(太陽のスポットライトを浴びて。)

(朝食味わう中で此度のパートナーとなった彼女をレンズ越しに映した瞳が眠気払うかのように瞬いて、最後の一口を急かした。)今日、出掛ける支度終わったら呼んでくれ。部屋まで迎えに行くから。(形から入りたがるデートかっこ仮かっことじ。連絡知らせる軽い電子音が響いたのは何時何分?少し早足で彼女の部屋の前まで駆けた男の装いはネイビーのポロシャツにペールブルーのスキニーデニム。あれこれ詰めたリュックとスリッポンは今日も顔の真ん中陣取る眼鏡と同じ黒。息整え二度のノック経て、本日二度目のご対面。)意外と当日になんの早かったなって俺は思うけど、御子柴はどうよ?(エスコートと言うほど分かりやすくは無かったものの、未遂に終わりはしたが一度ナンパされた現場に居合わせた経験が、彼女を然り気無く守るような立ち位置へと身体を動かさせた。外を歩くにも車道側を定位置とし、歩調は極力合わせるように。)海ではフツーに泳いだり遊んだりはしたけど、こういうのは日本でもこっちでも初めてだから、結構ワクワクしてるわ。(と素直に告げる辺り隠しきれぬ高揚感を携え、サーフィン体験の出来るスポットへと二人三脚。やがてカラフルなサーフボードの並ぶ一角を認めれば、ここ?と言いたげな視線を彼女へ向け、指差し確認する男の姿。)
江坂匡 08/21 (Fri) 10:07 No.6
(ラタトゥイユに舌鼓を打つ朝、投げられた声に瞳を向けて大きめの一口をごくりと呑み込んだ。若干危うかったが、喉は詰まらせなかった。)了解!迎えに来てくれるの?江坂はさらっと紳士ね。(形から入りたがるのはお互い様、迎えられる準備をしておこうと鼻歌混じりに支度を始めた。動きやすく着替えやすい、けれど映った時にカップルらしくも見えそうな格好は意外とハードルが高い。結局、控えめなオフショルのホワイト刺繍トップスに色落ち風のハイウエストスキニーとチャンキーヒールのサンダル、麦わら素材のハンドバッグはたっぷり大容量。長い髪は普段より丁寧なハーフアップに纏め、涼やかな空色ネイルでお出迎え。)同じく。もっと先って気がしてたんだけどね。楽しみにしてたわ。(笑いながら彼の横に並んで歩き出し、)ね!私も周りを気にせずホースの水をぶっ放したのは初めてだわ。海もね…色んなハラハラドキドキがあったわよ…。(思い出すのは友人とはしゃいだ一時と海での瀕死のアクシデント。ともあれ何度訪れても心躍らせてくれる海だ。難なく目的地に到着すれば、アイコンタクトと首肯で返答して中に入ろう。体験の希望を伝え、ボードやサーフウェアなど一式を貸してもらえばまた一度別れて支度を終えてから合流する事となろうか。別れる前に「江坂の仕上がり、楽しみにしてるわね?ふふっ!」と冗談めかして伝えるのも忘れない。)
御子柴ともり 08/21 (Fri) 23:07 No.12
(ただの撮影なら二つ返事で引き受けるまでは同じだったが、その後にどんでん返しの如く明かされたデート。折り合いつけた心はとりあえず形から入りたがった。とは言え義務感は薄く、)御子柴は白が似合う気がするから、その服いいと思うわ。(と出てきた姿を見ての第一声は混じりけなしの本心だった。)サーフィンもしてぇな、くらいの気持ちだったから今回行けることになって背中押された気ぃすんな。御子柴は前からやりたかったんだっけか。(仮初めカップルにしてみればこれくらいの話題が適当か。打ち合わせ時のやり取り思い出しこう尋ねるも、)……溺れるとかじゃなくても海に危険があるっつうのは学んだわ、俺も。(互いに遠くを見つめた一幕もあったりなかったり。とはいえ新しい名前で保存される記憶が待つ先、天候にも恵まれ眼前の海では幾重にも寄せて返す波。手際の良い彼女の様子に感心したように笑んで、支度を、と別れる前。)あ、待った。今のうちにタスクこなしとかねぇ?終わった後顔が死んでる可能性ゼロじゃねぇし。(サーフボード並ぶ場所まで先導を。カップルとの前提条件の存在も浮かれた心の今ならばそのハードルは思ったりよりも低く見えた。ゆっくりと彼女の肩に手を回し、「これセーフ?」と許可得ようと動く唇。シャッター音は果たして響いたか。──して、数分後。黒のサーフウェアに身を包み、砂浜に舞い戻った男の顔に眼鏡は無かった。)御子柴、こっち。(支度終えた彼女の名を呼ぶ、きちんと己と認識されれば良いのだけれど。一抹の不安と共に。)
