(白い砂浜から青い海まであと少し。)

(仲良く男3人で楽しもう、俺らの仲に女なんて要らないぜ。強がりを存分に含みながら立てた旅行計画はひとりトイレに行っている間に脆くも崩れ去っていた。男2対女2できゃいきゃいと盛り上がっている友人たちを遠目に、なれば自分もと気合を入れて辺りを見渡す。ほとんど皆が複数で連れ立っている中でふと目を引いた白レースのオフショルビキニの女の子。何を隠そう、俺はオフショルの服が大好きだ。しかも細すぎない体型も良し、青をベースとした大きな花柄のフリルスカートまで完璧。顔立ちから同じ日本人だと判断すればゆっくりと近づいていく。水色の浮き輪を手にした彼女に斜め後ろから努めて明るく声をかけよう。)ね、ひとり?日本人だよね?泳ごうとしてたの?俺、友達と来てんだけどどっか行っちゃってさ、暇になっちゃったから俺と海入らない? あ、もしかして泳ぐの苦手なの?大丈夫任せて、俺中高って水泳部だったから。ほらほら、行こうよ!(こういうときは勢いだ。自分の顔が中の上くらいだというそれなりの自信もある。腹筋だって割れてるし。戸惑った様子ですぐに断る気配を見せない彼女に、押せばイケると踏んでその細っこい手首を掴む。波打ち際まであと数歩、海まで入ってしまえばこっちのものだ。)
----- 07/13 (Mon) 23:16 No.12
(溺死や日射病、日焼け等の懸念をまるっとひと纏めにして頭の片隅にぎゅぎゅっと追いやり、せっかくだからと言い聞かせて砂浜を散歩中、よもや想像もしなかった光景を目に止めて目弾き、ののち。緊張に息を詰めたのは次なる行動を瞬間的に決めていたからに他ならない。たった数メートルの距離を駆けるさなか浜辺に足を取られかけながら、彼女が引かれたのとは反対側の手を掴んだ。)あの、(ナンパ男の綺麗に割れた腹筋に目が行き、細身の体を覆うオフホワイトのラッシュガードと太幅のマリンボーダーのサーフパンツがまるで貧相を隠しているみたいな心地になって第一声から尻切れトンボ。さりとて見知った少女の顔は戸惑いに揺れて見えたから、「あの」と再度繰り返した二音は先刻より圧をかけて。)すみません、おれと約束してるので。他を当たってください。(ぐっと手を引けばこちら側へ引き寄せることは出来るだろうか。眼力が特別強い訳じゃないけれど、逸らさぬように務めたまなざしはきっと牽制には事足りる。諦めて立ち去る男の後ろ姿が見えなくなって漸くはあ……と息をつき、手中にある感触に我に返ってパッと手放せば、溢れる吐露は言い訳じみた。)ごめん、勝手に。たまたま通りがかって、困ってそうに見えて。何かあってからじゃ遅いなって、おれ、
奈尾秀実 07/14 (Tue) 21:47 No.27
(海で泳ぐのはプールで泳ぐのとはわけが違う。というかそもそもプールの中ですら泳げない。目の前に広がる青い海は信じられないくらいに綺麗に煌めいているけれどいざ足を踏み入れようとなるとそれなりの決心が必要で、丁寧に膨らませた浮き輪片手に海を睨むように見つめていたから色々と反応が遅れた。気づいたときには見知らぬ男から質問攻めにあっていて、「あ」「えっと」と相槌にも満たない声を零しながら瞳は情けないほどに戸惑いに揺れる。ふと反対側の手も掴まれてぐるりと首を回して振り返ればよく見知った顔があったからあからさまにほっとした表情になって、引き寄せられながら彼の言葉を後押しするようにこくこくと何度も頷いた。)奈尾くん…!いえ、ありがとうございます!本当に助かりました、知らない人に海に引きずり込まれて死ぬところでしたよ。(通りがかりのヒーローにきっちり九十度のお辞儀をひとつ。緊張が一気に解けたように息を吐き出してから眉をへにゃりと下げて笑う。ありがとう、ともう一度お礼を付け足してから日照りの良い太陽に目を細めた。)そうだ、奈尾くん暑くないですか?一緒に冷たいジュースでもどうです?
