立夏。足2本寄越しな。

(過日海流に乗って流れていった空色バンドゥビキニを手にしたのは、ひとえに水着のレパートリーが少ないからである。サンダルも履かずして、別荘に面するプライベートビーチの白砂にひとり降り立っては、一先ずはレスキューされる際の脱臼の危機回避すべく念入りの準備体操。そうして彼女の姿が視界の片隅にでも入ろうものならば、)立夏。ちなみに50メートル何秒?100秒ならどれくらいの距離かな。(早く早くの手招きは、彼女と過ごす時間は一秒でも惜しい故の強欲に起因した。片足を後ろに引きながら両腕を前に組んで伸びしては全身ストレッチ終了の合図。駆け出す前に差し伸べるものは一択と相場が決まってる。)はい。いつまでも離さないから、左手ください。(利き手のてのひらをずいと彼女の体躯の前に差し出しては、燦々と照りつける太陽を眸細めて見上げた。まぶしい太陽のキラメキは既に準備万端のご様子だ。)
巽志真 08/19 (Wed) 22:43 No.428
(紺地にヒマワリ咲いたバンドゥビキニを身に纏い、大判タオル引っ掴んでそのまま階段駆け下りたのは窓越しに見えた砂浜に既に友人の姿があったから。足の裏を撫ぜる砂の感触を味わった瞬間にはもう口を開いていた。)最速で7秒2!(砂地のハンデを負っても彼女に近付くまでは秒もとい瞬)てゆーか100メートルが14秒くらい!…んっ?これ詰んでない?めっちゃ走んないとじゃん!何で100秒っつったんだっけ?!(両手を組んで伸び、立ったまま足首回しながら回想するも答えに辿り着けぬから笑いは滲むばかり。「もーテキトーな数字で跳ぶ?!」キリのいい数字に拘りはないからそんな提案掲げた先、差し出された手を取るさなか、勢い余ってパシッと小気味いい音が響く。)ね~、今アレみたいじゃなかった?!お見合い大作戦!!(お願いしますと手を差し出すシーンに重ねて相好崩した。海へ続く桟橋指差し、)あそこっからだ~~~っ!って走ってこ!桟橋のとこに浮き輪あるし、ギリ足つくくらいだからたぶん志真もヘーキじゃん?…イケる?!
清水立夏 08/21 (Fri) 02:47 No.447
はや、  立夏ってもしかしてウサインボルトの血筋?(大仰に口許隠して瞼押し上げたとて、少女の足頚が円描くなら「歌詞から?」の端的な音は解となるだろうか。とて、少女の提案はきっちり100秒より何故だか甘美にすら聞こえたから、口端持ち上がったのはきっと思い過ごしなんかじゃない。たったひとりの温度からふたりの温度に進化遂げたてのひらが鳴らす軽快な音は漣の合いの手みたいに。)このままゴールイン?(掛け合わせた意味合いのうち片方のゴール地点を指先の延長線上に知れば首肯ひとつで未来はともに。斯くして水を得た魚よろしく浮き輪得た巽。桟橋の浮輪をすぽっと頭から通せば、)わたしは100メートル8秒9くらいやから置いてかんとってな……。(勿論そんなことされる筈ないと知ったうえでの悪舌は心許なげな面持ち創り上げるところまでセット。運動会で駆け出すこどもみたいに片足後ろに引いたならスタートダッシュは繋いだてのひらのおかげで完璧だ。風を切って、潮騒が鼓膜を掠めて。さあ、太陽反射した海に飛び込むまで、3・2・1。)
巽志真 08/21 (Fri) 21:36 No.452
んーん、実はこの辺開けるとエンジン入ってんの。(パンッと響かせた太腿への一閃をかき消すような納得の「あーーー!!」が残念な記憶力を晒した後、手のひらのあわいで交わる熱の温度が湿り気を呼ぶのは致し方ない話。)走ってる最中に手にめっちゃ汗かいてる!って思っても話したら負けだかんね。破局だよ破局。(おふざけの言葉選びで修羅場を思わせ一笑。きらきら波打つ海面に目を細めながら、ぐっと握る手に力を込めた。)んはは!ちょっとだけ手加減、  足加減?したげるから安心しな。……つっといて置いてくパターンはアリ?(何処か態とらしい表情に安堵与える為の一言は、引っ付けたオマケが真偽をぼやかすからスリルの行方は彼女のみぞ知る。)いーち!にーい!