江坂匡 08/22 (Sat) 04:42 No.18
そ、そう…?意外と照れくさいものね…ありがとう。江坂もシンプルで素材の良さが際立つって私好みよ。(だなんてくすぐったさの中でそろりと口にして仄かに笑う。)うん、絶対に体験しようと思ってた。綺麗な波を乗りこなすの、格好良いじゃない?(にやりと悪だくみするように口角をつり上げて返答し「危険は水の中だけに潜んでるわけじゃないのよ…」と苦い一幕を振り返るも今回の格好なら二の舞は防げるはずと密かに安堵。されど暴れすぎて破かないように注意は必要か。)ええ?あぁ、確かに。でも終わった後も記念に撮りましょ、死んだ顔の写真。江坂の死んだ顔、まだ見た事ないし。(いかにも映えそうなボードの位置まで歩き、肩に回される腕には「セーフ。でも遊び心がもう少し…!」と呟いては後は直感に任せて彼の方へぐっと体を近づけてみよう。――数分後、上半身のサイドに花柄の入った長袖長ズボンの黒いサーフウェア姿で砂浜へ。ショートパンツタイプもあったが、痣だらけになる可能性も考えて完全防備に。自身の方が支度にもたついた自覚はあったので、もう到着しているだろう彼を探した――が、無意識に黒縁眼鏡を目印に探していたものだから瞬時にそうと認識できず、すぐ近くに彼が居るのに辺りを見回し。)あら?江坂まだ来てな……ん?……あぁ、江坂!お待たせ。眼鏡ないから、すぐに江坂だって気づかなかった…。(呼ばれて初めてすぐ傍に居た彼を見上げてはっとした顔浮かべ、)こういうサーファー居そうね…似合ってる。(と驚きまじりに伝え、ボード選びに向かおうか。)
御子柴ともり 08/22 (Sat) 21:28 No.23
(一方通行から双方向になった褒め合いの方が熱を生むようだった。「ありがとな」と笑む様子にもほんの少しのぎこちなさはあったが、肩並べ歩く内にそれは溶け消えてゆく。)確かに。ダイナミックさも華麗さもどっちもあるよな、サーフィンて。(つられるような口元は眼鏡のお陰かギリギリ治安を保った顔ばせ。果たして自分達がそんな風に乗りこなせるかは、今眼前に広がる波だけが知っている。)……提出しねぇならまあ、考えとくけど。(死んだ顔した写真には求められているラブラブ要素は皆無だろうから。だからこそ今は需要のあるものを、と一瞬だけでも回した手と不意に近付いた距離でそれらを演出した一枚は、それでも男にしては自然な微笑み乗せた姿が写し出されていた。──波に乗る下準備は予想通り、男の方が早かった。潮風に乱された髪を整えつつ彼女の姿を探すように左右した視線が待ち人を捉えた。)だと思った。(着用せずともまだ手の中にあった眼鏡を軽く掲げて、)お、さんきゅ。見た目だけになんねぇようにしてぇとこだな。(叶うなら見た目も技術もそれらしくありたいが、果たして。「女子は花柄とかあんのな」と飾られた彼女の上半身を見遣り、選び取ったアイスブルーのサーフボードを手にしてまずは陸の上でのレクチャーを並んで受けることとしよう。)華やかな動きもこういう地道な努力からっつうことだよなあ。(腹這いになり講師の動作を真似して海上での姿をイメージしながら小さく呟く。十数分のそれが終われば、いよいよ海へと繰り出すこととなるか。)
江坂匡 08/23 (Sun) 22:32 No.36