琴平るい 07/15 (Wed) 00:16 No.31
(目に見えて安堵する様子を前にして負けず劣らずほっとひと息。良かった、の小さな呟きはビーチのざわめきに飲まれたか、彼女の口振りに僅か目を見開き柔らかに破顔した。)流石に、自殺するのに琴平さんを道連れにしようとしてる…って雰囲気じゃなかったと思うけどな。普通にナンパだよ、あれ。何もなくて良かったし、おれも早とちりじゃなくて良かった。(死ぬところだったの理由を腹筋割れ男=自殺志願疑惑としか結び付けられず、珍しく悪い想像に待ったを掛けた。澄み切った蒼穹から燦々と降り注ぐ太陽の光はビーチを焦がせど湿気孕まぬ空気は心地良く、さりとて体感温度はそれなりだ。)うん、暑いね。さっきからパーカー脱ごうか迷ってるところ。あはは、もしかしておれ、琴平さんにナンパされてる?(冗談めかして笑いながら、「当てはある?」とビーチ周辺に立ち並ぶ店へ目を向けたとき、漸く彼女の手許に気がついた。)海は良いの?(青と白のコントラストが眩しい後ろを振り返り)
奈尾秀実 07/15 (Wed) 22:36 No.41
(ナンパ、という事象が存在することは知っていてもまさか自分自身がその渦中に置かれることになるだなんて考えたこともなかった。死ぬところだった、の意は単純に溺れることへの恐怖だったのだけれど混乱の余韻もあって言葉が足らず、思わぬ展開に話が及べば慌ててぱたぱたと片手を顔の前で振る。)じさ、…あっ、いやいや、単純に溺れて死ぬと思いまして!ナンパって本当に存在するんですね…びっくりしました。奈尾くんが来てくれて良かったです。(降り注ぐ太陽の光と、白い砂浜で反射する熱がじんわりと襲い掛かってくる。指摘されてようやく先程の男と同じことをしていると気付けば素っ頓狂な声が出た。)へあ!? あ、いや、確かにナンパというやつになるかもしれませんが他意はなく…!いえ、他意と言いますか、一緒に行きたいという気持ちはあるのですが!(あせあせと言葉を重ねながらも「ひとつ気になっているお店がありまして!」と少し離れた場所に見える黄色い看板を指さす。)………海は……私にはまだ早いかなと……。(まだ使っていない浮き輪を一度見下ろし、そっと首を横に振った。)
琴平るい 07/16 (Thu) 22:05 No.55
琴平さん、もしかして全然泳げない?……あ、そうじゃなくても、浅瀬でも失神すると溺れるって聞くからさ、その気持ちは分かる。(至極真面目に励ますつもりの言葉掛けも、彼女の所作に見当違いを予期して目弾き、一切の水滴無い浮き輪と相俟って得心までは早かった。)ナンパ、見るのもされるのも初めて?おれ割とよく見る気がするな。成功してるのレアケースだと思うけど。(あくまで目撃情報に基づく統計を打ち出しつつ、慌てる様に息を吐く容量で破顔。笑い滲んだ「ウルトラマン?」たる問いの内訳は推測されようか。)伝わってるから安心して。他意って言うか、邪な気持ちはないって話だ。(よね?と声に出さぬものの視線と首で問い重ね)って言うか、顔見知りでもナンパになるのかな。(こちらから吹っ掛けたくせそもそもの定義を転がし、海と彼女を見やって神妙に頷いた後徒行開始。目立つ黄色い看板に向かいつつ「それ私物?」と浮き輪に視線落としては、)おれはいっそ、酸素ある状態で潜る方が泳ぐよりハードル低いかなって考えたりしたよ。シュノーケリングとかさ。(海との付き合い方をご提案。)
奈尾秀実 07/19 (Sun) 00:31 No.73
もしかしなくても全然泳げません。あ、2mくらいなら進めますが……。(2m、が果たして泳げる分類に入るのかはさておいて一応の自己申告をひとつ。いざ膨らませたはいいものの腕に抱えたまま一度も水に浸していない浮き輪が何よりの証左だろう。足先を海に浸けるくらいは数回したもののまだそれ以上は足を踏み入れていない。)見るのもされるのも初めてですよ!本当ですか?都市伝説のようなものかと思ってました。(初めて尽くしの夏休みだが、まさかこんな初めてがあるとは思ってもみなかった。「ウ、ウルトラマン」とはまさかの反応に我ながら笑いを堪え切れず肩を震わせる。)そうそれです!邪な気持ちはありませんので!(彼の口から導き出された正解にぽんと手を叩き、)うーん、どうなんでしょう。確かにそう考えると遊びのお誘いもナンパということになってしまいますね。(ふと真剣な表情で考え込みながらも歩き出して、しばらくすればカラフルなドリンクが並ぶメニューが見えてくるだろうか。「私物です!ばっちり用意してきたんですがまだ使えていなくてですね」大事な生命線ともいえる浮き輪だ。未使用だが。)シュノーケリングですか!その発想はまったくありませんでした!もぐ、潜るのか……。でも私水の中じゃ2mしか進めないんですけどいけますかね……?(大変魅力的な提案ではあったものの、はてこの実力で実現は叶うのか。)
