北村さんて飯食いきったことあんの。

北村さん、(その後姿が彼女であれと願って呼んだ。約束らしい約束の連絡を怠り皆が集まると見込んだ夕食の場。砂浜にて展開するバーベキューセットの近く、薄手のラッシュガードパーカー羽織り、立ったままの姿勢で2本のジュース缶を携え首を捻りながら、)サマリンは英語だし沖縄のジュースは発音わかんねーんだけど。これ、(グァバとシークヮーサーの文字がラベルに記載されている。独特の読み方を難しく感じるなら敢えて明言せずして言葉と同時に相手に両方差し出し、選ばれなかった方を取る所存だ。暗色に月光反射する海を背にプルタブへ爪引っ掛け力入れれば、空気が抜ける音と共に爽やかな香りが広がる。快い匂いに混じいる、食材焼ける焦げ臭ささえこの場においては欲をひき起こして、)もうなんか食った?(視線は煙立ち上る空中、時折揺れる橙の火を双眸に映す。唾を飲み込むや流れるように缶の飲み口を唇に付け傾けた。)  あ、まあいいか。(乾杯を忘れた失態に気づいたのは美味が腔内に広がってから。彼女による決定事項が実現しなかった現今、刹那黙してもうひと口呷る。)
上埜新太 09/23 (Wed) 02:06 No.18
(呼ばれた名前に振り返れば、片手を上げてご挨拶。彼の両手を塞ぐ二択のドリンクと説明に笑えば「分からないと怯えるんだっけ?」なんて、いつかの朝食で上がった話題を引き合いに出して軽口叩きながらシークヮーサーを受け取ろう。級友達で賑わう中、平生声のトーンがあまり高くない彼の声は些か聞き取り辛いから、手招きで共に群衆から抜け出すことを試みつつ)ぼちぼち。さっき清水がシャインマスカットくれたの。もう食べた?ぶどうみたいなやつ(美味しかったと浮かべる笑顔はご満悦。遅れてプルタブを鳴らせば、彼の缶へ当てようと差し向けた所で交わる事なく一口目が喉元を通っていく様にジトリ細目。されど同様の感想を内心に抱き、結局同じく一口煽れば)ん!美味い。グァバってどんな味?一口飲ませて(片手差し出し、叶うならシークヮーサーと交換するつもり。いずれにせよ味見会を終えた所で、ふと思い出したように彼の正面に立ち直せば)じゃん。今日はどう?服(披露するは、なんの変哲もないスポーツブランドのロゴが胸元に入った白Tとデニムのショートパンツ姿。一層深める笑顔は意図的だが、勿論素直に彼の感想を楽しみに思う気持ちも含みつつ、追ってもう一言続けようと開きかけた唇は音を鳴らさずに一度閉じた。待機中は機嫌良く首を左右に揺らしながら)
北村伊鶴 09/24 (Thu) 14:08 No.37
(片方が己の手を離れる折過日への言及を頂けば、表現に差異あれど事実に違いない為答える仏頂面。)そ、怯えて飯おかわりの回数が減る。(誘いのままに足を動かすなら辺りは静けさ増して、あらゆる光を仄か遠目に見る。「まだ。あとで食う。」と後者の説明を主に脳髄に刻んでは一口目済ませる傍ら、粘り付くような視線を感取し、そこに目線寄越すも真横にそろりと逸らす一瞬だった。喉を走っていった味覚を問われ、上手い例えを探す隙間を経て眉根寄せながら、)うめーけど甘いのか酸っぱいのか中途半端。…おー、(正直な感想を述べるや僅か瞬き彼女の要望に首肯返す。レモンともオレンジとも表現し難い酸味を味わいやがて。目の前立ち位置変える様子を見遣り、文化祭時を思わせる言い草呈すその唇を視界に入れて、)どう?褒めりゃいいのか、動きやすそうとか。(学習しなかった語彙力は、疑問符付して情緒もへったくれもない評価を手向ける。剰えいっそ笑みへ期待抱きアドバイス貰わんとする始末。しかして色好い感想よりも不意に転び出るのは、)前の。命令しなくても、つったけど喋んなとは言ってねーよ。(嘗てその日は「別に」と宣った。平素見過ごしがちな彼女の些細な一挙がやけに目についたが故、面する双眸をかち合わせて。)
