(はじめてのおつかい サマ高編)

(目まぐるしい時間も準備の始まりから数十分程度。各々分担に沿って作業する頃には声を掛けられる事もなくなり、初っ端から指示待ち人間と成り下がっていた森地は手持無沙汰に教室内をうろつく。もちろん担当はあるもの、テキパキした級友のおかげで暇が生まれてしまったとは本人談。そんな人間にようやっと下された仕事はジュースのお使い、場所は昇降口の自動販売機。千円札を胸ポケットに押し込んだなら課せられた顔は何てことないしれっとで、教室を後にした。)あ。目合ったな、いま。(取り出し口に溜まる紙パックジュースは五本。抱えられる量にも構わず、ふと辺りを見渡した先でクラスメイトの一人と視線が交差した感覚を疑わず問答無用の手がこっちに来いと招く。相手の出方を確認する前にもう一声。)奢るからさ。(人差し指で自販機を指して。)
森地康太 09/01 (Tue) 19:47 No.8
(何の変哲もない無地の白い半袖シャツが落ち着かない。色柄が派手なものばかり好んで袖を通していた南国生活を抜け出せば、あそこがひどく開放的だったのだと橘鷹でさえ思う。平凡を型紙にして作ったようなこの服がなんだか物足りなくて、首からネックレス感覚で下げた南国土産のレイは文字通り華となる。すれ違うたび二度見される容姿の男が、立ち止まりある一人に視線を注ぐのは見知った顔であったからだ。南国生活以前から愛用していたサングラスを額上に持ち上げて、)…む!バレたか!僕が熱視線を注いでいたことに! どうしたもーりー、喉が渇いたか?(手招かれるまま駆け寄って覗き込む。やたらと飲み物を買い込んでいる姿を見て浮かぶ推察は、橘鷹の願望でもあった。何故かと言うと、)何を言うんだ!遠慮はするな、僕が奢ろう!! どれ牛乳か!?(友人のために金を使いたいのである。無礼ですらある決めつけの指先は、白と青のわかりやすいデザインへ迷いなく向かってゆく。)
橘鷹銀河 09/01 (Tue) 22:24 No.13
(森地は考える事を止めた。視界も思考も情報過多によって淀む以前に音発せぬまま、現実かと認識するようにただ瞬いた。そうして口が開いたのは彼の言葉を全て耳に届けた後。)いや、俺が飲むんじゃなくてクラスのやつに頼まれた、五人分。うん、うんうん、まあ牛乳は飲むしそれで。なんで橘鷹が奢るんだよ。奢りたがり?良いことあった?(状況説明はおまけ程度に、気持ち良い程の勢いを留め立てしなければ取り出し口にまた一パック増えよう。しかしやはり出会い頭から乗り気状態に笑いが堪え切れず、それを軽く放ちながらも彼の心境を探った。)制服だししょうがないけどさ、橘鷹って無地着るんだな。夏休み前も普通に着てたか、あんま記憶にない。(纏う鮮やかさはなにも着衣に留まるところではないものの、一気に吸い込まれた白いシャツに妙な違和感を覚えてしまった。以前の彼を掘り起こせない事実もまた夏の濃い時間あってこそと笑いを連れて。)んで奢ってくれてありがとう。ついでに教室まで一緒に持ってくんでよろしく。どっか行く途中だった?(数分遅い確かめは溜めた紙パックを漁りながら。)
森地康太 09/02 (Wed) 22:57 No.31
(頼まれた、の言葉に「ああ!」と二音が納得したよう出る。だからこんなに買い込んでいたのか、とばかりに取り出し口に溜まってゆく紙パックたちを見た。)パシリ?おつかい?というヤツだな! ならばお疲れ様のもーりーへ牛乳をサービスだ!実は僕には貢ぎ癖があるらしい。変な女に引っかかるなよと言われたよ!だがもーりーは男だから大丈夫!良い事は毎日!(飲むと言われたら大喜びでボタンを連打する気概。ひとつひとつ返答するたびに押したボタンは合計3回、牛乳の紙パックを取り出し口に積み上げた。)…?どうしたんだ急に!そりゃあ僕だって柄物を着てきて許されるなら着たい!素行不良は良くないからな、普通に着てたはずだ!多分!(校則は守っていたはずだと言いきれないのは、耐えきれず制服で登校しない日があったような気がしないでもないからだ。答え合わせは叶わないから、いっそ「こうなったら文化祭当日は松平健のような浴衣を着ようかな」だなんてこの期に及んで彼の記憶に残ろうとする。)どういたしまして!よろしくされた!僕は部活の打ち合わせが終わってする事が無くなってたんだ、丁度良い!(同じく屈んで取り出し口から紙パックを漁る。半分ずつ森地と分けて抱えたら、腕の中の冷感が心地よい。教室までの道を歩みで辿りながら)もーりーは当日どんな浴衣にするか決めたか?
