(鼻先擽る匂いは自然空腹を呼び起こして)

(湿度の低い風が心地よく頬撫でて、肉の焼けた匂いは鼻腔を擽った。オープンテラスで星空と海の漣を堪能しながらの食事はじつに趣深く、平素は然程強くもない食欲もむくりと確かに沸き起こる。シンプルな白のTシャツにジーンズ地のショートパンツを合わせたのは匂いがつくことを考慮した為で、鉄板の上の串を手際よく引っ繰り返して焼き加減をみる三つ編みは風に揺らめいた。牛とピーマン、パプリカを交互に刺したカラフルな鉄串は今こそ食べ頃と云わんばかりに焼き目を付けているように見えたから、)なあ、これいい感じに焼けてるけど。食べる?(近くにいる人物への声掛けひとつに迷いはなし。応答あれば串ごと相手の皿に盛らんとするけれど、返事はさて。)
巽志真 07/23 (Thu) 23:24 No.1
(黄昏に染まる海がいつの間にか星空を映じる鏡へと移ろう迄の早いこと。うつくしい眺望に憧憬捏ねたひとみは、けれど今はその視線をビーチに留まらせるばかりでは居られなかった。網の上に寝そべる肉が滴をやんちゃに飛ばしたって、下手をぶっこいた展開によって例え誰かにタレをぶっかけられたって、気にやせずに済むだろう黒のオーバーサイズTを宵の翳りに溶込ませながら火の元に集う。)有難う。網の傍で待機してる位だし、そりゃ食べる一択のハイエナだよ。巽は食べてるの?焼いてばっかりでさ。(皿を差し出してこうべを垂れるのは礼の代わり。)嫌いな物とかあるの。(先ずは彼女が食えると既知しているピクルスを勝手に皿に盛りつけてやる。問いは他愛ない雑談の一種。次いでトマトの梅マリネを彼女の皿に盛ってやるのは嗜好を探る冒険で実験。)
葉邑柊 07/24 (Fri) 00:36 No.2
よかった。食べて。そしたらみんなに分配してるわたしはライオンかな?ガオー。(手にしたトングを眸の高さまで持ち上げるけれど、動物の王様を真似て戯ける口吻は存外淡々と喉元を潜る。けれど、自身の皿に好物が見事に盛りつけられたなら、星空に負けじと瞳は反射して「ありがと」の謝辞で開いた唇はご機嫌だ。)なんかこういうの、いい感じに焼き目つけて綺麗に焼いて、ベスト!おいしい!ってタイミングでみんなに食べてほしい!って思っちゃうねんな。だから食べるのついつい二の次になりがち。やから食べてくれてうれしい。(一旦タングは取り皿付近に据えるとして、割り箸を真っ二つに割ったなら小首捻ったのは鮮やかな赤を頂戴して咀嚼と共に。)嫌いなものかあ。食べ物やとあんまりないかも。あ、でもレバーはニガテ。葉邑は?(目弾きに乗せた彼への関心はくるりと瞬く。「次ホタテとか焼く?」は彼への次なる分配を伺う心算で。)
巽志真 07/24 (Fri) 22:47 No.19
雌ライオンは雄のためにエサを狩りに行くって聞いたことあるけど、それ?(何故自らを百獣の王に宛がうのか巽への疑問が頭を擡げたし、猛々しさを模した咆哮もどきが鼓膜を突けば口元だって風にそよぐような心地。)BBQ奉行って訳じゃなくて、巽の場合は人を喜ばせるのが好きなのかな。俺は嬉しいけど…でも美味い物食べてる時は気分の共有したいしな、もっと食べなよおまえも。(取分ける物に今のところは外れ無しの模様にて、電極棒を慎重に運ぶイライラ棒ゲームの進捗が順調な時くらいの達成感。)俺は、嫌いって言うより興味無いのはところてんでレバーよりハツがいい。嫌いな物、食べ物以外なら割とあるの?(こういった機会でもなければ聞けない疑問を掬って問い掛けていく。)バター醤油がいいな、ホタテ。俺は巽に肉とエビを焼こう。…ちなみにエビの頭が入った味噌汁が結構好き。(トングでひっ捕まえた赤エビが網の上で背を丸めた)