上埜新太 09/25 (Fri) 01:34 No.48
(互いに顔を合わせ首を捻りながらの味見は、結局的確な言葉を見つけられないまま終了。両方の味を楽しんだところで再び手元に戻ってきたシークヮーサーに口を付けて喉を潤す。的を射ない投擲は意図的にて、ある種予想通りの困惑が返ってきたならさっぱりと笑い、広げた腕を下ろして)また「良いと思う」って返ってくるかと思った。そしたら、なんでもいいんかーいってツッコミ入れるところだったわ。(過日頂戴した褒め言葉を辿る台詞は、態とらしく眉根を寄せ顎を引きながらの低音にて恰も仏頂面な上埜を真似るように。見上げた双眸がかち合えば、受けた指摘には眉尻を落として苦く笑った。)分かってるわよ。でも気を抜くとすぐ出ちゃいそうで…癖になっちゃったのかも。気分悪くしたかね?(尋ねたところで一旦身を翻せば彼の数歩先を進み、やがてビーチサンダルのまま波打ち際へ。寄せては返す潮に踝の下まで濡らして、そこでまた振り返れば来い来い手招き。)前に心理テストみたいなのしたでしょ、覚えてる?友達に遊びに行こうって誘われたとして、海以外でどこ行く?って聞いたら誰かさんが山ってアホ回答した後に、相手によるだろってぷぅってしたやつ。(少々盛った思い出は揶揄う口振りで、誰かさんを示す指先が上埜の腹をつつく。顔を上げれば)あれ、因みに誘ったのがもし私だったらあんたはどこをチョイスする?
北村伊鶴 09/26 (Sat) 00:12 No.60
何でも良くないだろ。考えて決めた服だったらちげーこと言った方がいい。(それは眼前形作られた相貌に似て。漫才の極意を知らぬぽんこつ故に、彼女の冗句へ理解が到達する前に思ったままの所感を述べた。苦笑の吐息を聞く。不興を慮る問には否定の意以て首を横に振り、)いや、大人しくなられても北村さんぽくねーから。(徐に離れていく背中に細い目付きの視線送りながら一歩二歩。再び追随した先、自らもスポサンを海水に浸せば細かい砂が足趾の間に入り込み、些か不快感じては眉ひそめる。想起を促されるなら、砂浜、2人きりと過ぎし日と現況同条件が重なり思考は滑らかに。柔い刺激受け「なに」と彼女の手元に注意向けるもそれ以上に風評被害が鼓膜に残る。)誰だそれ、記憶喪失?(結んだ唇の隙間からしらばっくれを吐き出して、また、嘗てを辿るような質問に耳を傾け。記憶が正しければ、誘った当人は場所を選ばぬ気概だった筈。そう仮定したとして一考する刹那、並ぶ2つの人影を脳裏に浮かべつつ、)……ジムで体力つけっか。(場所を定める難しさを面差しに反映したが、ふっと険しさを消して、)それ以上深く行くなよ。なんか怪我とかして欲しくない。(未だ彼女の指先が己の体付近に漂っているなら容易く、距離生じていたとて直様詰めて五指を掴み浜辺側へ引かんと。)
上埜新太 09/27 (Sun) 11:01 No.82
(決して多くはない彼の言葉の中で、初めてここまで鮮明な意図を丁寧に教えて貰えたように感じた。知る事のなかった意味に純粋な驚きは瞠目に現れ、やがて綻ぶ笑みにて)あんたって意外と人間よね。最初はもっとゴーレムみたいな感じなのかなって思ってた。(それが勿論悪い意味ではないとはその口振りと喜色が滲み解けた眦から齟齬なく伝わればいい。誤解が生まれそうなら「すてきってことよ」と補足も添えるつもり。どうやら遠慮はらしく無いと言われたか、許された距離感がどうにも心地良くてもう少し奥を覗きたい。)上埜の中の私ってどんな?(上埜新太の中に少なからず北村の形があるのなら、それを知りたがる欲求は素直な好奇心だ。とぼけた軽口を叩く主が果たして本気か戯れているのか、その顔色から真意を窺うことは出来ないからただ下唇を出して肩を竦めるだけ。