(面映ゆさを一人で背負うのは擽ったいと彼にも押しつけてみたが、口にした言葉は全て本音。)でしょ?ってことで江坂のダイナミックで華麗でエキサイティングな姿を期待しようっと。(と吹けば飛ぶ軽さの無責任な期待を投げておこう。言いながら自身にも多少のプレッシャーは跳ね返る。)もちろん。ビフォーアフターを楽しむオフショットにしましょ。ほら、二人とも死んだ顔なら一応お揃いだし。(恋人らしさは皆無になろうが、思い出の一枚には十分だろうと微笑んで。まずは提出に備えた表向きの一枚として、数秒だけ密着した瞬間に生まれた仄かな熱は寸前で写真の外に。――準備を終え、すぐ見つかるとの過信もあり苦戦した後で見つけた彼をじいと凝視する。)なんかやられた気分…。コンタクト?それとも伊達?(と他愛のない疑問も投げつつ、)応援してるわ、出来れば私がすいすい乗りこなして「まだそんなところにいるの?」とかムカッとする挑発してみたいわ。(新たな野望を抱くが、果たしてそれが出来るのはどちらか。「そうなの。可愛くてこれにしちゃった」と自慢げに笑うも、彼と同じボードに目を付けていたものだから先手を取られて密かに悔しがった後、水色と白のボーダーのボードを選ぶ。)私、海入ったらすぐ立つ気でいたわ…まずは腹這いからなのね…。(陸の上で思わぬ現実を突きつけられた後、幸先への微妙な不安を抱えて本番の海へ。)まずは腹這いから…ね!(学び通り、ボードにしがみついてぐらんぐらん波に揺られる。自在に揺れる波の中、バランスを保つのは存外難しい。)
御子柴ともり 08/24 (Mon) 19:51 No.44
(彼女から繰り出される単語を適用された己の姿を思い浮かべることの叶わぬ脳裏、自然唇は苦さの孕んだ笑みが乗っかった。)俺の体育の成績からしたらそれ、大分ハードル高ぇわ。(けれども無理、と即答もしたくない微妙なお年頃。目先の楽しみだけに流されそうになるのを、撮影というもう一つの目的が留めるようだった。)充実感のある笑顔で終えられんのが一番だけどな。(表情の風向きは今のところ、海の思し召し次第。装いを新たにしての合流に、レンズを通さぬ視線が彼女の姿を認めて瞬いた。)ん?伊達。さすがに海入るなら外さねぇとな、と思ったけどまだ今は大丈夫だったかもしんねぇわ。(即海へ挑戦するわけではない、と少し落ち着いた心が再び黒いフレームを顔にイン。浮き足立っているのを示すみたいなフライングだった。)あれだよな、御子柴って結構負けず嫌いだよな。(他意はない、素直な感想を述べるみたいな穏やかな物言いだった。千里の道も一歩から。動作だけでなく緊急時の対応も含め、座学めいた時間の後には待望の。)うぉ、ボードとだと波の強さみてぇなの、っ全然ちがっ……!?(今度こそ眼鏡は砂浜でお留守番。意気揚々と漕ぎ出した一度目は、横波に煽られ呆気なく航海を終えた。掴んだままのボートの浮力を頼りに何とか復帰し、顔についた海水を払う。)やべぇ、舐めてたわ。(海という自然を相手にするものだと実感した唇がこう溢す。)二人で立って波のって、んで手でも繋げたら写真的にもバッチリじゃねぇ?とか甘すぎた。
江坂匡 08/25 (Tue) 12:01 No.52
でも江坂だってハードル高い方が燃えるでしょ?(焚きつけるように口ずさむのはNGが少ない彼の守備範囲の広さを見込んで。)スカイダイビングまでしたら顔が死ぬ確率は跳ね上がりそうだけど…笑って終わりたいわね。(どちらでも良い思い出にする意気込みだけは十二分に持ちながら、)一瞬で行方不明になりそう。あぁ、見慣れた江坂だわ。(ほっとした顔も浮かべて。)ふふ、今頃気づいたの?(と悪びれず肯定し、ついに海での実践がスタート。早々に波に遊ばれながら、)いいわね、それを目標に頑張ろうかしら。でも、慣れたら案外いけたりして。(との甘すぎる妄想は数秒で砕かれる事になる。無謀にも未だしがみつくのも覚束ない中、震える両足で勢いに任せてボードの上に立とうと試みた――刹那。体勢が崩れた後は呆気なく、)ほら江坂、私がお手本になってあげっ……っわ、わわ、…ぎゃっ!(どっぽーん!と鳴り響く盛大な転倒と沈没の音と無節操に飛び散る水飛沫と共に水中へ真っ逆さま。彼にも被害が及んだかもしれない。転覆後はボードを浮きに使ってゆらりと水面から顔をのぞかせた折には髪も顔も全て水浸しの悲惨な有様。ぺしゃんこな髪のまま、ゆらりと近づく様は亡霊顔負け。)えーさーかー…。って驚かすのも楽しそうね。…あー、びっくりした!しょっぱい!思った以上に甘くないわ…私を反面教師に頑張って。(しかし諦める気など微塵もない少女、絶対に波を従えてみせると熱を高め、懲りずにまた立ち上がろうと試みるまであと数秒。暴れ犬を躾けるトレーナーの気分だった。)