琴平るい 07/19 (Sun) 16:47 No.78
2mってプールで蹴伸びのレベルなんじゃ…?浮き輪使うにしてもちゃんと足首まわさないと、…いや、でも波に流されるってこともあるかもしれないしな……。(お世辞にも泳げるとは言い難い距離に頭から爪先までを見下ろす(事が出来たのはギリギリ露出度の高い私服と呼べそうな水着ゆえ)や、「見た目だけなら泳げそうに見えるんだけどな」との所感は憚り知らず。押し並べての懸念は彼女の不安煽る可能性を慮外にし、ただただ神妙な面持ちで。)あれ、駅前とかでない?……あれってもしかしてナンパじゃないのかな。呼び込みの可能性ある?(伝説と肩を並べられてしまえば目撃経験は途端に失速。真実は恐らく新宿駅東口あたりにあるから紐解くのはいつかの己に任せるとして、「似た感じに鳴くポケモンいるの知ってる?」なんて唐突に鳴き声クイズを開催。)使う単語で印象変わるな。冗談でナンパって使うのはそれはそれで面白いかも。おれ、さっぱりしてるのが良いな。パッションフルーツとか、……あ、パイナップルある。(見本或いは写真が並ぶメニュー前にして、ハズレの危険性少なそうな黄色を選びつつ「琴平さんは?」とお伺い。)おれそこそこは泳げるけど、やっぱりプールと海って違うからさ。酸素の心配しなくていいの、魅力だなって思っててちょっと調べてた。えっと……、水の中で立って歩いたら何メートル?(運動神経との兼ね合いまでは情報不足。傍らの体躯をちらり見遣って、VS水圧の行方を思った。)
奈尾秀実 07/19 (Sun) 21:05 No.80
壁蹴った勢いで進んだ最高記録が2mですね!波に流され……やはり私には死ぬ未来しか……。(つまりは彼の言う通り蹴伸びのレベルを超えず、並べられていく言葉たちに正直に不安を煽られていけば心なしか青ざめた表情を浮かべつつ手で口を覆って俯きぶつぶつと呟く。「見た目から入るタイプなので」と真顔で頷いたのはまさしくその自覚があるからだ。)駅前ですか?私の目には知り合い同士で話しているのか初めましてなのかが区別できなくて。(とどのつまりこの場に答えを持つ人間はいないのだ。深堀りできない話題は落とすことにして「ウルトラマンみたいに鳴くポケモンですか!?知らないです!そんな希少種が…!?」と驚きに丸くなった目が彼を見上げるだろう。ポケモンの記憶は小学生で止まっていた。)ふふ、確かにそうですね。遊びの誘い文句に使えそうです!……あ、ほんとだ。パイナップル美味しそうですね!(メニューをなぞっていた指先がパイナップルのところでぴたりと止まった後、赤色が並ぶゾーンへと進んでいく。「パイナップルも捨てがたいですがこっちのミックス?ですかね?に挑戦していたい気もしていまして」と何味か分かりにくいひとつを指さした。)やってみたいなと思ってましたシュノーケリング!(できるかはさて置き、南の島でのアクティビティは一通り調査済み。)立って歩いたら……波に逆らうとなると……20…いや…10……とか……?(ちら、と振り返るは波立つ海。顎に手を当て考えながら飛び出すは控えめか真実か。恐らくは後者である。)
琴平るい 07/20 (Mon) 23:50 No.94