束の間の沈黙を経て、返ってきたお出掛けプランは到底予想していた幾つかとは比べ物にならないハードさでもって、それこそ上埜らしさを感じたから)そうきたか……、!……?(あまりに腑に落ち、一人可笑そうに笑みを含みつつ頷きながら進む爪先が不意に引き留められた所で、再び振り返って捕まった指先を辿った先にある彼の顔を見る。零れ落ちた一声は、丸められた双眸を表すように。)び  っくり、した……。行かないわよ、なに。いきなり心配になったの?(捕われた指先は彼が離すまではそのまま、その手に力を込めたり抜いたりしながらまだ全然元気に生きていますよアピール。)
北村伊鶴 09/28 (Mon) 15:16 No.99
(反射は寄せる眉根。持論へ対する評価に不可思議な例え含まれるも、彼女の面差しに浮かぶ笑みと次いだ賛辞が良好を物語る。即ち誤解感じずして「おー」と無重力の相槌打つに留まった。)俺と反対が多いけど、話してっとそれが気になんなくなるやつ。(己の行動について一方的に伝える渦中に内訳問われれば。服装に言及するより難無く言葉が唇を割った。切欠は鼓膜に届いた波音か、頬を撫でる潮風の冷たさか、胸懐に吹き荒ぶ抑止の先端を彼女に触れさせて、)そんなに驚かれると思わなかったわ。そうだな、なんかあった時簡単に死にそうなのに普通に進むから。(双眸瞠る相手程ではないが、まるで呟きの口吻に一驚を滲ませる。首を横に倒しながら、行動起こした後に問われて初めて引き金たる事由を付随させるのはままあることだ。方向転換を狙う程度の手引きにて、やがて足下砂の面積が多くなるのなら指を解く。去る熱、視界に映るその動きや止まる様、端緒と過程を目にして自ずと求めるのは最後。)……まあ俺が近くにいる時は好きにすれば。(彼女の他の面を大して知らぬ故視野は狭い。しかし発露しなければ認識に繋がる事も無いと判じ身勝手な許可を述べた。意識を自身の手元に戻すや、酸いと甘いが共存するジュースをまた一口含む。)
上埜新太 09/29 (Tue) 12:38 No.115
……あぁ、だから。気になんないから好きに喋れよってことだ。(彼の言葉を奪ってしまっている可能性を怖がり呑み込んだ時、ぽくないからと発した意図を知って答え合わせ。)私、あんたには何かとすぐに命令してた気がするわ。なんでだろうって思ったけど、純粋に拒否されるのが嫌だったんでしょうね。(良いも悪いも関係無く感じた事を簡潔に言葉にする印象が出来上がってから、悪いを向けられる事を無駄に怖がっていた女子は、未来を強いる事で形だけでも受け入れられる事を選んだつもりだった。)でも実際は切るなっつっても切るし、命令されたところで最初からあんたには意味がなかったわね。…ていうか、そもそも意外と構ってくれるのよね、上埜は。(今度こそ理解したと頷く表情は晴れやかに口角を持ち上げ。海も文化祭も、形はどうであれそういえば彼から声を掛けてくれていた。その事実に今更気付いて、缶を持つ手の甲で熱を持った頬を擦りながら顔を逸らし「そんな簡単に死なないわよ、過保護」と鼻息で笑い飛ばしてやろう。引き戻された後、ある種宣言のようにも聞こえた台詞に揺れる肩、控えめに弾む呼気は笑みを孕んで)面倒見てやるって?いや、守ってやる、かしら…?親切ね。(──それならば。手が解放された隙を見て軽く走り出せばまた波打ち際へ。今度は足首まで浸る場所まで突っ込んでいったところで、悪戯小僧よろしく満面の笑顔で振り返れば声を張り)あんたに心配かけるの、早速クセになりそう!性格悪くてごめんなさいね!何回までなら振り回されてくれる?(流石に先程より重さを増した足取りに手こずりながら、今度は此方から片手を差し出しお迎え待ち。まさか一度きりなんてことは?)
