北村花火

(熱帯夜に程近い密度の濃い夜だ。毎日がお祭り騒ぎのように殷賑極まる街並みは何は無くとも華やいで、トークルームに咲かせた花火より余程絢爛な様相は別荘の窓から遠目に鳥瞰するばかりだったが満を持してのウキウキウォッチング。蛍光グリーンのタンクトップにワンサイズ大きめの黒いタンクトップを重ね足元は履き潰したデニムとダッシュの利くスタンスミスでサイクリングには打って付け。ヘムジップアップパーカは斜めに結ぶだけにして暑気衰えぬ夜へ繰り出そう。メッセージの既読を確認してからスマホをポケットへ突っ込んで、軈て少女が玄関先へ現れたら艶めく真っ赤なボディのタンデム自転車を引いた三国がお出迎え。)すぐって言ったのに。(都合顧みぬ横暴はラインに留まらず唇を割るが例え待ちぼうけだとて素知らぬふりをしていそうな少女だからこその暴挙。ポンとサドル叩いていくよの合図、)体力温存してきた?どれくらい持ちそう?10時間は持ってほしいんだけど…。(とはペダルを踏み出す傍らに。)
三国雪緒 08/12 (Wed) 10:22 No.317
すぐでしょうが、ゆき坊や。(少なくとも自分に対しては親しくなればなるほど年齢の退行が垣間見られる同級生の、到着と同時に掛けられた相変わらず急かすような言葉には間髪入れず否定を下す。Tシャツ、デニム地のショートパンツから伸びる四肢は普段通り不健康にひょろくも多少日焼けを覚えた赤白。長い黒髪は後頭部でゆるく編み込み一纏めの団子にした。頸を擽る後毛を気にして指先で軽く掻きながら、誘われるがままサドルに跨がれば彼の後ろに位置取り、履き慣れたスニーカーをペダルに乗せてせーので踏み出すも直ぐ)は!?10時間!?地の果てまで行くつもり?(持つわけがないと早速その広い背中越しに後ろから声を上げる時刻はPM20時過ぎ。しかし二輪耐久はさておき、まるで二人乗りをしているかのような感覚は純粋に面白いらしく、出だしは好調。)楽しい。私久々に自転車乗ったの。でも案外乗れるものね。………(とは言え、ほんの出来心で早速ハンドルを握ったまま両足をペダルから外せばぶらり。果たして彼は気付くものだろうか、後ろから様子見)
北村伊鶴 08/12 (Wed) 23:32 No.323
これはね、先に無理難題のお願いしとけばその次のお願いは断った罪悪感からついつい受けちゃう心理を利用してるの。で、「じゃあがんばって日付変わるまで。」どう?(心理学的交渉術はけれど吐露した時点で効力は霧散するか、とは言え背後に投擲する声は弾んで燥いで大真面目。それでも否を唱えられたら「ちぇっ」と舌打つ数秒後。滑らかに漕ぎ出す自転車は昼とは違えて静謐な裏道、未成年では立ち入られない賑やかな酒屋街を駆けて目にも鮮やかな夜が広がる。)自転車乗れたのが結構意外。北村は電車通学?それとも徒歩?まさか車?あ、遠くからちょっと花火の音しない?(背後の目論見へ気付く由なく言葉を交わす爪先は幽霊部員とはバスケ部そこそこに体力を把持するが忙しないお口が細切れとなるのは数分後。足の小指の爪先分の男の沽券とやらが唇の手前で渋滞を起こすが然し)な  んか、ちょっと  きゅ 休憩しない…?(こめかみに一粒汗滴らせたところで白旗をあげる。振り返った先の少女が涼しい顔で笑っているなら)うっっ わあ…。そういうことする…?(は時速1kmのスピードに倣って拗ねた物申し。)
三国雪緒 08/13 (Thu) 23:18 No.339
