秋山、縁日といえばなにを思い描く?

(赤、青、黄色、ピンク。カラフルなペンキと一枚のまっさらな木の板を前に、看板の完成形すら瞼裡に描けぬ巽はひとり廊下で三角座り。刷毛でペンキを取っては塗らずにまた戻し、初手すら打てないから一向に進まぬ作業は溜息すら出やしない。浮き足立つ喧騒の中にいる癖して、お手上げ状態のひとりぼっちは如何ともし難く、上履きを床に擦る音だけがやけに気に触る。斯くして地べたに座した侭に視線あげた先、ひとりの見知った少女が視界に飛び込めば声を掛けるのにそう躊躇はない。何と言っても眼前の一仕事に手詰まり、打開策を欲していた。)秋山。いま時間ある?美術は得意?わたしを助けて。(喧騒に負けじと相応の声量で呼び止めたつもり。彩り豊かなペンキに反して真っ白なキャンバスとノンブレスの一声は鬼気迫って響くか否か。)
巽志真 09/01 (Tue) 16:23 No.3
(着替えたハーフパンツジャージの装いで行う文化祭準備は多少の失敗あれども順調に。だれかの「看板って今どうなってる?」言葉を拾うなり率先して向かった廊下で少女の発見はすぐのこと。構想練る真っ只中と思えばひとまず多少の距離あるその場で眺めていたも、対角の可能性に上げた足先は向いたひとみと訴える声に三歩で彼女の元に辿り着く。傍らに同じく尻をつき、一息だった助けに笑いを交じらせつつ)助ける。絵上手だねって一回も言われたことないけど、芸術は心で感じるものだから大丈夫。でもこんなまっ白いと緊張するね、うーんとじゃあ志真は赤。うちは青。(遠回しに不得手寄りだと伝えながら、同ずる口振りとは裏腹に左右それぞれの手でペンキ内の刷毛をぐるぐる回す。そうして最後には赤くなった一本を彼女に手渡した。)せーの、でやっちゃお。いい?戸惑っちゃだめ。考えてもだめ。とりあえずやろ。せーの!(レスポンス待たずに掛け声した後、キャンバスに乱雑の青が描かれた。まだ刷毛を置いただけ。して彼女の手元を見遣って。)
秋山紘 09/01 (Tue) 20:56 No.10
っなは、真の芸術家ってかんじ。うちらの心の壮大さを見せつけたらな。(笑み混じりの救世主登場に心弛でつられるような笑みがあった。膝を抱え込んだ両腕を解いては、ぐるぐると渦を巻くペンキにひとりぼっちの先刻と打って変わって期待の色を孕んだ眼差しが落ちる。少女の声音が不得手寄りを報せたとて、失敗への恐怖心よか未知の鮮やかさに飛び込む期待が心裡を包んだから、)オッケー、心の赴くままいこう。(刷毛を受け取る指先が踊った。掛け声には忠実に、せーのでキャンバスに赤が咲く。見切り発車よろしく刷毛をほんの少し滑らせていたから、刷毛のばらけた毛先の赤線が鮮明にのびる。ビャッ。そこで漸く白に乗る隣の青を見留めたなら、)すごい。芸術作品がうまれそ。ピカソもびっくり。(まだまだ白が占拠する眼前の景色に小首捻っては、空いた片手が黄色のペンキを引き寄せて刷毛をくるくる。視線の送る先は一直線に彼女だから、手許のペンキを混ぜる勢いはそうない。ふと思い立ったみたいに押し開く唇は世間話の様相を辿る。)わたし、秋山とふたりでこうやって話したことあんまりなかった?それにびっくりしちゃった。いま。
巽志真 09/02 (Wed) 21:47 No.28