北村伊鶴 09/29 (Tue) 20:10 No.121
(第一印象ゴーレムの人間故に、平素と変わらぬ言葉少なで彼女を語った。間違いを皮切りに誘った砂浜と、現況は空の色が違うだけだとて眼前の朗かさは些か珍しく感受する。)っふ、変な心配性だな。俺は言いたいこと言ってる。(つられるように口端僅かに緩ませれば、改めて告ぐスタンスは周知の事実かもしれないと自覚も孕む。ささやかな買い言葉に負けずにふーんと鼻を鳴らしては、隠れゆく肌を緩慢に目で追った。重量が失せ軽くなった手を無造作に腰ポケットに突っ込みながら、)……親切?(やや訝しげに反復するは先程より続く耳聞こえの良い評価の最後。その空白が遅れをとったか脳髄に落とし込む間も無く、「あ、おい!」先の誘導虚しく遠ざかる姿に表情歪め声をあげる。直様ばしゃばしゃと乱雑に水面を揺らし大股で進み、)性格つーか趣味がわりー、先に体力無くなんのは北村さん、  ほら。(鈍く跳ねる音の区切りに合わせて文句を一つ二つ。名を呼んだ処で縮まった距離は腕一本分。それは正面位置する彼女のものだから、余力の幅を自身の腕に残すには十分で。二音を飛ばすや再び掴んだのは日焼けなど見る影も無い手首。)回数とか知らねーよ。(ひと波の勢いに託けて相手の体勢崩れるよう力強め引き寄せた。重力のまま倒れるなら行き先はクッションにもならない硬い鎖骨辺りだろうが軌道は如何に。形はどうあれ受け止める算段。)…あ、ジュース溢れたんじゃね。あっちで拭きにいくか。(無考えの弊害への気づきも付随して落ちる。)
上埜新太 09/30 (Wed) 20:49 No.143
(意思を持つゴーレム改め、何だかんだ付き合いの良い級友以上の彼を煽るだけ煽って手を差し出す最中、踝まで浸る海水の中で脱げかけるビーチサンダルに足下をもたつかせて一度視線を落とす。)悪さは否定しないのね…てかそこはあんた、そんな北村さんも変わらず愛らし っおぁ、(減らず口が滑らかに言葉を連ねるも、波に揺られてふらつく身を阻止するように掴まれた手が今度は先程よりも強く引き込まれれば、自慢の顔面が彼の胸板に着地。その寸前、慌てて体勢を支えようとした繋がっていない方の手が誤って半分程度残っていたシークヮーサーの缶を手放し、彼の太腿から下を濡らした。肋骨辺りに手をつきつつ、恐る恐る顔を上げれば至近距離にて彼の仏頂面を拝見することとなろうか。薄く開いた唇が鳴らす第一声は)………私が、悪いの?(散々迷惑を掛けておきながら、一声目が謝罪ではないところも短所のひとつ。二言目にして漸く謝るだろうが、どうか彼の眉間に皺が刻まれていませんように。一拍遅れてから濡れた缶を摘むように拾い上げれば、)…あんた、二回目絶対ちょっとムカついてたでしょ。三回目はどうなるの?むしろ一周回って背負い投げされたりしない?(一度目よりも此方の体勢もお構い無しに強い力で引き寄せられた事を引き合いに出して。回数制限なんて無さそうだということを知れば、差し出した手の行方を想像する表情は青褪めた。どうやら怒らせたらまずそうだと察した防衛本能は、砂浜に上がった後も彼の手を掴んだまま利口に隣を歩くに努めよう。離せと言われれば寧ろ逆切れも辞さない自分勝手はきっと今更。)ズボン穿き替えた方がいいかもしれないわね。あはは。(シークヮーサーを浴びたそれはきっと帰りの飛行機でさぞかし臭う。)
北村伊鶴 10/01 (Thu) 03:25 No.159