(思わぬ策の裏側を明かされるなら瞠目は背中越しに一瞬。それから上がった口角を素直に息を溢して)私は元々それくらいのつもりだったわ。10時間はバカよ、ゼロヒャクマン。(避けられる事がないからとその背中に片手拳を軽く当てた。パンチ未満の威力は、笑いさえ滲む無力な悪態に乗せて)徒歩、時々車。逆にまだまともに一人で電車に乗ったことないから……、?え、待って聴こえない。待ってね………(聴覚をそちらへ集中させれば尚の事おざなりになる両足。だが聴こえている彼が行先のハンドルを握っているならきっといずれ見えるようになるだろう。自転車で駆け抜ける最中、あまり見慣れない夜の顔を街に思いながら──休憩の提案からスピードの減速に伴い、間もなくその不憫な顔が振り向いたところで、どうしたって眉尻を落として笑ってしまった。)あはは、ごめんごめん。…三国はどこまで許してくれるもんなのかと思って、試しにちょっと怒らせてみたくなっちゃった。(外から見ている限り、何事も大抵は基本全て受け入れ頷き許してくれる印象が少なからず彼にはあったから。付け足した「でも怒らないで」はあまりに矛盾だが、ある種甘えの証拠とも言えようか。)機嫌直して、  あ!花火!(彼越しに前方の空を指差せば、音を立てて夜空に咲く火の花。)
北村伊鶴 08/15 (Sat) 23:46 No.367
お嬢様だったりするの?(電車に乗ったことがないとイコールで結ばれる印象は成程見目だけで言えば真相のご令嬢と言えなくもない容貌へ向けて、「ちなみに俺は徒歩。徒歩15分。」と続けざまの声を潜めたのは遠く響く花火の音を少女が捉えている気配を感じたから。乳酸塗れの脹脛が悲鳴を上げる頃合い掲げたギブアップは少女の笑みへもうちょっとやれたと不満が聞こえるような気さえして、笑声と相反してい~っと子供染みたあっかんべ。)怒りはしないけどこいつちょっと憎たらしいなとは思ったよ、今ね。こうしたいくらいには。(斯くしてハンドルから離れた指先が小癪な鼻先を抓んで、怒らないでを許容する免罪符として暫くその不細工面を高みの見物といこう。手を叩かれるなりなんなりの段階でぱっと離し「今のブスヅラでだいぶん溜飲が下がったよ。」と唇の端だけで笑ってみせ た所で)ほんとだ、(背後のひかりに照らされる白い頬を映じて、指差された先を振り返る。耳を聾する炸裂の音と共に大きく傘ひらく火花へ短な声を上げたら数秒前のいがみ合いはすっかり忘却の彼方。)スゴ…。 ね、どうせだからもう少し近づいてみない?音はその分うるさくなるけど圧巻だよきっと。(言うが早いか再びペダルを踏み込み特段少女が漕がなくても気にはしない。数分後には遮蔽物の何一つ無い砂浜へ、打ち上げ地点が近づいた分騒音には違いないが見上げる大輪の迫力は増した筈。)お嬢様、降りれる?(茶化す口上て掌差し出せば取られずとも砂浜まで徒行して手近に腰を落とそう。)
三国雪緒 08/16 (Sun) 21:06 No.387
………そ、そうなの?(問いに対しての回答にしては頓珍漢な自覚こそあれど、瞬く瞳に動揺は明らか。恐らく電車に乗った事がないことを指しているのだろうか、広くない交友関係の中では同年代の平均もその中で自分がどの位置にあるのかもいまいち測りかねる。手始めに徒歩通学だと話す彼へ「因みに電車は…?」と探り探りに尋ねてみようか。不意に鼻を抓まれて、思わず子豚みたいな音が鳴る。怯んだ数秒後、嫌々と首を振れば離れていくだろう手に、まあこれでおあいこならばと渋々鼻先を労るも直ぐ。付け足された一言に途端見開かれた双眸、花火に流れていく彼の横顔を睨み付けるそれは恨めしさに満ちて)まっ、またブスって言った…またブスって言った!節穴!(異常な自己愛にプラスプライドの高さが元々あってないような可愛げを根こそぎ奪う。鼻息荒く尖った声で噛み付く様は真っ赤な般若、まるでシーソーのように今度は此方の機嫌が悪くなるが、仕返しの機会は花火に全て奪われた。すっかり切り替えている様子の後姿を唇尖らせ睨みながら、しかし今度は素直にペダルも漕ぐだろう。間も無く車輪が止まれば、差し出された手を遠慮なく指の背で払い)ブスは逞しいので一人で降りれますぅ。(不細工なので根にも持つ。ケッ、と砂浜を蹴って彼へのみみっちい仕返しもそこそこ、今日一番の大きな音と共に真上から降ってくるような大輪に意識を奪われるなら漸く幾らか気も晴れようものか。)おお…! あ、(慌ててスマホを取り出してカメラを起動させるも、画面越し半減する魅力に眉尻落とし)