橘鷹銀河 09/03 (Thu) 16:35 No.39
えっ ちょ、な…え?橘鷹、橘鷹。3回押した?3回押したよな?今。自覚ある?(順当に行けば貢ぎ癖とやらを中心として話を広げていたが、見事可能性に過ぎなかった。凡そ高確率の未来も彼にかかれば知ったこっちゃないと、リズムの如くテンポ良い刻みに森地だけの焦りが積もる。聞き手且受け手の反応は、まず彼の意識の在り処を確かめた。)あっちで派手の橘鷹に見慣れたせいで、今の白シャツだと…大人っぽく?見えるな。いや逆か…?ああ、似合いそうじゃん、マツケンサンバ。そこまでやったら髪型も真似しろよ、ドンキとかに売ってるだろ。ヅラ。(新鮮を着用した姿を見据えた眼差しであっても印象ははっきりしないまま。松平健と聞いてマツケンサンバが式となる思考が、想像にて黄金色の和装した彼を浮かばせたもそこに違和感が生まれないからすんなり首肯と面白がる助言を付け足す。無理強いも過言でないのに、明るく前向きな返答に改まったお礼を挟んだ後、三パックの牛乳とジュースを抱えた歩みが緩やかなのは彼との談笑に意識が傾いて。)決めてないてか多分、家に浴衣ない。けど黒だろうなきっと。橘鷹の担当ってなんだっけ。放送部の仕事もあるしで当日は忙しそうだな。(先程まで打ち合わせとの情報から当日も何かしらあるのだろうと推測交えながら。)
森地康太 09/04 (Fri) 00:52 No.52
??? 押したぞ!!足りなかったか?(欲張りさんめ!と4回目に突入しようとする牛乳フィーバータイムは、橘鷹としては正気ということを示したうえで制止の対象になるだろうか、それとも男が「いや、やはり止めておこう。ビタミンも必要だ!」とリンゴジュースフィーバータイムに遷移するのが先か。)大人っぽい!?本当か!?僕が大人っぽくてカッコイイと!?…はっはっは!地味すぎて落ち着かなかったが、白シャツも悪くないな!明日はネクタイでも締めてくることにしようか。ところでネクタイはどうやってやるんだ?(森地の曖昧な眼差しもお構い無しに、一部の単語を拾い上げて自分に都合よく拡大解釈するまで要した時間は数秒。照れ照れと満更でもない様子で笑いながら結局はアホを露呈するだけだったが。助言に対しては「ええ〜、それは本当にカッコイイのか?しかし将軍になるには避けて通れないこと…」と、髷頭の自分を想像した上で葛藤するように腕を組み思案する姿は真剣そのもの。級友との談話は気兼ねがなく心が長閑になる。)そうなのか!?もしかしたらハナワくんが用意してくれるのかもしれないが…困った時は言ってくれ!僕がプレゼントしよう!黒だな、黒。もーりーは黒が好き? まあ放送室に拘束される時間もあるが、当日楽しむ時間は充分ある!(早くも当日へのはやる気持ちを抑えられない様子で語尾が跳ね、包み隠さぬ❝楽しみ❞を垂れ流した後で「そういえば」、)僕の担当は何だったっけ?(ド忘れ男、質問をそっくりそのまま返す愚行。)
橘鷹銀河 09/05 (Sat) 20:50 No.78
(背は足りないが牛乳は事足り過ぎた。不足と思う彼の思考はきっと当分掴めないまま、新たな軌道に乗る寸前にして「ばかやめろって!」少し張った声が彼の手首に軽いチョップお見舞いして、事なき得たい。有耶無耶も本人が称賛として受け取ってくれるならば幸いだが、その明るさが可笑しくもあって口端から笑いが溢れた。)格好良いは勝手におまえが付け足した。別に普通にさ、………ネクタイは橘鷹に似合わないかもな、格好良さが減る、うん、減る絶対減る。必要な時はどう付けてたんだよ。適当に?親?(装着手順を上手に口説明する自信ゼロが、毎秒でも理解出来た気がする彼の扱いのこなし始めに面舵をとった。