おはよう。1時間後にロッジ前集合でいけそう？（朝食後、艶めく黒髪を引き留めおめかししてくれるらしい準備を考慮して確認した時間は、希望があるなら勿論その通りにせんと首肯。数刻後待ち合わせた第一声は朝食で挨拶したくせ再度のおはようから。）とりあえず最初買い物からは賛成？…というか本気で全制覇目指してる？（勿論何枚か撮る気概はあったが、昨日え、と思わず驚嘆の声発した無難男のライン内容の確認は「膝に乗る体幹ある？」と照れ隠しのように存外舐め腐っていただろうけれど。ネイビー基調で茶気混じる大判ペイズリーのショートスリーブシャツの首元から白T覗かせたスタイルは男にとっては珍しく派手気味で、黒のクロップドパンツから伸びるサンダルが爪先向けるは行き先がどこであってもバス停だ。乗り込むバスは南国仕様の窓なしで、朝は疾走するたび吹け抜ける風が気持ちいい。「帽子外したほうがいーかも」と、もし頭上にそれがあるなら、ボディバッグのストラップを掴み位置調整しつつの注意喚起は、普通電車みたく壁際に並ぶ椅子に肩を揃えて座ってから。）俺自分のお土産買ってないんだよね。もう買った？（走行中の雑談は雑音交じりゆえに平素より増した声量で、おそろいを自身のお土産にしようという魂胆から。）

（らしくなく怪しいとさえ思えたラブリースマイルの後まみえたらしくない姿は勿論ポジティブな意味。白い肩ちらつくワンピースとのコラボは期待以上で瞬いた瞳が混じる視線はけれど既に自信と圧が漲っているからく、と押し殺した声が喉を滑り出て笑声に変わる。）はははっ、ねえ、褒めにくいよ。（高難度に思える髪差しながら案外器用？と歩きだす先、「俺の支える体幹なかったらごめんね」とは態とらしくしおれた姿に仕返すようだったが、）NGあるのは俺っていうか女子のアンタの方なんじゃ⋯いや、まあ、うん。そーだね。時間ある限り色々やろっか。忘れられない日にしたいのは俺も同じだしね。（意味成さぬ相槌は己の脆弱を振り払うため。色付いた唇から強気でポジティブな言葉が並び立てられたならいつまでも弱気では彼氏として相応しくなかろうと。あまりに強気な評価はけれど派手服に挑戦したゆえ面映ゆい笑み向けた車内で「可愛くオシャレしてきてくれた美女も見せつけないとだしね」と言えず仕舞いを眦柔く落とした。）家族と同じ食べ物系買うだけなんだけど、海外だしキーホルダーとかほしーなって。他におそろい候補ある？（疑問投げ不意につんと触れる指先、交えた視線が揺れた。）え、　　　ええと、（決意した矢先の恋人みたいな戯れにたっぷりの間のフリーズは依然恰好突かぬままだが）…だめじゃないよ。（遊ぶ人差し指を指先で引き寄せ掌のあわいをなくす。照れたりしないの？とレンズ越しに横目で菫色を捉えながら、その先の電光板に目的地を映じ降りるボタンを押した。)