(互いに無計画を放って、刷毛を手に取った時から浮かぶ笑みは見事に赤と青が描かれたならもっと大きく。毛先を動かす範囲は短く行ったり来たりでその箇所だけが濃くなるばかり。)タイトルは「巽の迷いと閃く秋山」で。この看板を100万で売ってくれって言われたらどうしよう…、売ってもいい?ん~~塗っちゃったけど、塗っちゃったね。(空想の悩みもそこそこに、赤と青を交互に眺めて現実問題に直面したやや真顔も品題通りの閃き顔で)あ!お互いの似顔絵書こ。志真はこの中ならなに色が好き?うちはその黄色がいい。(そんな提案にまた彼女を見る。看板作りの文字は脳内にまだある。一旦刷毛を戻しつつ、限られた選択肢から彼女の一番を選びたがる指先の今は木目を辿るだけ。それから耳に触れた話題には同意の笑いがあふれた。)なかったの、今まで。サマリンも。でも、だから、志真と話したいラインかな電話かなって思っててね、ほんとずっと考えてて今日に至りました…。ねえ自己紹介しよ、ここだけのとびっきりの自己紹介。(過去の自分を恨むより念願叶う現在を鮮明にすべく、彼女の興味を寄せようとする口振りの中身はまだ空っぽ。)と、とびっきりの自己紹介って…なに……?お風呂で最初に洗う場所…とか…?(助けは2秒後。)
秋山紘 09/04 (Fri) 01:32 No.55
(赤も青も法則性なく手許の一部だけに色濃くなるけれど、それへの言及よりよっぽど彼女との会話に重きを置きたい幼心が勝る。具体的な金額を耳朶擽るなら、)ええ、100万かあ。秋山との合作、簡単に手放したくないな。(神妙一辺倒みたいな風采で、けれど舌先が好む冗句を飲み込めずして「でも500万なら考える」は大仰に眉根寄せた。)わたしは水色が好き。黄色でとびきりかわいい秋山描いちゃう。ああ、これでもう500万でも売りたくなくなるな。(示された黄色を手許まで引き寄せたなら、肩竦めて“しょうがない”みたいなかんばせで終ぞ笑みは隠しきれない。まだ刷毛は宙に浮いたまま、「せーのでいく?」。)ずっと?寝ても覚めても?うれしい。(耳打つ口吻より誇大表現を大真面目に紡げば、首肯は自身の意識の先をとびっきりに奪われた証拠となるけれど。2秒後、ヒーローより早く到着したい。)っあは、教えてあげる。わたしは顔。(なにを問われたとて隠す算段はないから、自身の明け透けこそ君へのとびっきりとなるだろうか。)巽志真。AB型、好きな食べ物はクリームシチューとエッグベネディクト。最近感動したんは、サマリンの展望台から見た景色。(それから、と閉じた唇がもう一度酸素吸って、最後まで言い切れば次は君の番とばかりに小首傾ぐ。)わたしが最近一番嬉しかったことは秋山と席が前後になったこと。
巽志真 09/05 (Sat) 01:26 No.71
(100万でも傾かない心理の胸キュンになよなよ動きを見せる口元は、しかし500万での迷いに笑いが大きく弾けた。肩揺らすも水色ペンキに浸る刷毛はしっかりと握り、また新しい共同作業の始まりに半袖を肩まで捲る気概で。)前言撤回、絶対に売らない。売ってやんない。うん!じゃあ志真。(彼女のすみれ色を見つめてそちらからの掛け声を待つ。そして今度は慎重に、まずは輪郭をなぞって次は三つ編みを描く手元に目線を落としつつ。)志真は三つ編みが好き?似合ってる。文化祭のどっちか、志真の髪いじっちゃだめ?三つ編みうちがしたい。(数十分の独り占めを申し出た鼓膜を、子供のように無邪気の疑問が揺らすから肯定の頷きは同じ言葉を紡ぎながら。明かされた極秘に続く基本情報も初めて知る部分がちらほらあればその間首肯のみ。一つずつしつこい掘り下げ予定だって、最後の嬉しかった内容が全てを掻っ攫うから。)そ・れ・は!うちも!思ったの、二学期は志真と仲良くなれるチャンスしか転がってないって。だからいっぱい話そ、ラインも電話もしたいからすぐするし授業中だって志真の背中に文字書く。(共通項はまた彼女を映しながら手は微動だにせず。)秋山紘、A型です。好きなアイスの味は何だかんだバニラ。勉強はきらい。今日の予定はこの後志真とアイス食べに、行こーね。(そんな最後で一振り、似顔絵の完成。三つ編みで眼鏡の奥はウインク巽志真。)
