（昨夜の先手打ちが事実となったなら右から入ってそのまま左に受け流したので許すも何もなかった。それから「今から行く」の送ったメッセージが表示した時刻は奇しくも暇を持て余した過日とほぼ同じ。服装も似たり寄ったりであればあの日の続きのような心地に覚えたこそばゆさは、すべて三国ラインを原因とした。そうして彼が滞在する部屋の扉を鳴らして反応が来るなり道が開くなり、ひとまず身体を滑らせて入室。）おまたせ。マリカー先にやる？アロハシャツ買いに行く？…シャツ？違うわ、ズボンのほう。いやもう上下オソロでも変わんないから良いけど。（引っ掛かりを感じた響きに記憶を引っ張り出して微妙な間違いを笑うも、大差なければ全身尽くめの提案に嘘はない。）なんかさ、ラインで三国のこと母ちゃんって呼んだとき妙にしっくり来た。（実態知れずの感覚を明かす顔は生意気よりかは神妙であった。）

付き合おうか俺たち。（デートする仲とは今朝彼が公言してくれやがったので一段階上の男気を口にする。眉尻はその位置を保ったまま表情だって恒常。しかしそこに懸念はなく滑稽をとことん楽しむべく。オソロの提案には同じ笑声を重ねながら）買うならそういう方が良いよな。サマリンに行ってきましたTシャツとかあっても面白いけど。日本人もけっこう居るしありそうじゃん。（彼がバッグを取りに行く間、扉に背を預ける体勢で選択を増やす口振りは軽やかに。そうして男二人オソロの一歩を踏み出す。すぐに彼に目線を流し、いざ掘り下げるならば暫しの間が生まれたのはなんとなしに打った為。ピースが当て嵌まったのは送信後であった。）肝っ玉てか大抵のことは許容してくれそうな雰囲気？来るもの拒まずの大らかさ？団地妻でもしっくり来るかも。（印象ひっくるめて伝えても疑問符は添えられ、最終的には彼の風貌に引っ張られた。響きはともかく呼称に背徳感の含みは多分ほんの少し、それよりも先のイメージが先行。目当てのショップに着けば考えも無く指先がTシャツを摘まんで離すを繰り返す。）へえ…ロコモコあった？

（「はい」と聞き役に徹する顔して言葉の続きを待てば）そんな妄想捨てろ。いやちょっとウケたけど。実際俺の中では三国が一番遊んで…　べつにそんなことなかった。ウケない？（一刀両断のツッコミは真顔でもありがち天秤に笑まいを湛えた。そうして今日までを振り返るも天辺に三国の名がまだなければ彼の言葉を借りて、こちらが首を傾げる代わり番。）へえ、あぁ、だからバスケ部も…そっか。優しいで良いのにな。じゃあ三国の「いいえ」はよっぽどじゃん、自分が否定してるとこ想像つく？（入部の合点がいくから合間に浅い首肯を挟み、ならば知らない側面を垣間見ようとのうずきは素朴な疑問となって転がった。猥談以下のネタもそりゃそうかと憂い引き連れた見目を今一度見ては笑えば、そこには年相応の高校生二人が居るだけ。目線を下ろした先には哀愁社畜とその叫び、「やだよこんなん」簡単な否定も同じように表情を崩して、目についたハンガーに掛かっていたのは黒地のハイビスカスヤシの木柄は騒がしいと言う程。その上にSAMARINのロゴもある。それを彼に見せながら）ゴキゲンてか南国点は上限突破してる。これも面白いじゃん（指で引っ張るだけのシャツにはロコボーイの顔から下がプリントされている。顔ハメTシャツ。）じゃんけんして三国が買ったらそれ（社畜を見て）俺が買ったらこれ（一つ目の黒Tシャツを揺らす）あいこだったらこっち（シャカサインのロコボーイ）で、どうすか。

ぷっ…　はは！ひ～…今ちょっと可愛かったの不本意。ウケないか、そっか。遊ぼうな、夏休み終わっても。動物園行こう。（大層ないじけ虫のお目見えに堪らず噴き出した。耐えろってほうが無理。すんすん前を歩く背中に向ける誘いはいとも簡単に転がり、逡巡の無さはまるで彼の答えが分かっているよう。空いてしまった距離を大股で詰め、改めて横並びした折、彼をNOと言わせるイナゴの佃煮を想像して数秒。すれば客観視にて小さな笑いが溢れた。）どんな状況だよ。その三国はもう芸人。俺は別に…どうだろう…その場凌ぎの返事でまあ…。けど選り好みだってするし三国とオソロすんのは完全にバカで面白そうって思ったから。俺がしたかった　って言うとなんかおかしいな。そんな感じ（対する自己認知は省みた少なさから歯切れ悪く語尾が萎む。ただ今日に限っては何でもかんでもに入れるなと言わんばかりに心理を一転して強く明言した。）ぽい。（拳で得た勝利にて、言ってしまえば一番無難のTシャツだって大小男子のお揃いとなるなら中々のインパクトになるだろう。会計に向かう最中、欲しがるストラップを目にして）いいじゃん、通学バッグに付けれるし。え、オソロ？（他者が買う分には何ら問題ないから容易に頷けたが、念の為の問いがもし空回りなら赤っ恥。首肯が見られたならば「俺、奥のが欲しい」と似非潔癖も遊びの内。トントン拍子の買い物を終えて一纏めの袋を片手に揺らす家路。）ついに買っちゃったな。んで別荘帰ったらすぐマリカーやろう、俺マリオ。三国ワリオ。

うんうん行くよ行く、全部行く。昼はオムライスにしような。動物園って久しぶりに行くわ、キリン辺りでテンション上がりそう。三国はなに見たいよ、推しの動物。（自らの気付きに「でっけえ3歳児」と笑いを零した後、雑とも思える甘やかしは煽りに聞こえようがお構い無し。しかしそんなあやしも以て十秒。すっかり見透かされた性行に対する苦笑いが認めた証拠となり、妙に痒くて鼻先を指で掻いた。）あ～やっちゃったってな。これからも多分あると思うし、そうなった時は三国に話すから笑ってやって、笑い話にする。三国もなんかあったら。（凌がなければ良いの正論は真っ向から見ず、ただ彼を巻き込むだけの未来を軽やかに話す。同等を差し出してみるもの受け取りは彼次第。何も秘密が知りたいなんて重さは含まない。バレてた内に対する笑いを見過ごすのは同じ具合に面映ゆさに沈下させようと。）うっっわうわ最初からそうって言えよばか（見事に喰らって赤っ恥。一撫でする安堵を感じながらも威張った口ばかりがよく動き、どちらも3歳児のオチに収めようか。戻って来た別荘内の一室、彼の準備をどっさり腰を下ろして見守りながら）どう考えたのおまえ。まだ俺のクッパは分かるよ。（冗句が予想の斜め上をいったから思わず聞き返して笑う。ジョイコンをにぎにぎ指に馴染ませつつ、開幕の知らせに姿勢を正したもの飛び出した条件には彼を向き。）それ三国の大好物じゃん。（前科あり、覚えがないとは言わせない。）けど乗った。今から考えとけよ。（余裕に醸した勝者の未来はクッパが握った。）