(旅は道連れ世は情け?)

(国境こそ越えていないが凡そ3時間の空の旅を経て再び南国へ降り立つ。9月下旬とはいえ夏も盛り、衣替えもままならずキャリーに詰め込んだのはまだまだ活躍中の夏服たち。いつかの休憩中に笑った『ご近所』の暑さはあの異国を彷彿とさせ、しかし沖縄土産にいとも簡単に引き寄せられては日本であることを再認識しよう。別荘の部屋に到着して早々紅いもタルトをひとつ頬張れば、ビッグシルエットのボタニカル柄シャツと黒スキニーで別荘内の散策へ意気揚々出発。)あ。(履き慣れたスポーツサンダルで歩き始めてすぐ、廊下に級友の背中を見つけたらツンと背中をつついてしまおう。)ひま?別荘探検に行こう。今なら紅いもタルトをあげようね。(それはまるで買収するような言葉つきだった。)
高代晴可 09/10 (Thu) 23:20 No.2
(何度乗っても慣れやしない空の旅。乱気流の影響だとかで揺れる機内で蒼ざめ尽くした低テンションを引摺るみたいに未だはしゃぎきれずにいる沖縄初日だった──筈、そんな心積りは晴上がる海を眺めているうちに半ばどうでもよくなるから笑える話。別荘の南側。開放った廊下の窓にさしこむ潮風がカーテンを揺らす。思わぬ刺激を背中に受けるのは木造の窓枠に手のひらを着いて、海面に反射するひかりの煌めきに視線を注ぐそんな折。)暇。日本の生活挟んだらバカンスの遊び方忘れちゃったよ。(自由過ぎる行動スケは未だまっさらで何をすべきか模索中の現下。丁度良かったと言わんばかりの眦が振向きざまに細くなる。)紅いもタルト美味しいよね。好き。水分もあればなおよし。ダイニング寄っていい?(即決の乗り気が探索ツアーの第一目的地を発案。来客用の冷蔵庫には沖縄のご当地飲料を詰込んでるとかそういう話を聞いた気がする。)琉球コーラが気になってるんだ。
葉邑柊 09/11 (Fri) 10:25 No.3
忘れたならもっかい覚えちゃえば問題ナシ。ここは起きて5分でプライベートビーチの世界だよ。(たそがれの背中をつついた指先はそのまま窓の外を指差し「ほら見て」、2度目の南国の歩き方を再履修させんと目論めば「あの海がうちらだけのものだった夏を思い出して」と級友の威を借りて異国へ思いを馳せる。たいそう唐突だった探検への誘いに乗ったと解釈したなら、細くなるまなじりを映す鏡のように笑った。)沖縄のおいしいものって水分奪われがちじゃない?ちんすこう、サーターアンダギー、紅いもタルト。(指折り数えて列挙した水分泥棒3点セット。桃太郎のきびだんごよろしく旅のお供へ紅いもタルトをひとつ差し出せば、異論などありゃしない最初の目的地まで並び歩こう。道中「ダイニングこっちであってる?」と方向音痴を晒すこともままあるだろうけど。)ふつうのコーラと違うの?無性に気になってきちゃったな……、(ともあれ無事到着したダイニングにて冷蔵庫を開けばさすがの品揃え。「見て見て」と彼を手招いて庫内を覗き、そのうちのひとつを手にして聞く。)沖縄のバヤリースって味ちがうらしい。知ってた?