秋山紘 09/06 (Sun) 12:34 No.85
プレミアついてもた。(名指し受けるや「せーの」の掛け声は、廊下の雑踏無視したふたりきりのあわいに広がる。一筆目、まずはスマイリーより笑顔がかわいいふたつの目を線で描く。おでこのスペースはしっかりと保った輪郭がふんわり包んだ。)うん。真面目そうに見えるし、猫っ毛で広がっちゃうの防げるから。  だめって言うとおもう?おもうならもっとわたしのこと知ってもらわんと。(詰まるところ喜んでが、婉曲の果てにぶう垂れ顔。床についた膝の位置をずらしたなら、「秋山の髪型もかわいい。前髪の長さどんくらい」は此までの時間を数ミリでも埋めたいちっちゃな“教えて”を宣った。同調が耳朶打てば、胸裡から溢れ出る感情はかんばせにも素直に出るから、)あはっ、うれしい。背中に好きって書いてくれたら、後ろに回すプリントの端っこに「わたしも」って書く。(情景浮かべたらどうにもこうにも可笑しくて喜色が隠せないから、誤魔化すみたいに動く手先の所為で似顔絵のくちがにっこり微笑む。彼女の自己紹介のさなかただ耳を傾けることにだけ意識注いだから、もちろんの意の首肯はきっと食い気味。)うん。LINEも電話もいっぱいするけど、きっとそれだけじゃ足らんから、今日はアイス。それから明日はお昼一緒に食べよ。(もっとは悪戯に笑む口許が伝う。彼女に数秒遅れて編み込み前髪描き込んだ。満面の笑みの最高の級友が、隣だけじゃなくて、ほらここに。)え、秋山、  うま。(その絵の可愛さに、まるで自画自賛もふたりだから厭わない。)
巽志真 09/07 (Mon) 21:26 No.105
(その可愛い茶目は朝食の場にて幾度と拝見したけれど、傍らで見られる特別感となんちゃって優等生の正体に口を笑わせながら、片手で彼女のやわい頬を挟んでぶう増しだ。)真面目に見えて真面目じゃないってゆうか、みんなを笑わすことが好きってことは知ってるもーん。志真はねこみたいだけど…、犬かな、犬だね。(猫っ毛から動物当て嵌めと話題を広げた折、頬を離した手はそのまま結った前髪を簡単に解いてみせる。鼻まで隠された視界不良を維持しながら)ありがと、こんくらい。長いでしょ、うちが育てた。(きっと恋文よりまどろっこいやり取りだって叶えたさしか生まれないから、現す喜色はお揃いっこ。)きらいって書いたら「わたしは好き」って書いてくれる?(ふいの好奇心で問いながらも絵描きは順調に揺れる毛先を写した。確認と話しの半々でまた横を見た際、小さな口が語った物足りなさはこちらの胸中をまるっとお見通しだから眦が溶けてしまう。)はい!!一つの机で二つのお弁当置いて食べるのが好きだから、志真がぐるっと回るの。あ、うちが横行くでもあり。明日のお昼まであと何時間?アイスまであと何分…?(先急ぐ気持ちが現在時刻を確認するべく目線が時計を探る。しかし似顔絵の完成にすぐキャンパスに落とし。)志真のうちも、うち!笑ってる、めちゃ良い。三つ編みのふわっと感を大切にしました。(画家もどきで箇所を指差しつつ、まだ空白が残る板を前にして。)これ、完成は今日じゃなくてもいいよね?(昼のみならず放課後の予約確認を暗に行った。)