葉邑柊 07/27 (Mon) 00:44 No.43
それそれ。捕食は連携が命。BBQも分担が大事。…何の話やっけ。(先端がまだ熱を帯びているだろうトングは大人しくテーブルの上へ。言い出しっぺがていよく小首傾げる白々しさを披露して、「このトマト、おいしい」は取り分けた彼への謝辞の色を帯びる。)みんなとご飯一緒に食べるのが日課になって、ひとが食べてるとこ見るの好きかもって。おもった。みんな今日は何から食べるんやろ?とか、美味しそうに食べるなあとか知るんたのしい。ありがと、それでは遠慮なくいただきます。(毎朝の光景を想起したら、クールを装ったかんばせも自然ひくり。口許が緩む。咀嚼する口許を掌で覆い隠しながら、成程の意を示したこうべは上下に幾度か揺れた。ごくん。腔内空っぽで漸く相槌は声となる。)ところてん興味ないって分からんくないかも。生活に必須の食べ物ちゃうもん。あれ、カロリーある?(ホタテが香しく音を立て、海老の隣で嬉しそうに弾けるさまを横目に、)きらいなんは、虫。それからテスト前に無駄に掃除したくなる欲がきらい。じゃまやから。(肩竦めて眉尻下げた困り顔が同じ問いを持ち出したのは、純然たる疑問にちなんだ。常日頃優しい人にはどうにも好きの反対の三文字が結びつかない。)葉邑はきらいなん、なんかある?イメージわかん。
巽志真 07/27 (Mon) 19:52 No.52
ところてんのイメージは調味料を味わう食材って感じ。STAP細胞くらい限りなく無いに等しい気がするけどね、巽はカロリーとか気にするタイプなの。予想は気にしなさそう。(つまるところの“気にする必要が無さそう”を説きながら問えば、その折を縫ってエビの殻が高熱に弾ける音がする。程良く焼き目が付いたのを確認した頃、)エビのマッハ剥きって知ってる?俺は知ってるんだけどイマイチ上手く出来ないから、おまえ、やってくれないかなって。(トングで持ち上げた焼きエビが引取り手を待つあわいに尾を揺らす。)南の島の虫なんてデカいし出現率も高そうなのに。毎日生きられてるの、おまえ。(ほらあそこにも、と蝶が傍でひらめく様を報せるように彼女の肩を突く。それは悪気無く見付た衝動の侭。)巽がテスト前に掃除するのは、現実逃避じゃなくて集中する為にする感じ?うるさいのもダメ?俺は家の店番しながらでも勉強できるタイプだから、雑多な景色にも雑音にも強いよ。(特段優しい訳じゃないけど、都合のいい行間はその侭に放置。)体力測定?体育?持久走とか?俺は体育に命の危機を感じる。こっちに来てからは素潜りに付合って後悔したばっか。
葉邑柊 07/28 (Tue) 22:02 No.64
なはっ。“STAP細胞はあります!”(鼻から抜ける笑いが惹起されれば、過日の女性研究者を真似た。一息つきながらの平静取り戻す術は眼鏡の鼻当てを押し上げることで、)…んー。確かに食に対してあんまり頓着せんかも。でもしょっぱいもの好きやから、そのうち血圧爆上がりするかな。コワ。(喋喋しく肩竦めた隙に、鉄板の上の海老が踊る。真っ赤な尾っぽが跳ねるより先、彼のトングが持ち上げた海老の着地点として自身の紙皿を差し出した。その勢いは今日一だったかも。理由は単純明快、なぜならって)知ってる。まかせて。マッハ剥きの巽って呼んで。(左手にフォーク、右手にスプーン。頭を切断、殻の隙間を剥いで。尻尾を押さえて、ツルンッ。出来栄えは目線で語るで充分だろう。「どう?」)ギッ!?ちょっ 蝶々な、6本足の連中では、まっ まぁマシなほう…。(肩越しの存在に怖気を震って立ち竦むけれど、舌先だけは余裕を偽る。)あ~、うるさいのいや。テスト期間中は親のことぐるぐる巻きにして磔にしたい…。その集中力分けて……。(羨望の侭に懇願の眼差しとなるけれど、彼の「きらい」には成程と瞼裡に一学期の体育の授業が曖昧に蘇る。単刀直入な物言いに悪意なく、)そっか、体育苦手やっけ。…大人になってからいらんくない?体育って。きっとマッハ剥きのほうがずっとずっと役に立つで。(網から一匹の無抵抗の海老を捕獲すれば、高速で身だけ取り出してどうぞとばかりに差し出したのは気慰みの意も少なからず。)
