（ぬいぐるみにとって室内だろうが初めての外出。結局部屋に置きっぱなしの相棒を抱えて向かったリビングで、まず彼に手渡せば近況報告したくて口を開いた。）大丈夫だよ、そんな心配してない。なりた。その子の名前なりたにしたの。たっぷり撫でてやって。（電話の内容から触りたかったと推測したもの伸びるはずの手がポケットに向かえば黙って動作を眺める。そしてあっという間にこの場の誰よりもバカンスしている姿の出来上がり。戻って来た姿に目を細めつつ専用レイを指先で触るも消失しかねない言葉尻まで聞き届けて。）ありがとう、奈尾。なりたもうちも嬉しいけど、なりたの物はうちの物だからこれをこう（ひとひら掬って手首まで流すまでは躊躇なく。早々にレイから本来の腕輪としたなら彼の目の高さに見せるよう上げた。）ほらうちにも似合った！やっぱりピカチュウ欲しくなって来たでしょ？それともなりたがいいのかな。お祝いしてくれてありがと、写真撮ったよ、撮ったんだけど……あ、見る？いいよ。（スマホを渡して空港から今日までの彩りを共有する最中、ピカチュウの角を曲げながら彼を横目で盗み見る。それから2秒後、意を決した。）…お恥ずかしいんだけど、今日もってゆうか……、こっちでもまた写真撮ってくれる？のっぴき事情のあとにでもあそぼーね。奈尾があれこれって考えないようにここでおやつってのも楽しいかも。（5分じゃ収まらないことを見越して広げた話はどうまとまっただろうか。レイに戻したピカチュウは心なしかほっぺが幸せそうだった。）