え、調べてないよ。清水さんに聞こうと思ってたし　うそ、ごめん。ライン送ってすぐ寝て今まで忘れてた（緩やかに片手を挙げてしれっと衝いて出た誤魔化しをすぐ訂正したのも、浮かべられた笑顔に申し訳なく。からっとした暑さも淀まない英語だって日常に溶け込み始めたが、ブラウンTシャツと同色セミワイドのどこにもハイビスカスは咲いてない。彼女のあとを追って、話題の切り口は真横で受けた。）ん？ああ。ハンドルないセグウェイはイメトレしても顔からこけることしか出来なかった。べつに悪くないと思うけど……（チラ見以上ガン見以下を彼女にくれてやる3秒。）清水さんより良い自信もないな。俺は清水さんの苦手そうなこといくつか思い付くよ。聞く？（行く先は完全に彼女任せの足を並べ歩く。笑って問う事柄でもないがある種の陽気が語尾を跳ねさせた。「ピザーラ？」道中の鼻歌を掘り下げた瞬間はピザが恋しくなったけど。）…大きさ……？と、エビ感…？（ふわっとした答えに疑問符が退かず。）エビ食えるなら俺もう負けたな。

アマプラ加入してないから清水さんのアカウント借りるしかないな。500円ってアリ？（ひょっこり守銭奴もあっさり「冗談だよ」と引いたなら見ると約束を交わした。朗色を眦に映しながらまだ見ぬ道を歩く。）な。あると離したくなるのにないと心細い　ってなんかクイズみたいになった。まじ？全然気付かなかったし、俺に勝算あるなら三戦目はどっかの坂道ダッシュにしようかな。（語られた真意をただ耳に入れるだけではなく意地汚さが染めるも、彼女の反応を窺う顔がそちらが目的と明かすように。）笑わないこと、よく笑ってるイメージあるから。あと安全運転。ブレーキかけたことある？それと炭酸を振らずに飲むこと。（一つずつ指折り理由を付け足してざっと三つ。とっくに過去の一幕をしつこい程引き摺りまくって、事実に基づくなんて口には微か自信が滲み出る。忘れるつもりはない。嫌な有言実行の自覚はありながら。）俺もマストだと思う、けどまだ食ってないって矛盾。てか清水さんもう　あ、ちょっと待って（言えば彼女を追っ掛けた足取りは小走りにも満たない。しれっとまた横に並び、同じく香ばしさに「はやく食べたい」と逸る気持ちを吐く。）ジャンクの中では最弱？四天王決めるならどれにする？俺ここのエビは入れてやりたい。（一人お買い上げで列が進む。）

あ、忘れてた。やったじゃん清水さん、記憶力あったじゃん。（シロもセグウェイもない頭を漂うのはエビ。彼女を頼った昨夜を知らぬ顔した言葉に謝辞の一つもありゃしない。）……。中学も帰宅部だった。わりと言ってから気付くこと多いっていう俺の性格、知っておいて。（体力勝負に結び付けた内容への想像が甘過ぎたゆえ返す言葉もなければ空白に覆われる。情報と引き換えに今後の付き合い方もまた彼女に委ねるよう。予想に対し細やかに答えが来るなら頷きながら「サイダー派？コーラ派？」「けっこう見てるよ」話題を膨らませるばかりの声を瞬時萎ませたのは何とも弾む音を拾った直後。四つ目の冗談。）清水さんここを映画館だと思って（交わしたやり取りを振り返っての喚起も同じ調子。）観察力あんのかな、初めて言われたけど。清水さんが分かりやすいってこともない？まあね、怒るの体力使うって言うじゃん。（追って正誤を行えばあっという間にワゴンまで残り一人の距離となった。「食べた？って聞きたかった」と別段溜める内容でもない苦笑いが浮かぶ。四天王は時間内に決められなかったもの猶予があり余ればまずは念願のシュリンプを注視の折、彼女の誤魔化しを1から10まで聞いていたから）清水さんのが食べたかった説ない？（清水風な物言いは目を細め）うん、いただきます。………んま。これが食べたかった。（感想は素っ気なく、ただ二口三口とかじる姿が何より味を語っていよう。）食べ歩き出来るひと？俺のもうちょっと行ったとこなんだけど。

（互いの明け透けを今後思えば享受の首肯を返して締めとなる。溌剌と空に響く笑いが潜まったと思えば途端に転がる否定の連続はこちらが笑いを空気に溶け込めた。）あるかないかだったらあるけど、静かな清水さんは授業で見られるんだっけ。ならもっと興味あんのは怖がる清水さん。（こちらも単純な好奇以外を含まない物言いで淡々と述べれば「お化け屋敷とか行く？」投げた質問は暴きの一歩。）え、っと…うん、遊びに関しては体力使っても、ほら楽しいに越したことはないじゃん。もう話に夢中でなにが本題だったか忘れそう、けど勝利条件は相手を唸らせる……うん、そう合ってる。もう一度見といて（片手でスマホを操作すれば過日のトークを彼女にも見せる。彼女のおとぼけにだって分かっていたが念の為。そうして許可が下りたのち歩き出しはきっと先程よりも緩い歩調でエビに意識を集中させていたが、食べられないフライパンよりも簡単な行き先明かさない道中クイズの探りにはあっさり頷く。）そおだよ。そう言えば清水さん甘いもの好きだったな、たまたま（昨夜の魂胆は丸見えだろうから自分に半笑い。道路隅に置かれたゴミ箱に空になった容器を投げ入れ、辿り着いた店は先程よりも少し長い行列の最後尾へと。）シェイブアイスって言うんだって。ほらあんな感じですごい色（すれ違いの購入客の手中には七色のシロップが輝いている。）知ってた？

