5秒後息してるのが自分と思わないことね。（治安激悪のミラーレンズから覗く濁った瞳は下世話なポーズを控えただけ懸命。蛍光グリーンのタンクトップにだらしなく羽織った幾何学模様と春画風柄シャツは片側の肩が剥き出しに、ハイウエストのデニムショートパンツは孤独に生きる少女たちの心のようにほつれだらけの穴塗れ。見たくないもんばっかの世界を曇らせたくて引き摺ったビーサンで土を蹴り上げた――とこで背負った雰囲気を砕破する笑みが耐え切れず零れ落ちた。）馬渕くんのせいでしょー！？（言ったそばから笑っちゃう愉快さはもうアングラ育ちとは程遠く、サングラスを胸元に引っ掛け「最高のコース？最後は車道のど真ん中歩いて米軍のジープに轢かれるオチかも」とちゃちなヤンチャ願望を吐露。提案の内容を聞く前に「もちろん！」勢い込む口吻はだって燥ぐ胸裡を抑えるすべが見当たらないので）一緒にバカになってくれるんならいいよ。あれとか。（ぱかっと開いた大口が笑みの名残を引いて、ショップ指差す掌毎拝借したらすい～んと方向転換する先には「モテんちゅ♡」「ぱいなっぷるん♡」と後者はDカップを模した曲線にパイナップルが揺れるデザイン。）馬渕くんにしか着れなさそうでしょ。（悪辣描く唇が反旗を避けて駆け出す目的地は数分足らずでステーキ屋。ダイナー的な色彩溢れる店内へはやく！と手招きして席に通されたら肉々しいメニューとのご対面だ。）こういうとき「ふえ～んそんな食べれな～い♡」っていう女の子か300g平気で頼む女の子。あなたの好みはどっち？

あれ？（着込んだシャツの春画風柄を徐に覗き込んで、また馬渕を見て。）びっくりした、シャツから飛び出てきたのかと思っちゃった。（態とらしい汗っかき顔で告げるのは脂下がるスケベ顔へ向けて、「良いけど引っ張ったら最後ご開帳しちゃう設計なの。キズモノにした責任取れる？」と脅迫めいた台詞とともに不埒な指先へ先制アタック。）あっは！バカT着て写真撮ろね。大丈夫1-1グルチャに拡散とかぜんぜん。もうぜんぜんしない。（そりゃジープにぺちゃんこに轢かれもしますねと移り気を詰ってみれども耐性なく噴き出してしまうのは女の方。笑いのツボが死んだと感じるのは此の男と居ると侭ある事だった。）それもうなんでもいいんでしょお。一途じゃないんだあ。（なんにでもかんにでも可愛いを見出す天才との感嘆は隠して渋面で文句垂れたら、そのどれも蹴散らそうと反骨精神が働いて「ぜんぶ食べますサーロイン350ｇ！」と挙手して店員に笑われるまでがオチ。序にサマリンでは飲みそびれたパイナップルジュースも頼んじゃったら、隙間は「あたしは500gぺろっと食べきる男の子とか大好き」「オマール海老殻ごといっちゃうタイプも」と戯けた与太話で埋めて。空腹を刺激する景観も直ぐのこと、紙ナプキンで防御しても飛び散る肉汁を前にいただきますを先走るのはどっちか。）うっっ　わあ……おいしい！すごい、あと1kgいけるかもしれない。（ナイフとフォークを突き立てる姿は感動に目弾き、鉄板を前に汗ばんでもうっかり髪の毛まで食べちゃっても頓着しない程の多幸感だった。）

