なるほど、旅行あるあるだね！！僕もよくやるが、あらたがやるとドジっ子感が出るな！！（ぼやきに見合わない声量を上埜へぶつける。幸運なことに二人揃って集合場所へ行きたがった男の首根っこが掴まれる事は無かったが、「そんなドジっ子あらたのため忘れ物は念入りにチェックしなければ！」と悪気なく発した言葉は小突かれるなりの報復があって然るべきではあった。基本的には上埜の後を追うようなダブルチェックでその逞しい背に付きまとっていいた矢先、視界に呈された見覚えある袋に内容物の連想は容易い。）それは僕らの初めての共同作業！ははは、あの実験昨日の話じゃなかったか？（時の流れの速さを大仰な口ぶりで笑い飛ばしつつ、それが彼の荷物へ詰め込まれる様を見届けた。部屋と廊下の境目を跨げば、長い間寝泊まりしたこの一室への愛着に後ろ髪を引かれる。）大丈夫さ、僕もあらたもキレイだし！暴れていないし！（力強く同意を返せば、そういう話ではないと一蹴されかねないレスポンスだって上埜ならば大真面目に相手をしてくれるんだろう。サンダルをつっかけるだけで準備を終えた男は、廊下の先を眺めて油断しきっていたものだから）……！僕もだ。僕もだよ！（嬉しさを咀嚼するのに少々の時間を要したものの、聞き覚えがあった言葉は自分が綴ったものだからに他ならない。今一度伝えるべく明度の上がった顔貌は今にも飛びつきかねない勢いを有しているが、肩を組むだけに留めておいて真夏の太陽にまたねを告げる。背に食い込む日差しが、背中を押してくれたようにも感じた。）