今日が“シマの人生”スタート日ってことだよな

巽さん、どっか行く前に少し時間くれ。(祝いの言葉が飛び交っているであろう朝食の場。タスキが無くともそれらを受ける中心にあり、本日の主役は目に見えて明らかだろう。彼女のリクエスト叶ったエッグベネディクトを食べ終わる面々が出始め、それぞれ今日の予定に繰り出す頃。一旦会場を後にして戻った仏頂面は、既に移動始めていたにしろ未だ席に座すにしろ、本来施しを受ける一方である彼女に求める言葉を投げた。)まあ改めて言っときたかっただけなんだけど、これ。(様々楽しい思い出作りに勤しんでいる印象持つ故に手短に済ませる心算で己は立ちの姿勢のまま。物指す口吻と共に差し出したるはオレンジジュースの缶。自らと彼女の手に冷えたそれが渡ったのを確認すれば徐に掲げて、)巽さんの誕生日に乾杯。(棒読み甚だしく、いつかの彼女のように気の利いた口上を述べる事はないが単純に今日という日、目出度き主役に向けて。軽く缶と缶とをぶつけ合わせたなら薄い音が鳴る。プルタブに指をかけ開封の後一口あおり、)どんくらい今日が楽しかったかまた教えてな。(迷いなく淡紫の双眸に伏し目をかち合わせ「おめでとう」と漸く本題を紡ぐ。この日を彼女が楽しくするという点に関しては何も憂慮が無いのでその先を希求し、じゃーなと踵を返した。)
上埜新太〆 08/29 (Sat) 07:31 No.568
? うん、いくらでも。(祝辞に包まれて、好物で腹の虫が満たされて、これ以上ない多幸感で椅子に根を張っていた。最後の一口を味わった頃合い、耳殻に慣れた声音が響けばいっとう瞬きが喜悦を弾く。腰据えた侭に隣に立つ彼を見上げては、口吻につられるように彼の指の中へと意識は向いて意図を理解するまで然程時間は掛からない。二枚の手掌を差し出せば迷いなく受け取る心算は伝わるか、立ち上がったなら簡単に臀部は浮いてそう根っこは深くなかった。)あはっ。乾杯。(いつかの応酬を擬えた棒読みの音頭に、左右両方の口端から笑みが漏れたのはきっと自然と。嬉しいとか面映いとか言葉にすればいろんな感情の筈が単純に笑顔と成り代わったのは、相手ありきだ。)うん。今日のこと、LINEする。そんで、日本帰ったらまた遊ぼ。(胸裡の雀躍が当社比2倍で弾む口吻から伝われば良い。プルタブ押し開いて喉元潤せば、オレンジの甘酸っぱさが腔内に広がって、それから。)ありがとう。めっちゃうれしい。(手向けられた五文字を脳裡で反芻したなら、オレンジがこころまるごと包むような感覚。その背を見送るさなか、気がつけば冷たく汗かく缶を大事に二枚のてのひらで抱えていたのが、きっと何よりの証拠。)
巽志真〆 08/31 (Mon) 02:16 No.602
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