みっくーん！！どこだーーー！！迎えにきたぞーーーー！！（部屋の名前を読めたためしがない。どの部屋に彼がいるかもわからないので、迎えにいくなどと自信満々にカッコつけておきながらレモンの部屋以外を手当り次第にノックする始末だ。無事に三国との交流を果たせたならば「こんばんは！」と朝のおはようと同じテンションで告げる。早速かけていたサングラスを額上に持ち上げながら。）なあ、ビーチの方へ行こうみっくん！きっと海が星に反射して綺麗だぞ、　ん？海に星が反射するのか？まあいい！行こう！（有無を言わさず部屋から外へ引きずり出して、雲の霞に一つとして阻まれていない満天の星を浴びにいく。彼とふたり分で二倍になった足跡が砂の上につくりあげられていくと、星も海も砂浜も全部が二人のものみたいな間違えた感覚だっておぼえてしまった。「あ！」卒然と声をあげるなり、不規則に蛇行したりぐるりと大きく一周してみたり、満足げに彼に視線をやる頃には）見てくれみっくん！（砂浜に足跡だけで刻まれた“SOS”の文字。「やってみたかったんだ！」と朗らかに笑う姿は早くも星から気がそれている。）

（アピールが功を奏し三国を認識すれば、そこに居たのか！と騒音撒き散らした元凶は悪びれなく顔を明るませた。「昨日はよくも電話を切ってくれたな！」の抗議だってお互い様であるはずなのに、けれど視線を交わす相手の挨拶にまだ夜だ！とケラケラ笑うさまから見ればじゃれつきの一環、足音にウキウキを含ませビーチまでの道程を歩みで進んだ。星空目当ての旅路だったはず足元の砂に視線を注ぐ現今は、まあ前座ということにしておこう。）ふっふっふ……。（回答権は無限、三国の当てずっぽうには意味深に笑うだけを返し「鬼ごっこはしてみたい」の願望を溢しつ完成した作品には一緒に大笑い。）ははは！！朝方にヘリが着陸したらどうしようか！みっくんと無人島で遭難か…。無人島で金は使えないしな…。（二人きり、どこまでも閑静染み渡る今だからこそこの夜だけここは無人島だ。三国との無人島生活を思い描く矢先、自身のアドバンテージは無人島では価値がないと察せば早くも詰んだ。救難信号に手ならぬ足を加える三国の姿に気づいて、早々に視線も意識もそちらに移ろうが）ん～～～………？？　なんだ？僕は英語が苦手なのに！　諸行無常！？（どたばたしてたから漢字に違いないと自分の刻んだSさえガン無視で飛び出た回答の正誤はいかに。）

？？？　みっくん、そんな星はないし僕は宇宙人ではないぞ！（そうじゃないを頂戴しそうな返答はやはり彼が言うようにそういう星の下に生まれたからに違いない。）まあぼちぼちだね。足は速い！だが持久力はクソなので長期戦になれば死ぬ！　みっくんの運動神経は元気か？（問いかける時、彼の表現をちょっと真似たら妙な言葉選びになったといざ知らず、まあ同じ事を聞きたい真意は伝わるだろう。）キミ、よくヒロインの椅子に座りにいったな…まあ確かに道明寺と類オンリーでは物語は進まないが…。みっくん顔が綺麗だし、女の子になれないかな？ムサいのは視聴率に響く！あと僕は泳げないので、素潜りはみっくんの仕事にして…（無抵抗でヒロインを自称する級友への驚きから正気で託す重荷を経て、いつからか一ヶ月0円生活の体になり、そういう呑気なテンポで弾む会話は次から次へと話題が湧く。口にしてから正解の自信に満ちはじめた男は、笑い出した三国にぎょっと目を丸めた。）違うのか！？膝から崩れ落ちるほどに！？（抱腹のさまを何と取り違えたか、慌てて追いかけるように砂浜に膝をつく。次いで向けられる不正解のSE。）……　あっはっはっは！意外と食いしん坊だよな！？（今度はこちらが顎を上げて大笑いする番。「確かに食べたい！僕はウニ！」とすっかり寿司の口になりながら、気づけば一緒に大の字になっていた。）…む！確かに！あれがひだひだで…あの辺にタネが入っているということか！？（指先でひとつひとつの星を繋ぎながら確認。）…あ！あれはプチャヘン座では！？