(さして追加の力を足さずとも、その体躯が己の領域に収まってゆく様を双眸細めて看過した。途中何やら聞き捨てならない句が耳朶撫でた気もしたが、些末と化したのは突如衣服が重み増したが故に。自身を支えとして静かに面を上げる動きに倣い、飲料飲み干し空の缶携える自由な掌を自然彼女の背に添える。かち合う目線は熱を排して真直ぐと、)北村さんが海に入ってバランス崩して溢した。(完全主観の凡そ事実を簡素に告ぐ。奇妙な攻防の顛末が柑橘に流されてしまえばそこまでであり、謝罪を受けるや変わらぬ面持ちで以て俺もごめんと統括して謝るだろう。されど指摘が潮風に乗り吹き返されるなら唇を一文字に結んで開いて、)そりゃ口で言ってんのに聞かねーし。柔道はまだやったことが……、もう行けねーように抱える。なんかこう、米俵みたく。(齎された例えは滑稽ながら想像に易いため首捻り考慮した結果。未だ向かい合うだけには近い距離にて肩上筒状の物を抱えるジェスチャー作った。以降彼女曰く悪癖が顔を覗かせる事無く、靴裏が砂に塗れる徒行。どちらが連れられているか分からない並びの最中乾いた笑声に注意向けて、)においするわ。まあ出発までにタイミングあんだろ。(成り行き任せを宣う真顔が、軈て気づく「お、手にも少しかかってんな」やや時を過ぎ鼻につく酸っぱい香りと手首付近のベタつき。決して薄い存在ではないそれを視界に入れて尚、逃す選択肢持たぬ熱は果たして何度。汚れへの気遣いすら無に寧ろ、掴まれた手の力を引き気味に緩めるなら彼女の肌との間に隙間ができよう。引っ繰り返した手の平の先を、するり北村伊鶴の指に絡め今度は握り締めるのみ。)俺が親切だったらもう手は離してる。このまま…北村さんとまだ喋って、次もぶっちゃけ場所どこでもいいんだよな。だから臭くても我慢しろよ。(心理テストの解答が口を衝いて出る。刹那過ぎったのは場所なぞ構わぬ2つの影だった。片頬をぎこちなく上げて、現在未来本懐冗談ごちゃつき綯い交ぜを曝け出す。明日は何が生じるか、早く知りたいから既に踏み出した。)
上埜新太〆 10/04 (Sun) 03:14 No.182
(互いに主観塗れな持論をぶつけ合った後、色無き瞳同士沈黙のお見合いが数秒。衝突から仲直りまでを飾らない距離感で終えて直ぐ、)まだって言うな。別にフリじゃないから。 つまり強硬手段ってこと?やれるもんならやってみなさいよ。言っとくけど私、体重5億トンあるわよ。(次の瞬間にはまたもや反論が飛び交うのだから、最早これがデフォルト。胸の前で腕組み片足体重でもってその顔を見上げて放つ嘘っぱち、煽りに煽った挙句上埜の肩VS北村の体重のドリームマッチが見られる未来はもしかするとそう遠くないかも知れない。背中から離れゆく僅かな体温を視線が追う先、必要以上を語らない横顔を一度見上げてから進行方向へ戻す。シークヮーサーの被害を受けているらしい箇所をその言葉に続いて見下ろし、確かに濡れ痕残る手首を認めるや否や持ち上がりかけた唇の端が途中で止まったのは、ただ一方的に掴んでいただけの青白い掌指先が一回り大きく日焼けした手に絡み取られたから。次いで徐に耳朶を打った平生変わらぬ聞き慣れた筈の低音に、瞬きを忘れたまま一時停止の状態が漸く解かれたなら目線持ち上げ)…………  や、臭いのは嫌よ。(一旦歩みを止めれば先に拾った冗句。珍しく映る一端を向けられたなら、繋がっている手ごと持ち上げ太い方の手首に鼻先を寄せて笑った。ほら、と続けて嗅がせるように今度は彼の顔の高さまで持ち上げんと。何かしらの反応が得られたところで満足気に元の位置まで下ろせば)北村さんと喋るの、案外楽しくてハマっちゃったでしょ。顔に出てるわよ、にやけてる。(繋いでいない方の手で己の頬を指差しては騙したがりのウソを転がす。また「私は?顔に出てる?」と今度は正しく文字通りを描く自分自身の表情を彼の眸に映し込むように顔を見上げた。趣味嗜好、体格、特技、性格全てにおいて比較的交わりの少ない二人でも、確かに同じものを見て笑い合いながら共に過ごせる事を知った夏。巡る季節の中で上埜新太と何かを築き上げられる未来があるなら是非見てみたい。繋ぐ手の行方は一先ず彼に任せて、止めていた歩みが再び砂浜に足跡を残し始めた。)
北村伊鶴〆 10/04 (Sun) 21:34 No.186
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