北村伊鶴 08/17 (Mon) 19:14 No.400
俺が聞いてんだけど。(トンチキな返答へけれど眉尻下げて小さく噴き出した。次いで狼狽露な双眸がまた可笑しくて込み上げる笑いは咽頭でぐっと噛み殺して、探り探りの体裁で疑問符が耳朶打てば揶揄めいた胸懐へ従うべきか理性と良心が格闘した結果、「乗ったことあるよ、ちょっと遠出するときとか。よく行くのは恵比寿。」と無難な回答に留まろう。ただ、)電車乗ったことがないならちょっと一般人から外れてるのは間違いないかも。(と結局つついてしまえば内実知りたがる双眸は答えを得られるか。真っ赤に熱り立つ様相はけれどすっかり花火に感興引かれた現今で蚊が鳴いてるなくらいの威力に他ならず、ごめんごめんと一瞥くれず宥める所業はきっと火に油。だからこそ毛程気にかけなかった悪舌を未だ少女が根に持つと知るのは数分後、)そんなに怒ってたの?(払われた指へ目弾き重ねれば失礼千万だとて小さな破裂音は笑声弾けた合図。燥ぎたがる胸の内に悪気はない。おっとっと、と砂かけ婆の攻撃から逃れるような戯れののち砂浜で座ったら掌に砂が付くのも構いやせず見上げる呆け顔。)スゴ…。あ見て今の日本じゃ見たことない形してる(指差す大輪への感想は破裂音に邪魔されぬよう自然張り上げる形となろう。スマホ構える姿を横目に「撮ったげようか?」と掛けた声は若干掻き消され気味で、問い返されるなら身振りと手振りで伝える心算にて自分のスマホを顔辺りに掲げて見せた。)
三国雪緒 08/18 (Tue) 22:43 No.410
え……因みに恵比寿には、誰と行くの…?(段々と見えてきた彼と自分の決定的な違いにじんわりと迫る嫌な予感。確かめるような問いは文字通り恐る恐る。「分かったかも…」は、一番最後の正解発表の如く。)普段、一人で遠出する理由がないんだわ…かと言って友達もそんな……(ただでさえ体調を崩しやすい一人娘を一人遠方に行かせる理由が親にはない。近場で済むに越したことはないから、何だって直ぐ手に入った。途中まで言いかけた残酷な二言目はこの女から更に血の気を取り上げて、されどだからこそもう一つ気付いた新しい事に彼を見る瞳は淡くも平生より輝き。)でも三国聞いて?私、電車はないけど飛行機はあるわ。学校の友達と海外まで来ちゃった。しかもお泊まりまで。どう?これ、一人で電車に乗るよりもっと凄いんじゃない?(先程までとは打って変わって溢れ出る喜色を口端で噛み締め留めようにも、歪みは抑えられない16歳。)だって私、ブスじゃないもん。(その笑顔を見るのはこれで何度目になろうか。簡潔な否定はそれ以上彼に同調を求めるものではなく、但し)次言ったら嫌いになるからね。(それきりで終着した。砂浜に隣り合って座り、瞳に同じ花を映しながらふと、彼のジェスチャーと僅かに拾えた声に、内心疑問符を携えながらも頷き任せるリアクションを返した。)あんたのスマホのほうが綺麗に撮れるってこと?技術?(同じく普段より通らない声は、その耳元に聞かせるが如く頭を傾けて)
北村伊鶴 08/20 (Thu) 21:22 No.438
