バースデーガール、心にお届け物。

(時は8月7日に遡る。足先は地元の人々が足を運ぶショッピングモールに向いていた。目的地は定まっていなかったけれど、目的がなかった訳ではない。虹にも似た、それでいて太陽にも似た級友のかんばせが確かに脳裡にあった。擦れ違う人とぶつからぬ程度に視線はあちこちへ彷徨って、通り過ぎかけた一瞬。蛍光灯に反射した花に目が留まった。彼女に惹かれたように、爪先は導かれた。)(8月8日。朝、6時に起床。ラッピングされたティファニーブルーの紙袋を手に、部屋を出る。カモミールの部屋の前でぺたんこサンダルは立ち止まり、ドアノブからすり落ちぬように紙袋の紐を丁寧に引っかける。紙袋の外側にはシンプルな黄色の正方形の付箋を貼り付けて了とした。『スペンサー心様へ 巽より』──いつ彼女が気付くかは分からない。朝食を食べに行く前かもしれないし、朝ではなく遊び疲れて帰ってきたそのときかもしれない。包を開けてくれたなら、その中にはハイビスカスを模したガラス製の透き通るピンクのバレッタが入っているだろう。そして小さな紙も一枚、そこには)「きらきらしててかわいいところが心みたいと思って選びました 誕生日おめでとう」(右下にイルカが嬉しそうに跳ねているだろう。)
巽志真〆 08/08 (Sat) 14:05 No.241
(誕生日を迎えた朝と言えど、朝のワークアウトはいつもと変わらず。好きな音楽で目覚め、ルームメイトを起こさぬ様にランニングスタイルに着替え、紙を一つに括ってキャップを被り部屋を出る。いつもと変わらない筈の朝が、ほんの少し変化したのは、後ろ手に扉閉める際かさりと指先に当たるものがあったから。振り返れば覚えの無い紙袋、パチリと碧眼瞬いてするりとドアノブから抜き黄色に並ぶ丁寧な文字列に、ふへと頬が蕩けた。自室内のベッドサイドに鎮座させ、先ずは朝日の中へ駆け行くけれど、浮き立つ気持ちは走るテンポと流れるプレイリストにもよく反映された事だろう。――さて、朝ランと朝食を経て今日は何しようかと自室へ戻った折、一番に目についたティファニーブルーを開封。中に咲いていたピンクのハイビスカスにぱああ!とばかりに瞳開き、太陽光に翳してその乱反射を楽しんでいたのだが、中からピラリと出てきた一枚にガシッと掴まれた心臓が全身に血を巡らせテンションをぐんぐんと上げてゆくから)っっ〜〜〜しま!しま〜〜〜!(ドタバタとハナワ邸駆け巡る足音が止まるのは目的の少女に出会った証拠。七色の中に咲く花はより一層鮮やかに映えて)今日のココ、一段と可愛いよね?ね?これのおかげだもんね?(そんな無遠慮な一言が唇を割る。光の反射する様を見せたくてくるくると回り、どう?どう?と頭捻った最後、)しま本当にありがとね!嬉しい〜〜!!(一番の笑顔で最高の感謝を。)
スペンサー心〆 08/10 (Mon) 01:21 No.274
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