ピ~リカピリララ、志真。

おはよ、起きて。(22日の朝、平素高齢者のような生活を送っている女にとって早起きはわけないこと。扉を軽くノックし同室者を起こさぬよう部屋へ入り込めば、ルームウェアの侭大荷物を巽のベッドに上に広げて振り返る。)世界一かわいくしたげるね。(人選ミスとは言わせん気概で手持ちの服を広げて、また巽のスーツケースを勝手知ったる手際で引っ繰り返す。几帳面に一枚ずつ出しては並べ、出しては並べを繰り返す傍らに持参した「小田的イチオシワンピ」はこれだ。)どう?似合うかな、普段こんなの着ない?でもデートならワンピかなって。(身頃へあてるのは爽涼なスカイブルーとホワイトが織り成す王道ギンガムのバックリボン型ワンピース。前はフロントからボタンが散り、リゾートらしくフィットアンドフレアの裾はぞんぶんにギャザーを寄せた軽やかさがきっとカラフルな夏によく似合う。)中身、Tシャツよりもキャミとかのほうが良いかも。レースのやつとか。(手持ちにあるかなと確認。次いで「そこ座って」と指定したベッドに対面で胡座をかけばテクマクマヤコン代わりの指先が顎先へ添えられて、少しだけ上向き。)あたしも結構心からパクってる化粧品ばっかりなんだけど。(級友のオシャレ女子の名を乗せる唇は悪戯に、チップでその唇へ塗布するのはジューシーカラーのスパークリングティント。瞼にリキッドタイプのざくざくグリッターを指で乗せたらぴえんアイも無事完成。)宇宙一かわいいよ。(驚いた風采もなく当然のように嘯けば「今日。」と朗らかに笑う。)楽しもうね。
小田仁希〆 08/21 (Fri) 00:01 No.442
ん。(扉押し開く傍ら髪の毛結わきもせずに左瞼を擦ったのは、緊張に所以した眠れぬ夜の所為。部屋着の侭の級友が広げたカラフルな世界は少女の口吻によって魔法の道具のように映るから、)ほんまになれちゃいそ。(隣に三角座りで鎮座したなら、初手から最高レベルみたいなそれに瞠目はわずか、最強の人選と自負する眼差しがメイン。「普段は着んけど、」の序奏はきっと彼女なら言わずもがなと存ずるけれど、差し出した両手は魔法にかけてほしいの合図。レースのキャミソールの上からあおぞらに負けぬ清涼感に身を包んだなら、心臓が羽撃って「どうかな」と問うたのは15歳の夏らしい一声。指先に教わる侭の位置で正座し、顎先にほんのちょびっと触れた面積に寧ろ緊張の息を呑む。)仁希と心の化粧品の会話、呪文みたいやん。(現今を魔法と称するならあながち間違いではないけれど。己の姿を知るには少女の黒目に映る小さなそれだけでいまは充分だ。唇のきらめきも瞼の星々もちゃんと自分として認識するのはもう少しあと。でも、褒辞が耳殻揺すれば当たり前でしょうって調子づくようにわらった。)世界どころか?でもきっと同率一位がいるもんなあ。(誰とは云わずとも。おおきな笑い声なんて出ずとも、破顔したのは面前の朗笑につられるみたいに。きっと高校生になってから、いちばん素直にわらった。)うん。帰ってきたら、楽しかったでって一緒に話そ。(はじめてのデートも、はじめてのおめかしも、どっちの思い出もあなたがいるからそれだけで、きっときっと楽しい。)
巽志真〆 08/21 (Fri) 20:58 No.451
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