(友達とかとだよと告げる声は不可思議な色を隠しきれず、まるで答え合わせのようにピースを繋ぎ合わせる少女の最終解を待つ傍ら。ああ、と手を打ったのは威勢の良さに屡々忘れそうになる血色の悪い頬を映じてからの事。)大事にされてるんだね。(然程少女と親密な訳でない三国とてその内実を察すに容易いから月並みな感想はけれど真直に紡がれて、でもと先句を翻すような双眸に煌めきを映じる。とっておきの宝物を披露するみたいに喋るから、男の眦が慈しむように下がってしまうのも意識の外での出来事。)段階ひとっとびじゃん。すごいよ、なんでも出来るって証明されたから帰ってから親びっくりするんじゃない?ただの伊鶴からスーパー伊鶴になった。(茶目っ気孕む口吻だとて揶揄の一切を含まぬ台詞だった。)やだ。(端的な拒否は嫌われたくないと怯む臆病より拗ねた風な物申し。どちらに非があるのと探れば分が悪いので噤口するが、幸い花火の音が間繋いでくれただろう。後手に突いた掌へ体重をかけたら少女の方へやや体躯を寄せる格好となるか、ひかりを垂らす空の静寂を縫いながら)そうじゃなくって一緒に。(隣に北村が居るのに態々空にカメラを向ける意味は無い。言うが早いかこっちと指先を肩へかけて花火をバックにインカメ撮影は叶うか否か。花火単体が欲しいと見当違いが咎められれば「iPhone11は高画質。」と三ノ目レンズに肖った高解像カメラが仕事もする筈。体の内側から響くような音した花火が、やがて星海月ほどのさやけさに煌めいて消えた。)あ、終わった。
三国雪緒 08/22 (Sat) 12:08 No.462
かなりね。(その眦が、言葉からまるで幼い子供へ向けた甘易しさを感じたところで自分の言動を脳内で反芻後、思いの外ピュアだった自覚が遅れて芽生えれば、言い出した張本人のくせ「そ、そうね…」と小さい相槌を最後、青白い顔がやや血色を取り戻しつつまるで縫い付けられたかのように上唇と下唇を内側に巻き込んで口を閉ざした。間も無く端的なやだが耳朶を打つから、悔しくも不意を突かれたみたいに鼻から笑う息が漏れる。綻びそうな口角を堪えながら)………北村伊鶴は?(続きを言わせるように、傍らを向くように体ごと向きを直せば、自分の顔を指差しながら真っ直ぐに尋ねてみよう。勘違いに気付かされれば今度こそ恥ずかしさを誤魔化す笑いが暗闇に零れた。促されるまま身を寄せれば、持ち上げた頬は素直な笑顔を象ってインカメのレンズに写る。身長もあるだろうが、彼の手足の長さに目をやり)三国といたら自撮り棒いらないわね。ありがとう!(今か後か、写真は追々送ってもらうとして。音に負けぬよう平生より張り上げたお礼の言葉は、静けさを取り戻した夜空に間が悪くやけに人気のない砂浜に響いてしまい、何となく尻すぼみ。)………うわ。(ふと溢れた声が反響もなく落ちる。)今凄く夏の終わりを感じたわ。これが…寂しいって、感情……?
北村伊鶴 08/22 (Sat) 18:56 No.469
どした?ちょっとホームシックなったかな。(平素は青白い頬に人口的でない朱色が差せば今度こそ口吻は揶揄めいて、帰りたいと名残惜しいの相反する客愁を慮る。態々向き直ってまで強請られる言葉をおいそれと差し出すには天邪鬼が働いて、何笑ってんのと睥睨向けるより余程効果的な一手は「あ、今のハート型だ~」と棒読み甚だしい感動を空へ向けた白々しさと相成ろう。「モデル体型ってやめてよ照れるから」と切り取った一瞬一瞬をカメラロールに抑めながら垂れ下がる光が紺碧に吸い込まれる時分、不意たる沈黙へ少女の声だけがまるで帰結みたいに響くから。)……いま、(間を繋ぐ為だけの言葉を一切と放棄したら透明な感情がまろび出る。)俺も寂しくなっちゃった。なんでだろ。(仄かに垂れ下がる眦は参ったなって、感情を評すならそんなところ。手持無沙汰に鼻先を掻く指先は然し数秒足らずで感傷をおさらばするべく、少女の目先で魔法使いを気取った指先がくるんと翻る。)寂しいって思ったのはじめて?だったら俺はラッキー貰っちゃったな。北村のはじめてもーらい。それで、(手付かずの雪に一番乗りで足跡を残す頑是無さで喜色を吐露したら、蜻蛉の目を回す悪戯な指先がぴたりと止まる。)さみしい知っちゃったら、今度はさみしいを無くす方法知りたくならない?