いなせを目前で揺らしつつ、彼の日常を垣間見ようとする質問も同時に向ける。熱心に悩む姿を横目に。)プレ…?橘鷹また癖が出てんじゃん、貢ぎ癖。本当にサンタより人に物あげそうだな、小遣い使い切らないよう気を付けろよ。ありがと、黒は好きと言うか着る服はほとんど黒。(贈り物とは想定外に目弾きも、長所とも短所とも成りえようか点の気掛かりは表情和らげて最後にお礼も忘れず。続く口を待ち、その内容にはもう噴くしかない。)知らねえよ(ツッコミの響きで条件反射だから気持ち整えて)輪投げじゃない?俺たこ焼きだけど一緒じゃないと思っ(教室まであと少し。扉から顔を見せた依頼人でもある級友が投げ輪片手にこちらを手招き「橘鷹ヒマんなったら担当手伝え!」名指しのご指名だ。)輪投げだったな。っぽい顔してた(からかいはすんなり出た。)
森地康太 09/06 (Sun) 03:47 No.83
(手刀を見舞われた手首は無抵抗、「ぐあっ」と情けなく零れた小ダメージはパックジュースの確変終了を告げる。紙パックを買い占めかねない事態は完璧に免れた。)何ー!?嘘だ!言ってた!もーりー言ってた!僕が世界一カッコイイって!絶対言ってたー!!(都合の良い耳は水掛け論に発展する、まるで幼児の駄々。)…減るだと!?それはよろしくないな!?まあ減ったところで焼け野原に水だが…、うん?親か、その辺の人にお金を払ってやってもらった!(焼け石に水と言いたかった誤りは些末に成り下がるバ金持ちエピソードをケロッと晒しつつ、森地が切った舵のおかげでネクタイを着用する機会は卒業式まで無さそうだ。)本当だ、出ていたな…。やはり癖というだけあって無意識だ!ははは!サンタが職業になるなら僕の進路希望の一番上に書くんだが…卒業したらサンタの国に修行へ行こうかな。 ああ、着ると落ち着く色はあるよな。僕が柄物に落ち着くように!(放漫な夢を語る間もお礼の言葉に喜ぶ間も、終始楽しげに語調が弾む。案の定頂戴した知らねえよにも「あっはっはっは」と転がり出しそうな笑い声を響かせた。キミがそれなら僕もそれにするなんて決め方でもした事は想像に容易く、故に記憶に残っていないから「輪投げ~?」と微妙な反応示すくせに現実はというと)……輪投げだった!!(大笑いである。)輪投げっぽい顔とは?こういう顔だったらたこ焼きだったか?(級友には了解の意で手を振り、森地の言葉には楽しく思案を始める。“こういう顔”で自らの頬を片手で挟みタコの口。)
橘鷹銀河 09/06 (Sun) 14:33 No.87
うるさいうるさいって。言ってた、銀河一格好良いって俺が言いました。満足か!(躊躇わない制しは子供相手の宥めの響き。しかし続く言葉は根負けの棒読みで、規模をでかくしてやった計らいに窺う精神はほぼ同年齢だろう。)焼け石な。惜しかった。………それ他人?あ、サマ高生の誰かってこと?(簡素な訂正も僅かに口元を緩ませたが、広範囲の適当に訝る面持ちはお節介の心配で埋め尽くされていた。“その辺の人”具合を測る問い掛けも晴れない顔。)来年からサンタクロースも職業になるらしいじゃん、知らなかった?ただサンタって真っ赤以外着るの禁止とかルールあるんじゃない。柄物着たら偽物って泣かされそう、子供に。(彼の晴れやかさと壮気以てすれば一連の会話が嘘だと分かっても笑い飛ばし、明日には新しい夢をなんて身勝手を押し付け、傍から見ればサンタを信じる少年の会話もただ彼の答えだけを待った。本人よりも本人を理解した瞬間は二人の多笑いが廊下に響き、抽象的だった言葉を明らかにしようとする動作とその顔を眺めて神妙顔を意地で作る。)それはもうタコ。…いや、けどもうちょっと口を…(尖り増量させる指先の伸ばしはすっかり抱えた紙パックの存在を忘れていた。一パックが落ち、やべと気付いた矢先に漫画みたいに全てが廊下に放たれる。回収する膝折よりもまず彼を向き。)橘鷹はなんも見なかった。見てないよな?(共犯の頷きが見られぬ限り問い掛けは繰り返すつもり。)
