ほずみー!はい水!

(8月1日朝7時の朝食。その男はコーラを注ぎ続けるアメリカの店員のごとく奈尾がコップを置くたびに水を注ぎ続けたし、表面張力の限界まで注ぐものだからコップを渡す際に案の定それはもうビッショビショに溢した。彼から制止がかかろうと遠慮するな!が飛び出すけれどそれも何度目かで大人しくなる。ニコニコ屈託なく笑いながら奈尾が朝食を食べる横顔を頬杖尽きながら眺めていた。)ほずみー食べ終わった?(3分に一回ぐらいこれを聞くし)水はもういいか?(10秒に一回ぐらい聞いた。体感なのでもう少し頻度は落ち着いているかもしれないが、とにかくやかましいぐらいに尽くしたがる男はそわつきを隠さない。彼が朝食を食べ終わったなら待ってましたとばかりにこっちに来てくれ!と無理矢理にでも厨房の冷蔵庫へ連行する所存。誰にも聞かれないようつとめて小声で)これはキミの分しかないからな、内緒だぞ…。(ヒソヒソ…、とするわりには勢いよく冷蔵庫を開ける加減を知らない男。冷蔵庫には中くらいの丼、「1」と「6」の数字ろうそくが屹立していた。)バーン!どうだ!マリリンさんに頼んでな、冷やし茶碗蒸しを作ってもらった!バースデー茶碗蒸しだぞ。(フフンと優り顔で披露しては奈尾の顔を覗き込む。八重歯を覗かせ満面に笑ったなら、きっと今日顔を合わせるたびに何度だって言う言葉を。)おめでとう!さあ食後のデザートだ、存分に食べてくれ!今ろうそくの火をつけよう!(朝食と一緒に出せ、という物言いは棄却する。来年はド派手なスタンドフラワーでも贈ろうかな。)
橘鷹銀河〆 08/01 (Sat) 23:46 No.144
(朝食中に出来上がった稲川淳二の流れに神経使った男は、その直後水を一気に飲み干した。思えばそれが発端だったのかもしれない。少しでも水を飲めばコップの許容量超えて注ぎ足されるもんだから徐々にコップを彼とは逆側に遠ざけた。世話焼きの理由が明らかだったから強い制止も出来ず、まるで手料理を振る舞っているかのような双眸に見守られると、何となく決まりは悪いし落ち着かない。)……お皿見て、もうちょっとだから。うん、もう平気。(キッパリ断れば、最後のひとかけを放り込んでからコップ一杯飲み干して了。何処かに連れ出されるのだろうかとの予想とは裏腹に、彼の後追って進んだのは未踏の厨房だったから、入っていいの?と足取りは恐る恐る。内緒の言葉に小さく頷いて成り行き見守れば、これまた予想しなかった物が目の前に現れたから目弾き一つ。)…びっくりした。まさかこの流れで茶碗蒸しが出てくるとは思わなくて。ありがとう。(驚嘆から喜色に穏やかに変化した顔ばせは満面の笑みにはにかむように笑ったけれど、)今から?冷やし茶碗蒸しはプリンじゃないんだよ、橘鷹……。(ささやかな抵抗は、ろうそくへの着火の流れで有耶無耶になってしまうかも。ろうそく吹き消し、一口食べた後は昼か夜のとっておきと称して、もう一度冷蔵庫に眠っていてもらうとしよう。)橘鷹、ケーキ好き?買いに行こうよ、今日。(思いつきの提案は、誕生日にケーキを食べたがっていると取られて構わない。たった2日は誤差のようなものだから、一緒くたにして祝うのだって許されて然るべき。)
奈尾秀実〆 08/04 (Tue) 21:16 No.182
name
color
pass
0文字