（曖昧な褒めは車内にて改めて伝える事と成ったが）え、そうだな…。あんまりタイプってないんだけど、話してて楽しい人がいーかな。俺そこまで話題豊富でもないからそれでも飽きずにいてくれる人。（うーんと視線のみ見上げてぽつとタイプを絞り出せば、同じ話題過るのはラインでの北村のこと。）アンタは強くて丈夫が絶対条件なのなんで？倒れた時に運んでほしいみたいな？（オラオラ系が半分正解だったことに笑った昨日、ないものねだり？と新たな可能性示唆してから繋いだ手は、きっと海外の非日常がいつもより大胆にしてくれたから）はは、よかった。同じ気持ちで安心したよ。照れてくれないと俺ばっかり振り回されてて恥ずかしいしね。（NGは聞かぬふりして揃いの頬の色向ければ柔く笑んだ。緊張解れた手を揺らしショップを見て回る折、彼女の意外性に触れたなら「案外乙女なんだ」との失礼千万は揶揄孕まぬ本音の色。）俺は鞄とかに付けるよ。でも、そーだな、…あ、ミサンガは？アンクレットとか。使って切れてなくすのが正解。（凹んだり引き出しの肥やしにするより良いかとワゴン車にずらと並ぶ色取り取りのミサンガ見止めては手を引いて近付いた。そんな折に見上げる視線とかち合えば「まあ、うん、それくらい」と逸らした視線で1cmの見栄は賞賛受けた変なプライドゆえ。）お気に召してよかった。北村も高い方だもんね。部活勧誘とかされたんじゃない？（ヒールで平素より縮まった距離で見下ろす頭へ「それ、疲れたら言ってね」と男には分からぬ辛さへの心配をひとつ。）

なるほど。逆に警察官とか消防士になる人好きになったら強くて丈夫なのに心配しちゃうね。…うん、でも頑張らなくてもアンタが楽しかったらたぶん俺も楽しいんじゃないかな。（今言ったタイプだって無意識に自分がどうより相手にどう思われるかを気にした気がする。それに楽しいって伝染するから。逆も然りだろうと小さく笑んで「ドキドキさせたらごめんね」は強くて丈夫と程遠い自己分析より。）はは、そんな乙女嫌がることある？好きなタイプの時も思ったよ。俺の中のアンタのイメージが無頓着そーだったから余計思うのかもね。（ぼやけた輪郭が徐々に縁取られてゆく感覚は、案外表情がころころ変わる様を見てより濃くなろう。賛同得られたなら安堵の息は喜色付きで色の意味にへぇ、と感想零し物色中。心配の応えと異なる返答が飛んでくれば驚きの声あげるのは今度は男の方で）え、突然。いるよ。3個上の姉。（なんで？を隠しもしない顔貌は続いて黄緑のアンクレットをお買い上げ。隣に座って装着しつつ横目で彼女の足首を見、）緑は健康だっけ。運動はぶっ倒れるだろーけど、ご飯はもーちょっと食べれますよーに。（勝手に手合わせて願ってみた。）写真撮ろっか。……あ、足首映すツーショットってすごい難しい。かっこいい系で撮る？（ベンチに膝立てれば顔と足首が同時に映るだろうかと。内カメ起動し自ら自撮りせんとするはリーチがあった方が良かろうと「もっと寄って」と1，2枚ブレた後どうにか綺麗に撮れた写真は）はは、俺の顔ちょっと自撮りに必死だ。

（二択迫られる口角が意地悪く上がっているような気がしてわかってるくせに、とじろり。しかも）なんでそんな挑戦的なの…。お手柔らかによろしく。（今もしてるんだけどな、とは白旗みたいで繋いだ手に力を籠めるだけで黙っておいた。――けれどこんなにも動揺と含羞の色した彼女を見たことはなかったから、平生強気な彼女の垣間見えた尻尾がちょっと嬉しい。）つまり、自分が女っぽいと思ってやったことだと照れないのに、予想外だから照れるってことかな。心配するのが嫌とか、物なくすと凹むとか、そーいうとこがすごい女の子って感じ。（「これもNGワードになるかな」揶揄い交じりに特に守るつもりもないお伺いはそっぽ向く黒髪へと。覗かなかったのはきっと耳の朱を捉えられたから。答え合わせには偶にはあの姉も役に立つらしいと素直な賛辞に照れた心地で礼零した後、彼女のスマートな合図でもうワンショット。）途端にカップルっぽいね。（片腕に注ぐ緊張は気取られずにいられたか、写真チェックの折、視線を感じ首を傾ぐと座した目線は先程より近く。そして遠く。そんな緊張も急な呼び名の慣れぬ違和感からか、我儘お嬢様の物言いに聞こえて眉寄せるように笑いながら乗っかった。）うん、半分こしよーか伊鶴さん。（彼女の横へ並んで、一度離れれば瞬間惑った指先はけれど先程と同じよう繋ぐに至る。ショップ街、海辺近くのカラフルなジュース屋でメロンフロート注文しテラスへ腰かける。貰ったストローは2本。）先に普通に飲んでいーよ。……それで、俺がする？してくれる？