森地康太 09/06 (Sun) 22:21 No.92
銀河イチ!!(フレーズを気に入って繰り返す。棒読みなど気に留めずふふふと漏らした笑顔は満開である。)大満足だ!そうか、もーりーは僕のことそんな風に思ってたか〜ふふふ。(言わせたに等しい誘導で勝ち取ったものを優り顔でひけらかす様は人によっては癪に触れるかもしれない。)おお、石だったか!部分点が貰えるな! ???いや、通りすがりの人だ!(彼の憂慮が嫌な方向に的中しただろう、シンプルに問に答えるだけの切り返しも道徳の欠如に見合わずけろっとしていた。)なにーーー!?そうだったのか!?し…知らなかった!!おいおい天職だぞ!僕はサンタにな…、 それは…困るな…。確かにスーツを着てプリキュアだよと言われても信じられないしな…。どうしてもあの赤しか衣装はないのか…。(一片の猜疑も抱かず信じ込んだ冗談を、至極衝撃的な面持ちで丸呑みにしては普段なにがあっても見せることのない真剣さで思案に暮れた。かと思えば現今のようにゲラゲラ抱腹する瞬間もあるし、情緒の切り替えが自転車の変速よりもスムーズな男である。)…む!たこ焼き顔のコツがあるのか?……あっ!(伸びてきた食指を甘んじて受け入れる所存だったのに、ぶちまけられた紙パックたちにリセットされたら一瞬の唖然。戦犯森地の冷静な物言いに、何よりもまず笑いが零れた。サングラスを額上から下ろしたら、)ああそうだな!サングラスで視界が悪くて何も見えなかったよ!あっはっは!(秘密の共有が仲良しの近道。喜んで共犯の枠に座って、当然のように膝を折った。まずは隠蔽工作から。)
橘鷹銀河〆 09/07 (Mon) 23:27 No.108
(格好良さはひとまず置き、憎めなさは間違いなく銀河イチだ。例え敗者であってもご満悦笑みに結果なぞどうでも良く、思わずこぼれた笑いをそのまま携えて「思ってた。ずっと思ってた」初回よりは気持ち増し。)…誰から?俺?俺なら容赦なくペケに っておい。まじの赤の他人じゃん。人見知りしないって部分は良いけどさ、これからはクラスのやつに頼めよ。違うわネクタイくらい付けろ、練習しろ。(すべきでない予感が的中してしまうから最悪事態回避の案をまずは伝えたが、そもそもの気付きに自ら切った舵をまた切る始末。言葉こそ同性相手の厳しさを放ってもその顔はもうおかしくて笑っていた。)スーツ着たプリキュアは泣くどころかトラウマになるだろ…日曜朝から憂うつだわそんなの。まあ、でも、橘鷹がサンタ界に新しい風吹かせれば柄もありになるかもよ。(とんでも例えが妙に想像を働かせてしまい苦い顔を晒しながら彼の様子を横目で追っていた。すれば助け船を出したのは、曇り知らない晴れやかさが何よりも、誰よりも彼らしいと思ったから。無事、共犯者枠に橘鷹の名を刻めれば同じタイミングで膝を追ったが手を動かすよりも。)サングラスは橘鷹の顔の一部っつうことにして、その首のはどんな意味があるの。(すっぽり抜け落ちていたレイに対する疑問は変形した紙パックを拾いながら。腑に落ちずとも彼からの答えが正しいと受け入れる心地はどうにもこうにもいやではない。そうして再び抱え、教室に入る手前。)明日ネクタイ持って来て。教えるから。
森地康太〆 09/09 (Wed) 21:11 No.136
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