へえじゃあ今度お化け屋敷行こうよ、っても俺もまあ叫ばないのは無理だけど。一緒に行ったら清水さんのこと盾にするかもしれない。（意想外とも取れる丸みを帯びたひとみにまじろぎ、間を置く事ない誘いは大して無い身長差でもその顔を覗き込むように首を傾げるから悪戯が大半を占めた。耐性と予知も割と本音。）3つも？からあげ肉まん睡眠。あと誕生日は9月6日な。清水さんのもどーぞ、5つ。（三本指に多いなんて笑うのは口先だけだと届けた言葉が証明となる。彼女以上の欲張りに挟む自己申告は簡素に、しかし含みを持たせて身勝手な期待を当ててやろう。）た・ま・た・ま。好きだよ、祭りでわたがし買う時あるし。見た目がグロくなきゃ大抵食えると思う。…食わそうとしてる……？（丁寧ぶった一音区切りは正面を見ながら。互いにキャッチボールの感覚で疑問を投げ飛ばしたって億劫なんて事は全くなければ、新鮮な時間に表情は柔い。内容を深堀して若干後ろに引いて見せた防衛もちゃらけが揺らぐ。）しらべ　知ってた。ふっわふわのかき氷だって（見栄が既知を作っても疑問の回答は聞きかじりが浮揚する。）あのまんま七色になって欲しさがある。てかなるって信じてる。あ、もう来た。（互いに注文を終えれば森地の片手には先程の七色が収まり、徐にスマホを取り出すなら切り取ろうとする手付きは不慣れそのもの。）清水さん。（言うなり被写体を変えたのは単純に撮りやすさ。）

いいよ、俺は清水さんが目かっ開けるようになるまで待つし。その為の努力を助けることは喜んで。（間もなく諾してもよくよく聞けば遠回りのいいえ。視線を戻して向けた横顔にはまだわざとらしい笑みが残っている。）はは、っぽい。清水さんっぽいな、全部。え？そりゃ盛大に。ぎゃくに清水さんならどーやって祝ってくれんの。（痛みは残らない摘まれた場所を指の腹で摩りながら、彼女の印象とそう遠くない嗜好に目を細めた。続けて有りっ丈の欲を簡潔に伝えたならば、未だ計り知れない思考に心当て。「ほら」と笑うのは彼女が見せてくれた悪戯心をとっくに知った風な。唐突のカメラ向けにも簡単に対応してくれたらまた不慣れの指先がその瞬間を形として残す。）撮れたってやば、俺のもう溶けてる。いただきます。（指に流れる一滴に慌てて口に含んだ氷は噂通りふわっとして一瞬で消えた。けれど口内に残る甘みが幻ではないと伝える。）うわまじ一瞬だった。どう？うまい？（彼女の感想を待ちつつも手の動きは止めず、エビ同様に平らげも短時間の内に。）舌どうなってんのかな。（問い掛けるだけで舌を見せようとはせず彼女を見遣るのはそちらで確かめようと。眼差しの訴えが通らなければ「見せてみ、舌」簡単に言う。）で、今日の勝負なんだけど、俺もドローでいいやって思ってる。清水さんも俺もよくやった。

（どんな事も伝えると思わせてくれた口が守秘で閉じれば予想の外れに瞬くも、代わりの欲見せに薄目が訴える。）ぜんっぜんイケない（へそ曲がりの嘘だって先程を真似た口振り以て主張されたなら、吹き出し笑いが溶かす。）イケるよ、じゃあ清水さんの誕プレは生クリームでいっか。そんなはしゃぐなよ、まだだって。土日だっけ、平日？（期待ばかり押し付けたくせして贈り物候補を一ヶ月は残す今打ち明けるなり、対する彼女の反応を嬉々と予見したからどうどう宥めの声が飛ぶ。撮った一枚は帰った後にと頷きスマホをポケットに押し込む。発見は染み付いた無自覚であったからこそ回顧の沈黙を挟んだ後。）本当だ。俺こそクラス一の日本男児かもな、見習って。（圧ない傲慢よりも先に故郷の挨拶が彼女の声にて耳朶に触れたから笑う。溌剌とした食レポを耳に届けながら熱に奪われた活気を取り戻すべく食べ進め、その終わりのかき氷食せばお約束だろう確認は。）やば、すげえ七色。夢見た俺の言った通りじゃん、清水さんのベロ。（対清水となるからどうにもこうにもふっかけるような口振りは変わらず、もしも現実見るようなら「あんま見ない方がいい」「あ、もう七色消えた」だとか足掻きも相応。）とりあえず今年終わるまでには引き分けに持ってきたいし、卒業式ン時に勝ってた方が完全な勝者ってことにしよ。いや普通に楽しかったからさ、今日。（向こう二年の長期戦は根云々ではないと念の為。）…あ、セグウェイ。こっち。（能動的な様子に笑いつつまた隣を歩く。いくつもの予感がまた夏を彩った。）