ふむふむ…、いや！やっぱりナシだな！男なものは男！すまないみっくん、僕は女の子が好きだ！（まなざしを強調するいじらしい瞬きに思案すること暫しであったが、心を決めた一瞬間であらぬ語弊も添付し裏切りに転じる。「海は浮き輪をお供に満喫した！キミと海でも遊んでみたかったな」だなんて時間の有限を歯がゆく思う。ツボが浅いのも案外食いしん坊なのも全くもって悪くないから、悪いもんかを笑顔で差し出す）僕もからあげクンが恋しい！戻ったらまっすぐコンビニへ向かってしまうかもしれない。みっくんは何を食べる？（まるで一緒に向かうような口ぶりで発したからには空港到着後の未来に道連れは必至。寝そべった真上には星天井、男二人だなんてむさ苦しい図でもロマンチックなものはロマンチックだから「彼女ができてこうして星を見る事になっても所詮は二番目なのかぁ」と無垢に残酷な言葉選びもロマンが洗ってくれるに違いない。）酢コショウ？すっぱいのか辛いのかわからないぞ！うまいのか？（ならばあそこのぎょう座のそばにあるのがミツカン酢座で、と三国専用の星座をこしらえる自由さ。）ふふふ…このサングラスが飾りじゃないことを見せてやろう！（エアマイクを受け取りチキチキ、とクラッチするジェスチャー。サングラスを正しく装着したら舞台は砂浜からストリート。）ブンブンハローユーチューブ！HEY YO！俺はDJ！キミはDK！よっこいしょっと赤いのコラショ！コアラのマーチ全種でサンロクゴ！サンキュー！（何故ドヤ顔で締めれるのかわからない惨事であった。）

なんだと！？それだけは！それだけは勘弁してくれ！僕にも家族がいるんだ！（会話が二往復する間にドクズ男へ成り下がってしまったが、茶番と言えつい口先から転がり落ちた台詞はどこで覚えたのか分からないなりに妥当ではあった。未練になりかけた言葉が昇華するのは三国のとっておきをお目にかかったからで、唇が笑みを弾いてから「ははは、知らないから連れて行ってもらわないといけない！」だなんて知ったかぶりの逆さまが言う。無知のフリなんてきっと必要なかったけれど。）はっはっは！それはそうだよな、食いしん坊のみっくんは当然はしごするよな！ところで僕もプリンはかため派なんだよ、奇遇だね。今度美味しい店のものも取り寄せよう！（ささやかな金遣いの荒さと貢ぎたい性分が垣間見え、星の数だけあるやりたい事を思い浮かべながら、けして流れやしない星に勝手に祈りを押し売った。ようやく色気じみた話になっても「モテ期！？10歳年上の彼女はどうした！？」と鵜呑みにした彼にまつわる噂話が頭を占める。）！？！？（丸まった三国の背中を見つめるまなざしは憂慮一色だったのに。ストリートのルールで言葉を武器に受けて立ってきた即席MCバトル、あまりの予想外にそれはもう声を出して笑ったし足をバタつかせながら抱腹した。）あっはっはっは！！！　いや、こちらの台詞だが！？面白いのとクオリティを両立してくるのはやめろ！！はあ…これは楽しいな…記念にあれはコアラのマーチ座にしよう…。（腹筋の仇コアラのマーチを弔うかのような心境で星の一部を指差した。）

天才か！？絶対にやりたい！！品を白い紙皿に乗せて囲むところまで！言っておくが僕の舌は…かなり庶民的だ！世界一美味いものなんて持ってきて味をしめたら責任を取ってくれよ！（大きい言葉選びに乗る期待は楽しみだという湧き上がる情意に感化されたからに過ぎず、品評会と聞いて農協のそれを思い浮かべたらしい。任された担当に喜んで着任する姿も憂慮を誘う要因になったろうか、馬鹿正直に「確かに好きな人には貢ぎたい！！」など堂々と答えたし、「例えば変な女とは？」と問う瞳は無垢だった。）……！！（そんな無垢さを以てして三国の言葉を鵜呑みにした男、サッと顔面の血の気が引き両手で口元を覆ったが、冗談と分かれば何だ！と一転しころりと笑顔が浮かぶ。ついでに「ところで締まりが悪いって何の事だ？」と最悪の矛先も向けた。そんなこんなで項にざらつく砂粒を気にも留めない大の字、星の一つ一つ勝手に落書きするような何度目かの所業が決まれば、満面の笑顔でフレームに収まりに行くのも吝かどころか大歓迎である。）あっはっは、日本に戻ったら帰国記念ラップだな！僕はみっくんがいっぱい笑う所を見れて嬉しかった！もっと笑ってほしいから…、（一旦言葉を止めたのは、ムサ苦しい現状に相応しいか思う所があったため。けれどまあいいかと海に流してしまえたのはどう転んだって本心で違いないから。）日本に戻ってもキミの笑っている所が見たいな。このまま今年イチも更新させてくれ！（日本に戻ったら手始めにMCネームでも決めようか。星空はミラーボールの煌めきだった。）