秋山紘 09/08 (Tue) 21:46 No.120
かわいい。気遣い上手。いっぱい一緒にいたい。  だれのこと言ってるかわかる?(とくべつふたりきりにならなくたってこの半年で得ていた情感は問うより先に自身の中で答え合わせ済み。挟まれた頬がぶうの侭でも、広がる話題に言葉は尽きない。)ひ、  秋山もわんこ。キャバリア?パピヨン?(呼び損ねた名前を何でもない風采で誤魔化したなら、すっかり育った前髪を伸ばした指先が掬った。「よく育ってる」の冗句と共に元通りを目指したい指先が視界を晴らしてくれるかな。)きらいって書かれたらまどろっこしいことはやめて、「なんで!?」って鬼の形相で振り返る。(現今は鬼とは掛け離れているので、鼻から人間らしい笑みが抜けた。雀躍が心臓から全身に脈打って溢れるから、指先描く似顔絵は上手でなくとも笑顔は伝わるだろう。視線をほんものの彼女とキャンバスの中の彼女、交互に照らし合わせて最後にちっちゃくピースサインも描き加えたら完成。)このふわっと感、画伯のセンスですね。お値段以上。(キャンバスの数ミリ上で人差し指がはなまるを宙に描いたなら、)完成は間に合えばいつでもいいはず。明日のお昼まではまだかかるけど、(ひとつを好きなひととわけっこするのは何だって心地好いから、机のはんぶんこも勿論。でもそれだけじゃ足りないから、アイスを待ちきれない心裡だって。)アイスまであと5分!ここから購買までの時間。紘を合法的に独占する時間。(五本指ひらいてパーが時間示せば、そのまんまぬくもりわけっこしたくて差し出した。)
巽志真〆 09/09 (Wed) 20:46 No.135
ちょーーっと分からないから名前を言ってくれる?(察しは人並みに備わっている上に会話の流れからの汲み取りも容易い。しかし彼女の声で示される答えだけは譲れずに、欲しがる口元の締りはとっくに失った。漏れ出た一音を小さい悲鳴と捉えた後、犬種に偏った思考は彼女の指先が何もかもを鮮明に映し出してくれる。ようやっと知り得た指先の晴らしに甘えたまま、近い未来に必ず交わすやり取りの結果には肩の震えがきっと毛先まで伝導するだろう。)見たいの出来心で書いちゃうかも。でも授業中の手紙のやり取りって楽しいからやろーね、前後だから楽勝でしょ。1限ごとに交換日記も出来ちゃう。(この機会はこちらが手繰り寄せたが席順は紛れなく偶然であるから、とことんの楽しみと離れ難さを彼女に味わわせる魂胆は軽い具合。描いた本人から頂いた花丸にどこか誇らしげな笑いはフフっとはっきり音にした調子乗りは、それだけが理由ではない。期限の緩慢さに人知れず感謝向けつつ、小さい手の開きとお誘いに食らい付くべく動いた身体はたったの二文字だが、絶対に取りこぼさない二文字の響きが耳朶打つなり瞬きだけを彼女に返す。)紘!呼んだ?呼んだね、呼んでこれからも。あ!さっきの、ひって、もしかして…?やっぱり嬉しいね、名前で呼ばれるのって。敢えてうちは、ぎゃくに巽って呼ぼうかな?!(一歩二歩三歩踏み込めた自覚は自惚れじゃないと分かちた体温が教えてくれるから。繋いで歩き出すなり「看板はー!?」の声が当たっても素知らぬ顔。)次はうちが志真を違法的に独占しよっと。
秋山紘〆 09/12 (Sat) 03:08 No.150
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