高代晴可 09/11 (Fri) 23:54 No.4
サマリンの景色がぜんぶ俺たちだけのものだった頃、高代は起きて5分で海に飛び込んだりした?(ほそっこい指先が示す遥か遠く海のかなたを導かれるみたいに見詰めた。「本の書出しみたいだな」と言ちたのはまるで海をほしいままにする彼女の言い草が小気味くてツボに嵌ったともいう。)俺はあるよ。終盤でシュノーケリングにハマってさ。準備運動忘れて水の中で即足攣った思い出とセットなんだけど。(似て非なる海面のきらめきを眺望する眼差しに郷愁が交じる。)おまえが言ってる紅いもタルトって沖縄銘菓だったんだ。いつの間に。空港で買ってきたの?(躊躇無しの手のひらに吉備団子もとい紅芋タルトを乗っけて貰えば、返礼品代わりにあどけなさが残る笑顔が灯るだろう。ありがとうと乗じた礼を追いかけるみたいに踵を返すのはダイニングを探す旅のはじまりを示す合図。)実は勘で歩いてる。探検ついでに適当な扉開けて歩いてもいいかもね。(手っ取り早くそのあたりのドアノブを引っ掴んでみれば、開かれる光景はトイレだったり掃除用具室だったりしたけど。笑声をあげて進む往路は愉快だった。)どうだろ。黒糖たっぷりでド甘かったりして。(琉球コーラを冷蔵庫から1本引抜きながら手招かれるがまま視線を向ける。)……バヤリース、知ってるものより色が濃い気がする。シークァーサー味もあるよ。(丸めた目が冷蔵庫内に漂った。「飲み比べする?」と訪ねながら紙コップを2つ拝借した。)
葉邑柊 09/14 (Mon) 12:52 No.27
5分どころじゃない。秒だよ秒。(だいぶん盛った冗談は窓からショートカットを決めんばかりの計算である。海へ向ける指を一本増やしてゆれるピースサインは「2秒」を表し、けれど笑って「やっぱ2分」と現実的な数値へ1分58秒の猶予をねがうまではそれこそ秒だ。)はは、間抜けだ~~ それ溺れんかった?大丈夫?(笑声が喉奥から抜けたのもすぐ。海中で脚を攣るおそろしさに無事を問うのは今更だが「生きててよかった~~」の安心と「わたしの見てる葉邑亡霊じゃないよね……?」の不安も少々。)空港ついて即買ったし部屋で即食べた。お土産開けるの早すぎた?(開封の儀を執り行ってしまえばもはや土産とは言えまいが、しかしみわくのビジュアルに封を切るなという方が難しい。彼の手のひらに紅いもタルトを乗っけての「食べて食べて」の視線は、水分不足を共有させる魂胆だ。)開けちゃいけないドアだったらどうする? 開けたら罠発動するとか。インディ・ジョーンズみたいに。(巨大な石が転がり落ちてこないか階段の上を確認する茶番も交え、ハズレばかりの確率に笑って「今度こそダイニング!」とは何度目の正直だったか。)それはもう黒糖ジュース。(あまいものは好きだが限度がある。彼の予想にぐっと口をつぐんでノーを主張、飲み比べの提案を聞くころにはノーを突きつけた表情も消え去って晴れやかだ。)もちろんシークァーサーも。(選択肢の増加は紙コップをひとつ増やすことで対応。彼のぶんのバヤリースを注いだならば「ほら乾杯しよ」とドリンクを高々と掲げた。)
高代晴可 09/15 (Tue) 23:27 No.39
秒でダイブできるやつはいっそ砂浜で寝てるね。それにしても悪くないプラン。(冗談だって実現可能できそうな夢見がちな海への秒カウントプランを耳に捉えれば、いっそ沖縄でやりたいコトのタスクに放り込みたいような気にさえなる。)砂浜にサマーベッド敷いてさ、星見ながら寝落ちして海から昇る日の出を見ながら目覚めんの。そんで海にダッシュ。(体力的に向いてないだろう当事者の口から出る言葉として不釣り合い甚だしいプラン。)シュノーケルっていうチートな水中呼吸器具付けてたおかげで。(生きてる。なんとか。安堵と不安が混ざり合う彼女の情緒の波に揺られて、次いで放つ言葉はそこそこの悪ノリ。)夜とかさ、高代がもう一度ダイニングに行きたいって思った時にもしなかなか辿り着けないようだったら亡霊の俺が迷わせてるのかもしれないな。(ダイニングかと思って開く扉はもしかするとあの世とこの世の境目かもしれないと在りきたりな空説並べ尽くした後に包装ビニールに包まれた紅芋タルトを半分に割る。一口一気食いは遠慮を覚えて、片割れは自分の口に放り込み、もう片割れはうまいこといくなら高代の口の中に放り込んでやろうとする。紅芋タルトは咥内の水分を奪いつくすジャイアンだ。のび太の気持ちを分かち合おうか。)インディ・ジョーンズ風のヤバさならヘビ詰まってそうで困るな。(開けちゃいけなさそうな扉を幾度となく開けて向かったダイニングのテーブル上に佇む紙コップは喉のオアシス。「何に乾杯しよう」問いながら倣ってドリンクを掲げる。)バヤリースの次に、曰く付きのルートビアに挑戦する俺らの勇気に乾杯?(適当いい包めて紙コップをぶつけた。)