巽志真 07/29 (Wed) 19:48 No.77
(突如として示される“無い”の象徴寸劇に、堪え性なく吹出し掛けた口元を手の甲で覆わせた。予告なしでIPPON!取ろうとするのはやめてくれ。)泣かないで、巽。ハンカチ持ってないから立って目隠ししてやるしか出来ないよ。(大粒の涙零したかの研究者扱いして応えた。)もしかして基本的に調味料ぶっかける派?論争しようよ。例えば、エビフライに何かけるか。(しょっぱいもの愛好家らしい彼女への偏見に基づいた問いは的を得ているかは定かでないにしろ、雑談弾む切っ掛けは純然たる感心にて。)俺はまあ…正直何でもいんだけど。強いて言うならタルタルソースが好き。(焼きエビを眺望した末に問いをころがし皿を差出す。軽快な所作で以ってひん剥かれた殻を見遣れば「ウマ」捻た思惟感ゼロの感想が脳直で溢れる。)おまえを縋って正解だ。器用?見てたら俺もできる気になった   …のは気のせいだったけど。(彼女の手捌きを見様見真似。追って自分もエビの身を剥こうと試すも殻引っ付いた状態の身がぶち切れた終わった。無残。)物によっては平気なんだ。じゃあ今度クワガタ探しに行く?近場の林縫って歩いてさ。(ギッ、て。響く擬音を拾上げた癖、細めた目尻に小じわ浮かべながら面白がって度胸試しみたいな誘いを投じる。)マッハ剥き教えてよ。エビも剥けないこの侭じゃずっとピーターパン症候群だ、俺。(差出した皿に頂くエビを醤油を数的垂らしながらの懇願。でもどうだろ。舌鼓を打つ味わいがあるのは、頂き物故かも分からないけど。)
葉邑柊〆 07/31 (Fri) 23:52 No.109
目隠し三秒で立ち直ったるわ。(某著名人とは駆け離れた強気が風に乗る。彼の手の甲の下に隠された笑みだって見逃さない不躾さがあるから、論争には待ったなし。)エビフライ?塩。(しょっぱいの権化を端的な二文字で舌先に乗せれば、「タルタルならマヨで良い派かも」は否定の意は込めず周囲に溢れる調味料を探すための時間稼ぎに過ぎない。人差し指が徐ろにタルタルソース取り分けられた皿を示す。あそこ。)え、どうやろ。裁縫とかはそんなに。あっ ……、いやでも食べると一緒やから……。(稚拙な鼓舞と自覚済み故に、「潔癖ちゃう?」の確認は剥きますよの合図の心算だが果たして。)クワガタ?むりむり。アイツ、茶色いもん。カブトムシも右に同じ。茶色い。むりむり。戦わすんとか理解不能。(妄想は発展の末に、小学生男子が興じるそれを瞼裡に描いてNOの首振りは重々しい。さりとて、懇願を撥ね除ける理由など地球の裏側まで探しに行ったとて見つかりそうもないから、)任せて。フォーク、スプーン。準備はオッケー?…でもさあ、大人になったらピーターパンに帰りたくなる気がせん?You can flyが通じる間にいっぱい飛んでこ。付き合うで。(右と左にカトラリー携えたなら、銀色が宵の道しるべとなった月に反射した。ピーターパンみたいには飛べなくたって、きっと今日の星空はいまのじぶんたちだからこそ目映い気がしてる。)
巽志真〆 08/04 (Tue) 00:49 No.118
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