(スタートダッシュと共にハイスピードでカウント開始。最大で大股一歩分の差が生まれた足並みはきっと二人三脚なら転倒待ったなし。さりとて腕を引いて引き寄せるような所作で距離は縮まったはずだ。桟橋の際で踏み切る瞬間のカウントは16あたり。)じゅうろっ、っひゃ~~~~!!!!(バシャン!!と大きく飛沫を上げる直前の叫びはきっと二人分。びしょ濡れの顔を拭う頃に自然手と手は解けるか。)志真もーすぐ誕生日じゃん。16歳!あたしももーちょいで16♪(こじつけ甚だしく16に孕ませた意味合いは、きっと永遠の夏よりずっとらしい。)
清水立夏 08/23 (Sun) 22:49 No.487
あ~、そしたらアトムの生まれ変わりや。(冗句を好む悪舌はとどまらず、さりとて諧謔の一環には大仰に眉根を寄せて「手汗くらいで立夏をわたしが手離すと思ってるんやったら心外」の響きは存外大真面目。指先が心付いたぬくもりに負けじと握り返しては、)え、なし寄りのなしちゃう、……えっ、まじ?待っ、(輪郭の曖昧な安堵への確信得られぬまま。回転数のあがる足に、引き寄せられた腕に、ちぐはぐな歩武となるけれど、それすらも心地好い理由は片方の指先がすべて。呼び込まれるように白波のきらめきを映じた瞳とカウントを聞き遂げた鼓膜が、爪先から知る海の温度と合致する頃合い。)っひゃ(水飛沫と同時、彼女と同じ音が喉元潜る。陽光で火照ったかんばせは海水で冷えて、そうしたら眼差しは自然隣の少女を捉えた。)なはっ。そしたら、いま走ってきたのがわたしたちの人生?(何気ないカウントに意味合い持たせたら、それはすっかり特別の響き。鼻から空気と共にすり抜け落ちた笑みは隠せそうもなくて、代わりに指先で濡れた頬を拭う。)16歳になったらなんか変わるんかな?どうかな。どうおもう?(長めの間合いをとった瞬きの果て、白い雲を眼差しが捉えた。その未来がこの手の染まるような海よりきっと広いことは知っているから、子供と大人の狭間だって隣にいる君が笑っていたらそれで。)わたしのほうが1ヶ月お姉さん。祝ってな。  まだもうちょっとあそぼ。(強欲な物言いの癖して許し乞う素振りすら見せないのは、夏が似合う君へのとっておきの友情が成したこと。)
巽志真〆 08/25 (Tue) 10:18 No.506
アトムなら空飛べんじゃん♪(寧ろそれ以上の情報持ち得ない連想ゲームは愉しげに、反面不服そうな物申しに目弾き一つ、眦下げながらの「んじゃ安心だ」はケロッとしたもの。慌てふためく反応ごと掻っ攫う気満々で、きっとつられて早くなっている隣の彼女へ一瞥くれる余裕すらあったかも。濡れたばかりの顔ばせがみるみる乾いていく心地に真夏の太陽を仰ぎ見る須臾、途端壮大になった桟橋ロードを振り返る。)言っといてなんだけど、それだと人生秒で過ぎてったくない?てか志真さ、今度50メートル測る時あたしと一緒にやろ。つられてタイム伸びるよ。(水で重くなったおだんご髪を絞りながら思うは片や僅か数日後、片や一ヶ月後に迫った誕生日。きっと問いに正解は必要ないから、軽い調子で首振った。跳ねた雫が波紋を呼ぶ。)変わんない!けど、変わりたい!変わろ!って決めたら変われそーかも!誕生日来たから自動で進化条件揃うってカンジじゃなくってさ♪(既に誕生日迎えたクラスメイトの面々を想起したって目に見える変化を実感しやしないけれど、ただ歳を重ねた瞬間の万能感を思えば、変革なんざお手の物に思えた。「変わりたいか変わりたくないかならどっち?」、回答がどちらにせよ「どっちも難しそーだけど」と笑い飛ばしてしまえるオプティミズムをお裾分け。)当たり前じゃん。んははっ!じゃあ浮き輪あるんだしもーちょっと遠く行こ!(端的な返答で水弾く浮き輪へ手をかけた。照りつける陽射しが反射する波間が眩しくって目を瞑る。網膜に焼き付けた夏の記憶を忘れない。)
清水立夏〆 08/28 (Fri) 02:41 No.550
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