(求む、時を戻す力。)

(すべての元凶は、バカンスに浮かれた水着選びだった。大人っぽいネイビーの地に柔らかな水色や紫の紫陽花めいた色味の花が咲き誇るビキニに一目惚れしたまではよかったが、トップは背中で結ぶだけのガードが緩めのタイプ。此処で踏みとどまれば何も起こらなかったものを、例の如く根拠のない自信に基づいていけるとGOサインを出してしまったのが運の尽き。ご機嫌でとびきり美しい海に入り、プライベートビーチという環境を大いに活用して泳いだりぷかーっと静かに浮かんでみたり、思いのままに楽しんだ。――が、楽しみ過ぎて、背中の紐が徐々に緩んでいる事に全く気付かなかった少女。強めの波を受け流し、そろそろ一度上がろうかと思ったところで――ふっと、妙に開放的すぎる上半身に気づく。)えっ…!?……っま、さか、……。(恐る恐る胸元に手を伸ばすと、布があるはずの個所に触れるのは素肌。)う、嘘でしょ…!?も、戻ってきて…!(とりあえず水の中に首まで浸かり、辺りを見回す。そう遠くには行っていないと信じたいばかりだが――最悪、潜って海藻か何かを引っ掴んで目隠し代わりに上がるしかないかと、そんな悲壮な決意も固まってきた頃だった。)
御子柴ともり 08/01 (Sat) 15:59 No.10
(真夏に顕在するお天道様は容赦無い。侍らす射光が海面に迫り肌へ触れる生温さがあったが、翻って水中の冷ややかさが体熱を鎮める心地にて極楽気分のオーシャンスイム。姦しさをシャットアウトするプライベートビーチに流るるひとときが緩慢且つ静謐だから、数度のスクロールを以て浮遊する男の脳裡は何時になく清廉潔白だ。況してやラッキースケベなんぞ期す訳がー無い。)っブ 何だこれビキニか。…。……。ビ…………(バック姿勢じゃ前方不注意、突としてかんばせに引っ掛かる布地掬って翻る身が忽ち屹立するやペロンと拡げた其れを映じて何て事無い自己完結に至るまで2秒。してお年頃がはべらす下心を平素に違えず取り戻す迄に5秒を有した。窃盗犯の如き高揚が脳天から馳走した後、軈て眦がクラスメイトのかんばせを海面にキャッチし喜悦付す唇にて)見ろよともり!ビキニ捕まえちゃったわ〜〜〜〜(宛ら小学男児が引っ掴んだ蝉を異性へ見せつけるみたいに、企図も無けりゃ慮りもデリカシーだって180度地球の向こう側へ放擲してしまったから現況其のまなじりには純真たる輝きばかりが残る。故に体幹キープする爪先は平気で彼女へと近寄れた。)
馬渕一颯 08/02 (Sun) 01:15 No.20
やだもうちょっと、厄日かしら…海ぶどうだと心許ないから、隠すならワカメがいいわね…。(最優先でビキニの上を探しながら、同時に都合よく浮いているワカメか、もしくは誰かの持ち込んだビート板でも流れていないかと無謀な期待を込めて首振り人形に負けじと高速で首を動かして必死に捜索していた、折。)ビキニ!?ちょちょ、馬渕、それ詳し……っあぁー!ストップ!ストップストップ!ステイ!でも帰らないで!そのままで!(いっそ蝉やクラゲなら良かったが、彼の手にあるのは純然たるビキニーーそれも己が身に着けるパンツと同じ色柄の。近寄る彼との距離が縮まらぬようばしゃばしゃ後ずさりながらも遠ざかりすぎない距離を保ち、片腕は胸元を隠すように倒して。常ならデリカシーだなんだとツッコミくらい入れたはずだが、生憎とそんな余裕は海の藻屑と化した。)それね!私のだからね!拾ってくれてありがとう!そしてすぐ返して!お願いだから!(こんなに必死になるのは固い肉を喉に詰まらせた時以来じゃないかと思いながら、それはもう切羽詰まった顔で訴え、片腕を伸ばしながら彼に向けて渾身の叫びを投げつけた。とりあえずビキニが戻るなら、それ以外の恥など可愛いもの。)
御子柴ともり 08/02 (Sun) 22:29 No.29