御子柴ともり 08/26 (Wed) 02:10 No.59
燃えはする。飛び越せるかは別として。(潔い肯定の後にぴんとはった予防線。高い波に乗り勢いよく飛び越す未来は果たして来るのだろうか。屍フェイスも可能ならば回避したいところだが。)実感したわ。言葉だけでそうなら、行動に出たらもっと強まりそうだけどな。(全肯定を賜れば陽気な口笛の音を短く放つ。──行動に出る場所は砂浜ではなく、視界いっぱいに広がる大海原が相応しい。人間とはちっぽけな存在だ、なんてよく分からぬ悟りを開ける心地を覚えるほどいっそ潔い落下は、けれど出鼻を挫かれたというより逆境に燃えるための着火を齎した。ふるりと頭を振ったお陰で顔に着いた海水が滴となり散ってゆく。そんな視界良好の状態、彼女がついさっきの己の行動をリピートするような展開が刻まれるまであと数秒。)っあ!?(景気よく飛んだ海水がさっき払ったはずの顔を再び襲う。間抜けな声は波にさらわれ、後には髪から海水滴らせ憮然とした顔の男が残された。浮き上がってきた姿を認めれば小さく安堵の息を吐き、)今の飛沫には結構ビビったわ……。御子柴も海の洗礼を浴びたか……けど、これでイーブンだな?(競うような物言いはすっかり彼女のペースに乗せられているかのようだった。真剣な眼差しが波を見据える、大きな波を耐えて狙うは緩やかな波。男らしさは無いというツッコミは受け付けない。)おっ、……行け、(言葉は途切れた。両の足でサーフボードの上に立てたのは恐らく五、六秒。浮かんだ笑みは──またしても崩したバランスにより、波の向こうに飛沫と共に消えた。)
江坂匡 08/26 (Wed) 23:49 No.66
(燃えているらしい彼に満足そうにくすりと口角を上げて微笑んで、まだ屍フェイスを回避するのは難しくないと高を括っていた。)あ、分かる?この調子で波を従えてみせるわ!(だなんて威勢よく言われたのもごく僅か。彼の落下は初心者だから当然の光景だったが、それを見てもさほど学ばなかった結果が数秒後の少女の悲劇。)っふー…ごめん、もうちょっと離れておけばよかった…。でも、海の手厳しさがよく分かったわ。…そうね、今のところは!(すぐに自身が優位に戻るとの意気込みを込め、同じく荒波に向かうような顔つきで水面と対峙する。狙うはもちろん大波だ。が、先に一歩リードしたのは彼がボードの上に両足で立つのを自身の目で確かめたなら、)あっ、江坂が立っ……あぁっ、惜しい!江坂の分まで私が…!(と、気を取り直して大波めがけてボードの上に乗っかろう。)…おっ、やればできるもの…ぬっ、…どわっ!(3~4秒ほど立てた瞬間はあったが――直後、またも派手にバランスを崩し、ざぼん!と落下。同じく周囲に水飛沫が飛び散った。)いけたと思ったのに、難しすぎるでしょ…どういう事なの…。とりあえず1分ぐらい余裕で立てるようにならないと…。(波乗りどころか立つだけで一日が終わりかねない予感を抱き、余計に燃えた。立とうとしては水面にダイブを繰り返す事、十数回。受け身だけは上達した手ごたえを得ながらも辛うじて静かな水面によたよた立てるレベルに到達したが、)足ガックガク…今、全サーファーへの尊敬しかないわ。(華麗な波乗りにはほど遠い現実だ。)
御子柴ともり 08/27 (Thu) 23:06 No.73
(海水の勢いに押された炎が揺らめく。あまりにもお約束染みた展開、それでも二人揃って同じ目に遭えば仲間意識も手伝って朗らかに笑う姿があっただろう。)や、大丈夫。これも海の醍醐味っつうことにすりゃ大体のことは平気だわ。(開き直りに近い発言と共に再び海水を払えば、レンズのない視界に広がる光景。頭まで濡れた彼女の姿にイーブンとの単語がしっくり来ていたのも過去のこと。どちらが華麗に波を乗りこなすか、ラブラブなカップルと言うには互いに好戦的ではあったが同じ目標に向かう、と言い換えれば許されるだろうか。──しかし、未だ海の方が一枚上手。立った感覚はあれど乗れたとは決して言えぬ数秒前の姿を忘れぬようにと海面から顔を出したところに彼女が勝利を、収める手前で海に招かれたのを見てはは、と声を漏らした。)