線にて己より幾分も細い腕の隣に褐色並べて「真っ黒になりてーの」何処か惜しさ感じさせる口振りに対し、眉を軽く動かし質問未満の感想を付した。レジ向かった背を見送って、適当な柱付近で待つ事僅か。視線持ち上げ再会を見留めてはまた先んじて下った先。求めた塩気にコンボのごとく加えられたメニューが齎すは暗黙の了解だ。爪先の行方定まるなら看板と遭遇するまでの道程、)……猫? お、人間。(短くも状況に富んだ返答が追加の彼女情報として刻まれ、)そう言われると達成感あるな。(言祝ぎは純粋に芳しい響きとして耳朶に染みる。それ故か到達点を示唆する物言いが己の脳裡に新しく渡り、ん?と小さく声落とし耳を傾けた。)まだ全然低レベじゃね。真面目系芸人、虫が嫌い、絵は棒人間、あと頼まれてわざわざ聞いてっから友達思いだと思う。(それは至極滑らかに紡がれる疑問符だったから、瞬刻一拍挟んでは彼女との過日を想起し歩むリズムに乗じた所感を。「腹鳴った。マクド。」やがて大衆が好む赤黄の看板が視界に入るや独特の発音を鼓膜に残し、やや口端上げたのち。)巽さんも食う?(注文後獲得した2人席で前方へ差し向ける摘んだ1本の芋。)
上埜新太 09/13 (Sun) 00:42 No.767
(口先突いた今一歩の所感は「ちゃんと南国行ったんやなって体感したくって」で過日を名残惜しむ理由付けと共に小麦色に届かぬ腕を空いた片手で撫でた。夏の気配残した侭のアスファルトの照り返しに目を細めるも、)煮干し食べると頭が良くなりそうやからニャ。(猫との感想に淡々とした口調の果て語尾で戯けたものの、遅れてやってくる羞恥心で視線は伏した。テンポ良く刻まれる巽像は耳障り好く、現今の真面目ぶった顔貌など一瞬で崩れ落ちて朗笑が呼気と共に出る。)あは、それだけやとめっちゃ変な人そう。(最後のひとつを聞き届けるや僅か眉尻下げたとて、きっとドナルドが店頭でいつもの顔をしているのに出くわす頃合い。正面の席に座してストローの紙を破くさなか、眼前にある一本には言葉が先か前のめる体躯が先か。)いただきます(彼の指と反対側を二枚の唇でキャッチ。嚥下のちストロー突き刺してウーロン茶を一口煽ったなら、「おいし」の端的な声音と共に此方のナゲットもひとつ摘まんで腕伸ばし)どうぞ。  そういえば、(ナゲットの行方は彼に任せるとして、ふと思い立ったかのような、けれど少し震えた口振りが追随するのは先刻の。)教えてない。上埜に教えてもらったこと。言いたくなかったから。(手元のハンバーガーに落ちていた眼差しが一区切り終えたところでワンテンポ遅れて翠の眸を捉える。)だからたぶん、友達思いじゃない。
巽志真 09/13 (Sun) 20:25 No.783
(魚イコール猫の安直。彼女のノリの良さを疾うに存じていれば、隠れた双眸を態々追い掛ける事は無く、)まじか、徹底してんな。(好物1つにも拘り感じ感心の色を瞬きに乗せた。夏の日を思い出すなら間違い無く一緒に浮かぶだろう事柄の数々。恐らく正解と見て列挙したそれらに朗かな評価下され、淡い不満が小さなへの字の唇を突く。)事実しか言ってねーんだけど。(マックの顔たる彼の前を過ぎた後、レジに立ち注文並べる内単品では済まなかった挙句の軽食達を前にして。指先から去る感触の先、食む姿はやはり猫かと独言ち。塩味のお裾分けに対し己にも向けられたナゲットを手で受け取り、)おー、どうも。(マスタード掬って直様口に含むなら咀嚼に集中し、次いでコーラを求めていく。不意の声で漸く持ち上げる目線。息入れの随に震動を見る。)……、友達思いじゃなくても巽さんは良い奴だと思う。(否定形が重なる上に律動は疎ら。かの様相は苦渋に因ると仮定し、自ら断じてきた心証翻し言葉で添おうと。店内流れる軽妙なBGMの方が、余程穏やかに2人の間を通ってゆくか。)なんで。好みの髪型くらいじゃ参考になんねーから?(ささやかな問いを投げる。不変の美味が約束された、チーズバーガーに大口開けてかぶりつきながら。)
上埜新太 09/14 (Mon) 20:51 No.798
そんな顔せんで。(彼の唇が描くへの字を捉えた果てのそれは、事実を享受した上の謝罪にも似る。背もたれ固めの椅子に座して、猫と評されれば小首捻る程度。指先から一塊が離れたならハンバーガーを包む紙を音鳴らぬように引き剥がす作業に移ろい一口食む。さりとて耳殻打った声に唇の動きは一時停止。自身で否定した巽像を彼の言葉が掬うから一度逸らしたかんばせは喜悦と躊躇が入り乱れてきっと歪だ。言葉纏まらぬ侭に脈打つ心臓だけがいやに煩くて、店内のPOPサウンドがちぐはぐに響くこと幾許か。疑問符に続く仮説が鼓膜から脳髄にまで届けば、静かに首を横に振ることで否定の意は伝わるだろうか。)あの日何で急にそのジャンルって聞かれて、うまく答えられんかった理由が自分でも分からんくて、ずっと自分のなかで探してたんやけど。(過日の記憶はずっと引き出しの一番上だ。時間を掛けて漸く辿り着いた解はもう覆らない。)わたしが上埜の特別になりたいとおもったから(一拍いつもの心臓とは別物みたいに胸が脈を打っても、とりわけ相好を繕う意味は見出せないから真っ直ぐ見据えた侭に、声音が少し震えてもかんばせに躊躇の色は浮かばず)誤魔化すのはわたしもきらい。  好き。上埜が。(言い切ってしまえば、存外指先が冷えていることに漸く気付きを得る。視線が行き先失った果て、手許のハンバーガーをひとくち囓った。)だから、わたしのこともっと知りたいっておもって、いっぱい考えて。