葉邑柊 09/18 (Fri) 14:49 No.57
うわ、(おのれが語るよりもたいそう具体的に練られたプランを耳にし、うわずった声が抜ける。)それ、最高のプランすぎてすぐにでも実行したくなっちゃうや。ぜったい誘ってね。もしものときは葉邑を引っ張り上げてあげよう。(なにかと体力面の芳しくない彼の救助役を担うことを隠れ蓑にし、みずからもプランの一員となろうとする欲。いけしゃあしゃあ「寝起きで海は心配ですからね」と楽しげに語るのち、亡霊の可能性をにおわせる悪ノリに眉間にしわよせ息が詰まる。次に開けた扉の隙間から向こう側を覗いて恐る恐る確かめることもあっただろう。)そんな怖いこと言うからドア開けるのどきどきしちゃうじゃん……葉邑、きさらぎ駅とか好きなタイプ?(尋ねるのは霊の類とはまた異なるかの有名な都市伝説。紅芋タルトを差し向けられたらそのまま口の中へ、再び口の中が枯渇の一途をたどればダイニングにはやく着きたいと心なしか早歩きに。)それはもっといやだ……冷蔵庫開けたらぜ~~んぶハブ酒だったら絶望じゃん。(歳相応のくちした16歳が求める飲みものがひとつもなく瓶の中でこちらを見るハブたちを想像し「こわくない?」と同意を求める。しかし乾杯の音頭を悩むところは絶望と程遠い平和な光景だ。)うっ そ~~~挑戦するの?ほんとに?サロンパスの味するって聞いた……。(かるい音がする「乾杯」のあと、ワンテンポ遅れた凡そ1年分の勇気を要しそうな挑戦を知る。やだやだとギリギリまで渋るだろうが、挑戦が実現すれば最後にはきっと紙コップに注いだぶんだけ飲み干してしまうだろう。目も口も、顔の部品が全部中心に寄るくらいに顔をゆがめたりして。そんな沖縄の思い出のはじまり。)
高代晴可〆 09/20 (Sun) 16:45 No.72
実行するのにふさわしいのは、その気になってる時スグだよ。どうする?俺が気乗りするのは今夜なんだけど。(モラトリウム充実期を堪能する大人未満のよわいにして社交辞令なんて覚えて堪るかと反骨する精神は葉邑の基軸。誘う前から肯定をもらったみたいな気になる彼女曰くの“ぜったい”を聞ければ迷いなんて生まれない。)俺がしがみついたらおまえが沈みそうで怖いな。俺が使う浮き輪に紐付けとくから、高代はそれ握ってよ。(想像だけで滅茶苦茶に格好悪い絵面が完成。もしもが来る前の予防線を張って、とっくに彼女はプランの一員に加えていることを報せる。「なにせ準備運動の猶予は10秒くらいしかなさそうだしね、何できるかな」と寝起きから海へダッシュする合間に施せる準備運動を試行する茶目を語る唇は彼女につられて楽しげに撓む。)都市伝説なんだ、……きさらぎ駅は今初めて聞いたけど嫌いじゃないんだろうな。(何それ?を返す前にググったウェブサイトに綴られる解説に目を通している自分に気付けば、関心を寄せている本音を晒す。)興味深いけど、俺なら絶対真夜中に知らない駅で降りたりしない。きさらぎ駅の迷信全盛期は携帯のマップで現在地分かる時代じゃなかったんだろうね。……現代にしか生きられないな、俺。(普通に当然にビビるよと虚勢も張らずに肩震わせて「こっちで電車乗る機会があったら気をつけよ」彼女をも巻込んで教訓を注ぐ。心理的恐怖に次いで、視界にハブ酒が並ぶ物理的恐怖を囁かれたなら「俺達のテーマってゾッとする話だっけ?」告げながらそうだねと同意を示す顔が苦々しく顰められた。)高代は赤信号もみんなで渡れば怖くないタイプだと踏んでるんだけど違う?アメリカンクリームソーダで口直しできるから頑張ろ。(口直しに選んだ飲料だってウマさの保証なんて塵ともないけど。インディジョーンズなみの冒険心を紙コップに注いで過ごす一日目の無鉄砲はきっと後悔が尾をひく結果になるんだろうけど。赤信号も彼女と渡ればきっと事故もかすり傷。)
葉邑柊〆 09/23 (Wed) 02:11 No.94
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