髪、染めてるのも?おれ、入学直後は琴平さん派手な人なのかと思ってたよ。(過去形の告白は見た目の第一印象が変化しているとの自白と同義。派手地毛と染髪のそれはやはり何処か異なって見える。亜麻色の地毛を指先で摘みながら、見下ろす視線が毛根付近を捉えては断定的に問い掛けた。「おれも詳しくないけど、ヒトデマンの鳴き声がそっくり。」と、随分昔にネット上で出会ったそっくりさん情報を共有しよう。)今琴平さんとは共通認識出来たけど、男女間だと意思疎通取れてないと使いにくい誘い文句かも、…なって思ったけど、そんなことない?おれが自意識過剰なだけか……(中途半端に失速した持論に首捻り)琴平さん意外と、でもないのかな。チャレンジャーだ。何の赤だろ、これ。グアバ?(程なくして順番が来たならば安全牌の黄色と、彼女の決意が変わらないようであれば赤いそれを注文に至るはず。南国っぽい花が飾られた冷たいグラスを手に、彼女と並んで海に向く双眸は何処か遠く彼方を見遣る。)おれが言うのも何だけど、琴平さんのその体力値はまぁまぁ雑魚だね……。(しみじみとした口吻でジュースを一口。「あ、結構さっぱりしてる」と再びストローに口つけながら考える素振りで暫し沈黙。口継いだのは「琴平さんに覚悟があればだけど、」との前置きで、)シュノーケリングもいいけど、一回浅い所で海、入ってみる?紐持つよ、おれ、(浮き輪についた持ち手を示して曰く、)に命預けられるならだけど……。
奈尾秀実 07/21 (Tue) 23:46 No.102
はい!これはまあ、高校デビューというやつですね。あはは、派手になりたくて思い切りましたので。(真っ黒だった地毛を染めたのはよくある理由だ。眼鏡はさて置き見た目と中身がまだ伴っていない自覚はあるから苦笑いを浮かべながら頬をかく。「ヒトデマンですか。あとで調べてみますね」と目を輝かせながら脳内のやることリストに付け足した。)そんなことあります!変な勘違いされて関係こじれる可能性ありますよ、相手はちゃんと見定めないと。(消えかけた彼の持論を拾い上げて数度頷いてみせて)ここではチャレンジするって決めてるんです!グアバですかね、何だろうな。(結局味の想像がつかないままそれでも予定通りのものを選ぶ。赤は背景の白い砂浜と青い海に良く映えて、まず見た目を楽しんでいたところで体力評価を受ければガクリと首を落とした。)ざ、雑魚……。えぇ、まあ、その通りなんですけれども……持久力がないんです……。(ぼそぼそと小さな声で弁明にもならぬ弁明を重ねながら続いてストローを咥えて一口、「ん、美味しい」とテンションはあっさりと元に戻って。覚悟、とごくり喉を鳴らした。)は、入ってみます!ぜひ!奈尾くんに私の命を預けますのでなにとぞよろしくお願いします!(悩むそぶりもなく即決で可決したなら勢いよく彼に向けて九十度近い角度で頭を下げる。ひとりで頑張るよりも何よりも心強い。ジュースを飲み終えた後、生まれたての小鹿のような姿で浮き輪をがっちり掴みながら海に足を踏みいれる姿がある筈。どこまで克服できたかは、さて。)
琴平るい〆 07/23 (Thu) 14:04 No.116
派手になりたい理由ってあるの?おれは、目立つとトラブルに巻き込まれやすいんじゃ、って、地味な方が安心するからさ。(高校デビューはもしかしたら世間に横行しているのかもしれないけれど、生まれてはじめての受験への緊張と合格への安堵で忙しなかった春先、そんな思考はまるで頭になかったから純然たる疑問がふわりと浮かんだ。)だよね。…そうなって来ると、関係こじれる危険あるくらいならそもそもその言い方しない方が無難じゃないかなって思って使えない気がするな。女子同士だったら許されそう?男同士はちょっと、想像できないな……。(異性間の拗れもさることながら同性間も十分恐怖と遠い目。意気消沈した様に目弾きして漸くオブラート消失した物言いを遅れて自覚すれば「ごめん」と相槌代わりの謝罪が漏れる。)言葉が悪かった、いま。……かよわいね?(許されるラインを見定めるように反応を伺いながらも、「チャレンジの一環で、こっちでジムに通ってみるとか」なんて自分では先ず選ばぬ道を提案するだけはただ?)おれが自分で言ったんだけど、そのまま繰り返されると責任倍増するな。うん、じゃあ同じサイズで返せるように努めます。(あっさり命を預けられてしまえば苦笑いの苦みは暑気に溶かして、呼応するように敬語でお命お預かり。波打ち際から海へと、足元はおろか全身の動きがおぼつかない様子に噴き出してしまった無礼は波音に紛れるか否か。パーカを脱ぐつもりが無かったゆえに、日焼け止めを知らない皮膚が悲鳴を上げるまで、カウントダウンはもう僅か。)
奈尾秀実〆 07/24 (Fri) 00:29 No.122
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