……カップルっつうことならちょっとはかっこいいトコ見せてぇよな。(仮初めの関係さえも燃料として挑む幾度目かの波。立ち上がり、ボードが向かうがままにそれに合わせ重心を変える。妙な体勢になっていたかもしれないが、けれど確かに男は一時波に乗った。乗れていた。)御子柴、見たかっ、!?(波乗り宣言の最後はお約束のオチみたいに迫ってきた波をかわしきれず途切れたが、すぐに浮上した男の顔ばせは明るかった。)やべ、これめっちゃハマったかもしんねぇ……。(時間の制限が無ければ延々挑んでいたという確信を胸に、次はお前の番だと言いたげに視線を向けた。──終了後、二人の表情は生者の明るさか死者の暗さか。記念の一枚を忘れずに。)
江坂匡 08/28 (Fri) 21:04 No.79
(一人では気恥ずかしい転倒も分かち合う仲間のお蔭で瞬時に笑顔に変わり、リベンジへの燃料となる。)江坂の心が海ぐらい広くて良かったわ…。江坂も水飛沫なんか気にしないでどんどんトライしちゃって!(と送ったエールは下手をすれば転倒を後押しする台詞になったが。そうして気まぐれな波を相手に四苦八苦、少女漫画の甘さよりは少年漫画の熱さの方が合いそうな光景でもあったが、連帯感はあったはず。そして運よく彼を一歩リードしたかと思われた油断が命取りか、忽ち撃沈すれば多少むすっと悔し気な顔が浮かぶのも道理。)そうね、ぜひ見せてほしいし…私も見せたい…!……あっ、あらっ!?(素っ頓狂な声が出たのは、言った傍から彼が確かに波に乗れていたように見えたから。パチパチと何度も高速で瞬いて、)ばっちり!見たわよ!この目に焼きつけ…(と言いかける最中にその姿は波に攫われたが、くっきり瞼の裏に焼き付いた光景は消えない。)悔しいけど、お見事!間違いなくさっきの江坂は波に乗っていたわ!すごく良かった!輝いて見えたわ…!(波に乗る苦労を散々味わったからこそ彼の偉業の凄さを実感しながら、リードされてばかりは居られないとボードと波と呼吸を合わせる意識で何度目かの挑戦。すると、良い波は継続中らしい。十秒にも満たないが、少女も確かに先ほどの彼に近い姿勢で波に乗れた。)やっ…た!やったわ!乗るまでが物凄く大変だけど、乗れた時の爽快感が…もう、もうね…!無敵って気分!(疲労感も一気に吹っ飛び、会心の笑みでの一枚が仕上がるはず。)

御子柴ともり 08/30 (Sun) 03:47 No.95
(切磋琢磨し互いに高みを目指すスポーツものめいた戦い、もとい挑戦開始からどれほどが経過しただろうか。言葉では言い表せぬコツのようなものの尻尾を掴んだ、そんな心地が真実と今までになくバランス保ったままのサーフボードが教えてくれる。彼女に向けての言葉ごと波にさらわれはしたものの、泡と消えたわけではないのが耳に入る賛辞からも確かに分かった。)そこまで手放しに誉められたら……や、くすぐってぇけど嬉しさのが勝るわ。あんがと。(目付きの悪さの上をいくくらいに、笑んだ顔ばせは喜びが溢れた。悔しいけど、の前置きに彼女らしさを覚えた唇が再度開かれる。)体育がド平凡の俺でもいけたから、御子柴もぜってぇ出来る。(助言ですら無い一言は果たして彼女の背を押す助力足り得たか。答え合わせは存外すぐに出来た。)おっ、その調子!そのまんま一気に乗っちまえ!!(進みゆく身体に向け張り上げた声が届いていたかは定かでないが、確かに波に乗った姿を瞼に焼き付け称賛込めた拍手を送ろう。──ぬかりなく、先ほど手ほどきしてもらった講師に撮影を頼んでいた男は時間一杯まで波との戦いに興じ、満足げに陸へと戻っていった。撮ったものを見せてもらえば、今回は使えないが波に乗ったソロ写真も幾枚か。それから、)お、これとかイイ感じじゃねぇ?(肩寄せ合い仲睦まじく語り合う、その実相手へ闘志を燃やしている最中の一枚は提出するにもうってつけ。)じゃ、最後に一枚撮っとくか。(海を背にサーフボードを携えて。男の表情は死とは真逆、充実感の刻まれた笑みだ。)
江坂匡 08/31 (Mon) 02:11 No.102
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