（8月29日の月は美しい。真珠のように膨らんだ月が微笑む夜空にら「ねえ〜〜」と間延びした母音が響く中庭にて、備え付けのハンモックに腰掛けぷらぷらと七色が揺られていた。彼女がどれほどの所要時間を経て来てくれるかは甚だ不明だが、必ず来てくれると信じるのは今日迄の日々が実証してくれる筈。然すれば碧眼は室内からやってくるであろう級友の姿捉えんと忙しなくあちこちを動く。はっと人影認めるのはいつ頃だろうか、いつだっていいんだけれど。ピョンとハンモックから飛び降りるなり）しま〜〜！（薄暗い中だからブンブンと大仰に手を振って存在をアピール。此方からも距離を埋めていけば、程無くして二人の瞳も見合える位近くになろうか。）しまお誕生日おめでとーね、今日どうだった？楽しかった？胸キュンした？（眦細めて首傾ぎ、）やっぱさ、楽しくて胸キュンするくらいの誕生日がサイコーだよねってことで（自論展開し、）ハイップレゼント♪（後ろ手に隠していた物を両手で差し出す。小さな紫色のベルベット纏った箱は所謂パカッが出来るそれ。「いくよ」とはムードも無く、指先に力込めて開けばゴールドの星々が散りばめられたデザインの細いチェーンブレスレットが御目見する。）しまが付けてくれると嬉しいな〜って思って！好みじゃなくてもたまには付けてくれる？（お誕生日様に強請ってニヒと悪戯に笑う。自身の手から主役の手へ箱が渡れば、月までもが祝福している誕生日を飾れたことを心から幸せに思って、もう一度寿ぎを。）