天才？優勝の組み合わせだ、　ねえこっちも食べてみて　超にんにく臭くても引かない？（小田激推し三杯酢はにんにく焦がし醤油だが今後良好な関係でいるための疑問符は大真面目に戯けた句。たっぷり辛子を乗せた肉へ最初こそ目を輝かせるも陰りはきっと数秒後、刺激にやられてぼろっぼろの悌涙と相成れば「お゛い゛じぃ゛…」とそれでも垣間見える食い意地は間抜けったらないだろう。指先で払った髪の毛までけぶって匂う昼下がり、目の前にころんと転がる人参と馬渕とを交互に映じたら）あらまあ一颯くんは5歳児ですか？食べなきゃおっきくなれないよ。（隠さぬ揶揄がにやつく唇から零れ出る。フォークに突き刺したにんじんを「ほらだーにきだと思ってたべて」とその口元へ追い遣るがまあ最終的にはこんなおいしいのにねと共食い気分で食べるかも。大食漢を存分に見せつけたら勇ましい表情は得意気だが「肉の　に　？肉片の　花畑や～」と食レポは反してへたっぴ。再び太陽のもとへ踏み出す頃にはすんと袖先を嗅いで）あたしたち、くっさ。（耐性無く笑った。）バカを極めたいけどこういうのも捨てがたい、どう？（斯くして国際通り沿いを闊歩し観光客向けの店先、馬淵のみごろに充ててみせるは「うみんちゅぬ星」と黒地に白抜きのご当地T。）まともにかっこいいのはだめ。こっちは？（二着目はまあ王道な「なんくるないさぁ」の字が躍るが、印字されたご当地キャラのゴーヤくんが馬渕のナッシー顔と重なって噴き出す。）このゴーヤくん、馬淵くんそっくり！

あたしの蒙古斑を生贄にささげたら　　いいの…？？（プリケツから想像する責任はつまり代わりの「お」からはじまるエトセトラ。態とらしく肩を掻き抱いてさめざめと泣いてみせても三文芝居の胡散臭さは直様笑声に転じる筈。「もっと大きくなりたいなら食べ　や、これ以上は結構巨人…」と見上げる首の角度を思い出してから唇を結ぶが、仕返しのブロッコリーが馬渕の皿に転がるからどんぐりの背比べの幼さが露見する一幕。ぽこんと膨れた胃を撫ぜながら煙とにんにく臭塗れとて馬渕となら怖くない気概で笑い飛ばした。）プリケツ美女見てる時に馬渕くんにそっくりすぎない？歩く18禁の視線だよ、これ。（態とらしい汗っかきの表情が再来したら困ったわねと素知らぬフリして肩を竦めるが然し面白がった悪戯のしっぺ返しは卒然と、）ど　ど　どう考えたってかわいいでしょー！？（あっさり突き付けられた可愛くないの烙印を享受したがらない胸裡が「うそだもん」「ぜえったいうそ」「かわいいもん」と人参を嫌う5歳児より余程へそ曲がりの3歳児宛ら唇を尖らせる。ぶすっと仏頂面かましたまま宛行われたTシャツはNIKEをパクった文字部分のリーゼントを映じて「拳ひとつで決着つけようや。奥歯全部抜いてやらあ。」とそれらしい台詞とて存外本気の熱量で悪態付くか。畢竟笑い疲れて声掠れる頃には「これにするう」とギャグに走る指先がYANKEETシャツを選び、その場で着替えちゃえるなら揃いのポーズは陽炎揺らめく国際通りのど真ん中で堂々と。帰路ゆく途中には、あ、短な声を上げて）う　　あぁ…　あれね、たいしたことないんだけど。「ちょびっとで良いから浴衣姿が見たい！」て言おうとしてたの。タイミングが…　間の悪さがはずかしくて…。（タイミングをトチった希求は果たせなかったからこその羞恥心を呼ぶから「またいつかのお楽しみにしなきゃ」と括るとして）馬渕くんはネズミ花火とかって言いながら爆竹しかけてくるから。ってそれはあたしか。（あっけらかんと物騒な所業を唇に乗せるが然し、目弾きひとつで視線を釣れられ額を注視。まじまじとでこっぱちのなかに文字を探さんとする双眸を細めて瞠って見開いて、最大限都合のいい解釈に天秤を傾ける。）「4日目もだーにきと遊びたい！」？あたり！？（たいそれたアンサーにハラハラドキドキ、答え合わせは二重丸以外ノーサンキュー。）