巽志真 09/15 (Tue) 12:01 No.815
(散々並べ立てた彼女像を引っ繰り返したその時、自身にとって腑に落ちる解釈を表せたなら続く問いへの首振り否定も心象波立たない。己の違和感投擲した星の夜と同じく何故をぶつける果て、またしても疑い排した顔貌で以て明確さを待つ。――眼前にて言葉を選ぶように呼吸挟む様相を見つめてゆく。最中も養分を欲する口は在る故機械的に噛んでは飲み込むものの、唾液ばかりが生成されて濃味の判別がままならず。相槌だけが胸裡の主導権を握っていた。しかし過日と異なる率直な物言いを受ければ口端を些か緩ませて、)やっぱ、はっきり言われんのが好きだな。(所業への好き嫌いが瞭然とした呟きを落とす傍ら、視界では彼女が食を再開しようか。反してトレイに半分になったバーガーを置き、言葉を流しかねない飲料に手を伸ばす事もなく眉根寄せつつ、)そんで。巽さんのこと知ったり考えたりは……、俺は、特別とか関係なくできんだよ。(平素意識のぼるなりよーいどんで飛び出す思惟は数度歯茎に引っ掛かり、されど一度瞼を伏して上げた重力に後押しされて漸く出てきた。)だから、巽さんの好きと俺の好きは違う。(途中面差しに浮かんでいたひずみは失せて、偽り無い親情の輪郭を明らかに。汗掻き始めたカップの表面を指先でついと撫でる。)
上埜新太 09/17 (Thu) 18:48 No.863
(そもそも胸中を明かすことは不得手ではないけれど、此まで知ることのなかった緊張にバーガーを囓る舌先は味を覚えない。とて何の挙動も伴わないで待つことも叶わず、彼の紡ぐ声を待つように視線は彼が寄せた眉根を追った。耳柄を打つ口吻に意識は集中して、嚥下によって腔内を空っぽにしたなら首を縦に振ったのは理解を示す一挙だが、)それならいまから一緒の好きにしたい。しよう。(強気の口吻を絞り出すちぐはぐさは自覚済み故に、机に乗せていた指先が冷えて震える。鼻から吸った酸素を肺臓に貯めて、結んで開いてを繰り返す掌に視線落としたのはそれが言葉になるまでの一瞬のこと。双紫で捉えたのは彼のそれを真っ直ぐに。)まだ諦めたくない。あかん?(傲慢な願望と存じるから眉のあいだに皺を寄せて下唇を噛んで、一度温めた指先を飲み物のカップに伸ばしたなら返答聞く前に喉元潤した。ふたりのトレイの上が空っぽになれば、「帰ろっか」はどちらの声掛けが先となるか定かではないけれど自動ドアを潜る。その先互いの帰路につくべくして別れ際、肩に掛けた鞄の紐握り締めていた指先が徐ろに三つ編み止めていたゴムを外し、ウェーブに癖ついた髪を指先で解した。)上埜。(一歩隣に歩みを寄せれば、自身のハリボテの眼鏡を外して余程の拒絶がない限りそれを彼の耳と鼻に引っ掛けるべくして、背伸びと共にかんばせの距離は僅か数センチ。眼鏡はそのまま、バイバイの前に伝うは一言。)意外と巽さんかわいいなってドギマギしたらいいよ。
巽志真〆 09/17 (Thu) 23:01 No.873
(彼女と同等を明け渡す事叶わなかったが、本懐を包み隠さず述べた相貌は常の仏頂面を呈す。只中視界にて此方に注がれる視線と頷く所作を感知したがため、一拍ののち相手の唇から紡がれるは、過不足無く己の言い分鑑みた返答だと愚直に予期していた。しかして空気震わすそれが異音として耳朶撫でれば表情筋は強張り、)それなら?俺の話聞けよ。(ぴくりと片眉上げては緩慢な動作で以て首を横に倒し、正面へ言を投げ掛ける。他人と親交深めるにあたり快い返事が全てではないと自認するものの、いかんせん幾らか、けれど確固たる齟齬が生じ再び眉間に皺を刻んだ。鈍感にすら何某かの情動感ずるに易い程、彼女の双眸が行ったり来たりする軌道を眺める。やがて内実を告げられ咀嚼する傍ら、苦い面差しを映じて、)良いかどうかは巽さんの勝手じゃね。(まるで数歩後ずさった位置から提言する心地だった。いつの間にか平らげていた軽食の後始末をするべく二人分のトレイを持ち席を離れ、帰途に着くまではあっという間。並び歩く背を夕焼けが覆い、此度の終わりの兆し見せよう。無心で前方注視する一方だった折、馴染む声を聞いた。「あ?」と短音発し、認知を経てまじろいだ果て、異物の感触と彼女の接近を察す。)  なに。たいそう・パーフェクトな・女の子にでもなんの。(数度目にした姿容がそこに。去りゆく真夏と同様、熱り冷めた呼気落とすや規則的に心臓が鼓動する。別れの言葉受けるなら「またな」と挨拶付して、級友との明日へ向けてひらりと手を掲げた。)
上埜新太〆 09/19 (Sat) 05:00 No.901
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