（狼狽えた悲鳴が響くと「ほんとに絶妙な例えだったから確認しよーと思っただけなんだって」本心の弁明はされど笑声で語られたなら誠実さは皆無に聞こえるかもしれないが、堪らず振り返った彼女の顔ばせ見れば眦下がるのだって致し方なかろう。一方後者の発言こそわざとだったから、緩み切った口許は狼狽する逆ギレにぷっと噴出す締りの悪さ。）あはははっ。うん、知ってる。（尚も抑えきれぬ笑み携えて悪戯っぽく顔を歪めた。時折不貞腐れたような鋭い視線は合わせぬが吉。朝時点であれば怯んだもの、弱点知ると余裕が生まれるらしい。眉根寄せるも口角だけが人知れず上がっていた。）……はは、うん。うまいです。なんか口開けて待つのって案外恥ずかしいね。（自信溢れた顔貌に見つめられたから余計だろうか。「はいどうぞ」体験してもらおうと結局己のストローでアイスを掬い彼女へあーんのお返し。提案通りのつもりで二本貰ったストローをジュースへ挿せば口付けるのは彼女と同時かどうか。それ用のコップでないから菫色の双眸と交わる視線はやけに近くて以降はグリーンだけを見つめるのみ。いつまで？と脳裏を過ってすぐ「あ！」と今日イチの大声は）写真撮るの忘れてた……信じられない…。目的忘れて普通にカップルごっこしちゃったよ……。（呆然唖然の顔ばせはけれど徐々に面白さが込み上げて本日何度目かの笑いへ変わる。）映えないけどいーかな、これ。（アイスは溶けて残り半分以下のメロンソーダへ視線向けて内カメを起動。「あとこれ地味に難易度高いよね」と今更の感想も加えた。）

（される方が羞恥を煽るとの同意を言葉少なに得られたなら彼女と対照的に「ね」と満足げに笑むのは先程と立場逆転での再放送に近い。失態に気付けば驚きと呆れが綯交ぜになってどうやら笑うしかなくなるらしく、自分自身に一頻り笑い終えたところで態とらしさ孕んだ愚痴には自然此方も拗ねたような声音で）俺のせいだけど、そっちも忘れてたって言ったでしょ。連帯責任だよこれは。（次は大丈夫とカメラ構えるも、招かれる指に引き寄せられるままストローに口付けようとした刹那の空振りは、直ぐに頬に熱を享受する予想外さに目弾いて、驚嘆で指が滑る形でどうにかシャッターを押せたのはよもや偶然の産物だった。）…………や、やらかしっていうか…絶対さっきの仕返しって意味での呪いでしょこれ……。普通、……キスって呪い解けるもんなのに……。（じわじわと顔に熱が昇ってくるのが分かって、誤魔化すような饒舌さは同時に頬の朱を隠すように手の甲を顔に当てつつ、やがて視線は彼女から机へと落ちる。ゆえに強気に悪役笑い響かせ颯爽と席立った彼女の羞恥を知る術はなかった筈なのに、今日一日で知れた新たな一面思えば追い付きざま「やった方だって同じ呪いにかかったんじゃない？」NGワード抜きでの奇襲はさて彼女を怯ませられたろうか。未だ熱持った儘の頬では効果は知れぬけれど。）どうって、前か後ろか、横乗りか？……なんか、その写真見たあとにこの会話したんだと思うとマヌケでますます忘れられなさそーだよね。（今日一日のことを既に物語った一言が笑みと共に落っこちた。）