三国雪緒 08/24 (Mon) 12:45 No.493
やめて。(大人が子供をあやすような台詞が一層色濃く感じられたところで、この話は終わりだと切りたがる三文字と睨み返す視線に遠慮はない。いたって丁寧に分かりやすく振ったやり直しチャレンジが鮮やかにスルーされたなら、人気のない夜の浜辺に「言わんの、かい!」と二の腕を拳で押し込みながら怒れる指摘が響き渡るはず。)あんたって本当に図太いわね……、?(溜息はいっそ呆れ通り越して感心さえするように。尚もジトりと湿気を帯びた視線は不意に現れた人差し指に奪われ、言わなきゃよかったの後悔は不満げな表情を携えながら疑問符へ無言を返す事でせめてもの抗い。注目する先を止まった人差し指から再び彼に移せば)それは、今度は「さみしいを無くす方法」を見つけに行く誘い?(いつか、ありもしない葉っぱを探しに行こうと誘われた時のことを思い出せば、過日の彼を今目の前にいる彼と重ねるように見て)どんな方法があるかしら。1、もう一度花火を買ってする。2、今この場でやたら明るい音楽を流す。3、帰るのをやめる。……最後のは冗談よ。(一本ずつ指を立てながら案を提示。三つ目に関して、あくまで正確な意思を告げておかねば本気にされかねないと予感したのは、北村の中で今日までに築き上げた三国雪緒の印象から。)
北村伊鶴 08/25 (Tue) 19:02 No.512
(ご尤もな突っ込み賜われたちっとも痛くない二の腕を抑える素振りでいたたと呑気な声が上がる。)さすがに俺もちゃんと冗談だと思ってるからそんな目で見ないで。(しみじみとした口吻に今度こそ鼻先に皺寄せた渋面は図体の割に精神年齢のおっつかない様相を呈しているか。不満げな表情はきっとうっかり寂寞を吐露してしまった不本意と判じ「俺だけ寂しくさせないでよ」と道連れる自己勝手を湛えた台詞を付す。御名答とばかり打ち鳴らす指先が周囲の静謐を揺らして)もちろん。  でも口実は何でも良いんだ。さみしさを無くす方法でも元気になる葉っぱを探しにいくんでも。別に、なんでも。(何でもと宣う口吻は捨て鉢でもなく純然と思ったまんま。いちにと数えられるまま北村の指を折って数えながら、末尾のカウントへ双眸を煌めかせるも束の間だった。)は?さいてぇ ゲボカス。(一瞬でも擡げた期待を容赦なく潰されたら罵詈雑言舌打ちのフルコースで詰ってみせ「ほんとに冗談?」としぶとく問い掛ける様相は北村の抱いた印象がそのまんま正しいと後押ししてしまうもの。)さみしくなる隙間がないくらい遊び潰す。思い出だらけでお腹いっぱい作戦。どう?(どうだと鼻先鳴らせば先んじて立ち上がり「ほい」と手を貸す心算だがまあ今回も払われるならそれはそれ。どちらともなく真っ赤な車体へ爪先を向けるが、タンデム自転車へ乗った所でその道標を三国に委ねるのは危険だ。何故なら)俺は今日自分から帰ろっか、とは言いませんからね。(頑なに今日の緞帳を降ろす気が、無かったから。)
三国雪緒〆 08/26 (Wed) 23:31 No.536
あんたって全然顔に出ないから、冗談かどうかいまいちよく分かんな……(途中で途切れたのは、そう不満を零しながら向いた傍らの顔がとても分かりやすく歪んでいたから。皺寄る鼻先を指差し「その顔好きー」と口を横に引いて笑った。同調してくれた筈の彼を梯子外して一人ぼっちにしてしまった事実がじんわり可笑しくて、落ちる鼻息は笑うみたいに小刻み。どうやら正解を突けたようで、それがまた北村の中で三国雪緒への印象一段深まった感覚を得る。再び開く口は呆れとも理解ともつかず、薄い疑問符さえ滲ませながら)そんなの、じゃあもう口実なんていらないじゃない。(何でもいいなら最早あってもなくても同じだとは北村論。「『会おう』でいいわよ、私もそうするから」互いを繋ぐ最短距離のレールを敷けば、今日からはここを通りましょうと示した。)は?口悪ワガママゼロヒャクノッポ。帰るに決まってるでしょ。(治安の悪い暴言と眼差しを互いにぶつけて相殺。尚も食い下がる様に、内心また一つ学ぶ。彼にこの手の冗談は面倒臭いことになるので悪手。「さようなら、三国雪緒。」本日何本目かの梯子を外した所で、漸くそれらしい健全な4つ目の案が提示されれば、その表情の幼さも相まって笑えてしまったからこの勝負は彼の勝ち。手を取り体重を掛けて立ち上がれば、デニムについた砂を手で払って)あんた、ちゃんとお腹いっぱいになる?死ぬほど燃費悪そうだけど。(そこに対する信頼は依然として0。サドルに跨がり、奔る行先は一任が何よりの答えだ。)…今日が私の命日ね、OK。行こう。
北村伊鶴〆 08/28 (Fri) 11:11 No.556
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