(紫陽花の如く色彩が大人びたビキニ掲げて射光に晒し、挙句に急上昇のテンションはべらす音吐がでかでかと収穫を露呈する。さて何処ぞの持ち主が男を海中へ沈めたくもなる暴挙を“健全な男子高校生”の言い分にて開き直るから、波紋拡げてクラスメイトへ接近する分速はまぁまぁ容赦が無かった。)え 何?この状況で鬼ごっこする?ソレもいいけど、どっかのハダカのマーメイド捕まえてからでいい?(再び遠退くディスタンスに疑問符湛えるかんばせが空振り三振の読み間違い。斯くしてヤンマガ掲載予定のちょっぴりエッチなロマンスを期すふしだらが身翻し、引っ掴んだビキニ泳がせ片足が海中をキックするのと同等の折。背中がキャッチする口吻の躍起は振り返らずとも伝播したし、何より意想外のシチュエーションにてハダカのマーメイドちゃんが現出したなら双眸丸めて間抜け面を呈す真夏のひととき。)と    ともり、(脳裡のBGMはとっくにエロティカセブン。翻る踵に因り再び相対する彼女のかんばせをキャッチ、恐らく視界の隅っこで捕らえる覆われた胸元は企図があっての事じゃないと弁明したい処であるがやけに落ち着き払うトーンにて男は口火を切っただろう。)俺のこと誘ってる?(まさかビキニ紐が思い掛けず解けるなんぞ推知出来るものか。前髪を伝う滴が唇に落ちれば糖度ゼロのしょっぱさを感取した。)
馬渕一颯 08/03 (Mon) 01:21 No.32
ぎゃっ!だから来ないでって…逃げられても困るけど!いや、だからね?…私だって、それ!あと下は履いてるからハダカじゃない!ハンラのマーメイドね!(ばしゃばしゃと逃げるが、彼の速度に敵わず無慈悲に幾らか縮まる距離。上半身裸の実情を思えばマーメイドなんてきらびやかな呼び名より痴女の方がよっぽど近い気がして冷や汗が噴き出す。捕まるのもアウトだが逃げられるのもアウトーー前代未聞の理不尽な鬼ごっこが知らぬ間に幕を開けていたが、彼にやっと真実が伝わったならば。)…わ、わかってくれた…?(ほとんど願望を込めた問いかけは、しかし続く冷静な一言で木っ端みじん。)っんふぉ!?ちっっ…がーう!断じて!違う!ありえない!ほんっとに違うのよ!?背中で結ぶタイプのビキニが!解けちゃったの!誘うなら…もっと…こう、段階を踏むし!(とにかく事実を伝えようと動く口は気持ちが先走りすぎてどうにも舌が縺れて思考も散らかりがち。)とにかく!そういう事だから…返してくれる、わね?……ちなみに断ったら、馬渕にも同じ思いを味わってもらう予定だから…そのつもりで、よーく考えた上で答えてね。(今の自分は悪い意味で怖いものなしだと自覚してしまった少女である。最悪も最悪のパターンとして、彼の海パンを奪い取うというえげつない行為に走った挙句、奪ったそれを上半身の目隠しに使ってやろうだなんて暴挙にも程がある思考を割と本気で検討し始めていた。)
御子柴ともり 08/03 (Mon) 19:16 No.35
ブフッッ。ハンラのマーメイド?ちゃっかり自称してんじゃね〜わっ。(掻き立てる飛沫の先、射光にて反射しきらめく水面に曰くハンラのマーメイド。丸見え<チラ見え、真っ裸<脱掛けを偏好するお年頃の下心には実以て蠱惑的なワードである筈なのにそそられる笑声は止むまい。学力に物を言わせれば優秀な癖して耳打つ口吻のちぐはぐに鬼は爪先にてブレーキを掛けるしか無かったが、)えっっっっっ ちげーの????(明け透けな気落ち呈せばビキニを捕えた儘の指先が重力に副い水中へ沈む。事実享け鳴り止むエロティカセブン、其れほど容易く解けるものかと要らぬ薀蓄がオープンスケベを磨く。ディスタンスを保つ傍らにて奇妙な談義は尚止まずして、)んじゃ、あとどんな段階を踏めばともりはハンラでお誘いしてくれんの?(無礼を極めるクエスチョンはシビア面に侍らせてガチ談義を訴求する気配。爪先が海砂を掻き対峙し間も無く、手にした儘のビキニによこしまを感取し交渉へ応じるかんばせが投げられる脅し文句に引き吊り浮上する身の危険。指先がサーフパンツのウエストに然ずと引っ掛かる。)バカ、返すって!俺もともりも帰国する前に地元ポリスに捕まるわ!(落ち着けと言外に語る眦を目先の彼女へ宛てがい待ったを強いる末、軈てテノールは静謐を取り戻した。)………そっち行っていい?それとも後ろ向いてる間にお前が来る?
