江坂、この夏でどれくらい焼けた?

(楽しかった沖縄での日々も最終日という現実に抗いたい心も未だ捨てきれぬ中、きょろりと辺りを暫し探した後で目当ての長身を見つけたなら、つんっと肩を軽く叩いて呼びかける。)いた、江坂。焼くだけじゃなくてちゃんと食べてる?焼いたの適当に持ってきたから、よければ好きなのどうぞ。(だなんて軽やかに口火を切って話し出す。手にした紙皿には豚肉やソーセージ、とうもろこしなど定番の具材が並ぶ。)この夏を振り返ったら、サマリンでも沖縄でも、それに文化祭でも…江坂を随分と引っ張り回したわってしみじみ思って。来年、クラス離れても遊んでね…っていうのは小学生みたいな気もするけど。でも、まだまだ遊び足りないのは本気。(冗談めかして笑いながら、変わらぬ調子で本題を。)それでね、前に江坂が言ってくれたけど…2年から、部活に入るのを本気で考えてみようと思ってるの。さすがに文化部にするけど、書道部、文芸部、茶道部…それから、美術部も。気になるところを片っ端から見て回るつもり。美術部を見学する時には声かけるから、よろしくね。江坂が背中を押してくれたから決められたと思うし、お礼を言っておきたくて。ありがとう。(一年目の夏が終わっても、まだまだ高校生活は続くから。最終日の夜だからこそ、思い出いっぱいの夏のその先に思いを馳せよう。)
御子柴ともり〆 09/30 (Wed) 00:33 No.133
(時間の流れる速度は平等だと分かっていても、今だけは砂を落とす穴のサイズが大きくなってしまっているようなこの感覚をここ最近で二度目だ。その際と同じ南の島で過ごす最後の夜、食欲そそる香りはもう煙となって髪や服に纏わり付いた微かな残滓しか周囲には残っていない。いや、いなかった。たった今それを過去形にした相手からの柔い衝撃を受けた肩の方へと、ゆっくり視線が向いた。)よお。まあ、それなりには食ってた……けど、まだ腹には余裕あるしもらうかな。(彼女の気遣いを受け入れる腹の余裕もあったものだから、迷うこと無くその好意に甘える箸先が少々迷うように揺れ、最終的には美味しそうな焦げ目のついたとうもろこしへと伸びてゆく。)あー、確かにな。割と御子柴と遊んだ記憶が上位にあるわ。……けど振り回されたとは思ってねぇし。別にお前が勝手に全部決めたとかじゃねぇし、俺の意見やら希望やらも入ってんだからお互い様?なんか違うな、けどそんな感じだろ。(一方的なものではなく双方向なものだったと男は認識しているものだから小姑みたいな指摘を挟むも、じゅわりと温かく甘い味を楽しみ飲み込んだ唇が息を継ぐ。)なに、わざわざ言わないと駄目な奴って思われてる?……ってのはまあ、冗談だけど。御子柴との時間はなんつぅか、楽しいだけじゃなくて俺も色々発見出来たりしてこう、実りある?感じだから、またなんかあったら声掛けてくれ。(目で、耳で、肌で。五感に結び付く思い出の傍らにはいつも彼女がいたように思うから。掛けてくれ、と言いつつも同じことを己がしている未来だって容易く思い描けた。微かに緩んだ口元は、続く言葉にお、と短い声を放つ。)いいじゃん、気後れせずに前に進んでくとこすげー御子柴っぽい。(その背を押した自覚も記憶もばっちりとあるものだから。破顔一笑し、並ぶ部活のラインナップに物足りなさを感じた唇が一つの部名を紡ごうかと開きかけたその時。思い浮かべていたものが呼ばれ、言葉の代わりに安堵の息が吐かれた。)勿論、いつでも声掛けてくれ。展示でやってることの雰囲気は分かってもらえただろうから、後はお前次第な。(美術部代表として彼女を案内する日を描きながらも、今思い馳せるのはそれよりももっとこちら側のことだった。)沖縄でなに一番楽しかった?(他愛もない問い掛けから交わされるやり取りから見える景色さえも、確かな思い出となるだろうから。)
江坂匡〆 10/02 (Fri) 22:01 No.166
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