馬渕一颯 08/05 (Wed) 14:15 No.52
うっ、分かってるわよ…どう考えてもマーメイドより痴女だって!(上半身だけなのが不幸中の幸いと言えなくもないが、腕と水だけで隠された胸元の心許なさは泣けるほど。しかしシリアスな気持ちに浸ろうとも思えぬのは、彼が朗々と笑い声を響かせる為。その間も未だ何処からか助けとなるワカメでも流れてこないかと無謀な期待を込めて辺りに視線を這わせるのも忘れず。)違うわよ!そんなバカはしないわ!(ばんばんと抗議の意を示すのは片手でべしゃべしゃと叩く水面にて。切羽詰まった状況は変わらないが、この誤解は解かないと死に直結する予感しかしなかったので向き合う瞳は据わりがち。)そうね…まずは大人しくビキニを返して、それを言いふらさないでくれたら…お誘いも考えようかしら…。(半裸で誘惑する趣味など皆無であり想像すらしたこともなかった少女ゆえ、眉根に皺を寄せて難解な顔をしたが――ともかく今は目先のビキニが恋しい。)本当!?よかった、馬渕は賢明な判断をしてくれるって信じていたわ、私…。…こっちの留置所って日本より無法地帯なイメージだし、流石に遠慮したいわ。(据わった瞳に幾らか和らぐ兆しが見えたのは彼の説得の賜物。既に地元ポリスに捕まった後のリアルな想像まで手を広げているのはさておき、)いいわよ。正直、私この状態で出来るだけ動きたくないから…馬渕の良心と羞恥心を信じるわ。(返答するが早いか、思いっきり片腕を伸ばして念願の落とし物が手中に収められるのを今か今かと待つばかり。)
御子柴ともり 08/07 (Fri) 19:21 No.72
ち  待て待てソッチに転ぶなともり!お前、海みたいにキレイな髪色してそりゃもう正にマーメイド…………………………ハンラの。(やわな風が海面を揺り動かす沈黙の末、己を欺けぬド正直は不要の4文字を言添えた。生憎、異性の慰め方とやらは未取得のデリカシーじゃ力及ばずと云った処。口上の裏に潜ませる“痴女なんて思ってまセン”の言意は彼女へ伝播するか否か、何にせよ海中へ沈む掌が再びネイビーカラーのビキニを掲げ)? ビキニなら俺が持ってるって。下も落とした?(そう小首傾げるから行間なんて読めちゃいない。違うんだ……と気落ちする脳裡は飛沫に伴いNOを呈する口吻が耳を打つ末。)こんな美味しいシチュ独り占めするしかねーじゃん。段階踏む気なった?1段目はともりオススメのドリンクで乾杯するっつーのはど?(現況のワンシーンは2人占めを表明する傍ら、悪戯にアーチ描く口唇は健全たるお誘いを投擲しただろう。モーニングの場にて感取した彼女の嗜好を喚び起こし、脳裡じゃ既にビーチバー迄のルートだってイメージ済。さて眉根に寄る皺をほどく一手と成り得るか。)新太くらいの肉体じゃねぇと、女の子連れてのプリズンブレイクは無理…。(無法地帯行きはご勘弁、斯くして海砂に沈む爪先を蹴り緩慢なペースにて海中を進行する。行く宛持たぬ視線が四囲を揺蕩い、視界の角にて捕らえる華奢な掌へ紫陽花は無事バトンタッチを遂げた。)バカ、良心の塊だわ。後ろ向いてりゃいい?
馬渕一颯 08/08 (Sat) 14:35 No.85
だって…どう転んでも痴女オブ痴女でしょ!?……褒めてもらえるのは光栄だけどね、あの貝殻のブラジャーがあってこそのマーメイドだと私は思っているわけで…。(つまりブラなしの半裸はマーメイドの定義を外れるのだと主張し、やはりマーメイドとは程遠い自分を認識してがっくりむき出しの型を落とした。だけどそう思われても仕方ないとの諦めとガードが緩めのビキニを選んだ反省もあり、掲げられるビキニに目をひん剥いた。)そうね知ってるわ…。…下!?まさか、まさかね…(それがフラグでないことをおそらく人生で一番くらいの強さで祈りながら片手で水着のパンツの存在を確かめる。)あったわ、ちゃんと履いてる…。もう落とさないわよ…。(安堵の中で絞り出された決意は呻きに似た声で落とされた。)なるわけないでしょ!…そうね、それなら…パイナップルのコールドプレスジュースとかでいいかしら…?(半裸から一気に高校生らしい健全な青春へトーンダウンした誘いに頬を緩め、前向きな答えを投げ返す。)日本ならまだしも、此処でのプリズンブレイクは上埜でもちょっと怪しいんじゃないかと思うわ…。(水泳に長けた彼のクラスメイトの顔を浮かべつつも、ついに手元に戻った小さな布地に謎の感慨がこみ上げた。)馬渕が邪心じゃなくて良心の塊で良かったわ、感謝してる。……うん、お願い。(と、後は彼の言葉を信じてなるべく体隠しながらビキニの上を装着し直し、完全体にて「もういいよ」を告げよう。)色々とお騒がせしたお詫びに何か奢るわ。(そう感謝を伝えるのも忘れずに。)
御子柴ともり〆 08/10 (Mon) 05:22 No.103
(海面に這う視線がよもやワカメを希求しているとは露程にも思っちゃいないから、まん丸にひん剥く紫陽花色のまなじりに向けたデリカシーの欠落。ゼンラの懸念を放ったくせして咽喉震わせる笑声が波音に混ざる無責任は、打てば響くマーメイドと対峙している限りは自省する気も無いらしい。)ワハハっ!「もう離さない」みたいなトーンで言うな。(彼女の安堵に反するかろい口振りは楽観視も甚だしい。して海に沈められたって不思議じゃない無礼を極めた後、健全な理性にてラッキースケベを希求する下心を塗り替えた。多分。)乗った。ソレ女の子が置き換えとかするやつだっけ。俺初めて飲むけどウマい?コンビニで果汁100%ジュース買えねえくらい舌肥えたらどーしよ。(耳馴染みの無いドリンク名に手向けるのは口先ばかりの憂慮なんかじゃ無く只管に好奇心だ。一段目の確約果たせば唇のあわいを解いて笑う。)怪しさぶっ飛ばす脱獄計画をお前が企むんじゃん、主演はと・も・り。(クラス2位の学力頼みはビーチを臨んで手持ち無沙汰に戯れた結果。一夏に卒爾として襲来したラッキースケベ、良心の塊だと宣う傍でチラ見を試みる下心は寸前に理性がぶん殴った。斯くして振り返るのは小波に紛れたソプラノのOKサインが耳打ってから、)正直奢りたいのは俺の方だよ。また期待しててってくらい女の子のビキニって解けやすいモン?コールド何とか飲みながらゆっくり教えてともり。(きっともう暫くは洒落たジュースを片手に収めてまなじりとビキニ地に咲く紫陽花を独り占め。)
馬渕一颯〆 08/12 (Wed) 22:55 No.110
name
color
pass
0文字