(求ム、一円玉。)

(ところ変わって売店。準備はもう万端だからなにか入用のものがあるわけではないが、土産も飲食物も手広く展開しているような大型店にふらっと入りたくなってしまうのは人間の性だろう。ぐるぐると通路を端から端まで巡った結果、その手にはトロピカルフルーツアソートの飴の袋。普段ならばミルク味の飴を手に取るところだが思考はすっかりこの後降り立つ南の島に染められている。マンゴー味は苦手なくせにパイナップル味は食べたくなってしまった。マンゴー味は誰かに押し付ける算段である。)あ、1円足りない……。(レジの前でぽつりと一言。これから海外へ飛び立つというこのタイミングで無駄に日本円の小銭を増やしたくはない。旅行用にとコンパクトにしてきた財布の奥をもう一度覗き込んでからきょろきょろと周囲を見渡した。もちろん求むは1円を貸してくれるクラスメイト。広すぎる空港とはいえ誰かひとりくらいは見つけたいところ。)
琴平るい 07/04 (Sat) 18:54 No.79
(ハイビスカスを譲渡したら頭がさみしくなったので、平生いつもそうしているようにサングラスを頭に乗っけた。そうしたら驚く程に視界が良いから、一方的な口約束を果たすべく売店めがけて闊歩していた男は到着するなり土産品や空弁を抱えてレジへ向かう。弁当と湿布を間違うこともなかっただけに、売店で困っている様子のクラスメイトの姿だってよく見えた。)やあ琴平、どうしたキミも買い物か!飴しか食べない?なんて少食なんだろう…、 あっ、これも一緒にお願いする!(バサバサと抱えていた商品たちをレジ台の上に広げては、ピッ、ピッ…の音に比例しどんどん増えていく会計金額。)ははは安い安い!(そうして5000円札をパァーンと気前よくトレイの上に置きまとめて会計を終了させ売店を出る。彼女の飴も持ち去るように思われたが、ふと足をとめ)……どれがキミのだ?(少女がなにを買おうとしていたのか3秒で忘れ去ってしまった。レジ袋を一緒にしてもらわなければよかったものを。真面目な顔してレジ袋の中身を見たあと琴平を見た。)
橘鷹銀河 07/04 (Sat) 19:14 No.80
(目が合うのが早かったか、それとも彼が勢いよく近づいてくるのが早かったか。どちらにせよお釣りの小銭を減らしたいから1円玉を貸してほしいのだということを説明するよりも先に怒涛の勢いで話が進んでしまい、口を挟む間もなく──もちろん手を出す間もなく──堂々と目の前に置かれた5000円札とともに会計が終了。状況把握が追い付かず、トロピカルフルーツアソートが一緒に詰められていくのを「あ、あ……」とカオナシの如くただ眺めていた。)あー、えっとね、トロピカルフルーツアソート……。(問い掛けられてようやく我に返ったのか彼が持つレジ袋の中身を横から覗き込み、端っこに追いやられていた袋を指差す。そのまま流れで受け取ろうとしてはたと思い出せば、17cm差を埋めるようにぐいと顔を上げた。1円。)お金!足りてないんです1円!だから1円貸してほしかったんです、まあもう会計終わっちゃいましたけども……。(あはは、と気の抜けた笑いが落ちる。)
琴平るい 07/04 (Sat) 21:33 No.81
(隣にいるカオナシを意に介さず特急快速で終えた会計。金でも出しそうな様相だったにも関わらず1円玉が不足していたとは、視界は良好でも洞察力が欠片もない男に察せているわけは微塵もなく。)トロピカルフルーツアソート……、ああこれか。ほら、どうぞ。袋もいる?土産物用の紙袋で良ければだが!それにしても南の島が待ちきれないのが隠せてないね琴平!(橘鷹が購入したものたちに埋もれていた飴の袋を引っ張り出せば琴平に差し出す。別の店で購入した紙袋もついでに差し出すが不要であれば引っ込める心算だが、動作のすがらで喋りは止まらずようやく「む」とマシンガントークを中断したのは17cm差がほんの少し詰まった折。)なに?1円?1円…か……。(1円玉で困ったことなどない…とでも言いたげに不思議そうな顔をした成金野郎は「ああ!」と閃いたように声を漏らす。)さっき釣り銭で1円玉を貰ったはずだ、それをあげよう!! うん?見間違いだったか5円しかないな…まあ大きい方がいいだろう!ご縁だ、はははは!(一人で言って一人で笑う。細っこい指先は琴平に5円玉を握らそうと、小銭を減らしたい人間に対し小銭を増やす暴挙に出た。)
橘鷹銀河 07/04 (Sat) 23:24 No.88
ありがとうございます!あ、いえ袋は結構です、鞄に入りますので。あは、橘鷹くんも人のこと言えないですよそのサングラス。もう気分は南の島ですね?(差し出された飴の袋を両手で受け取りながらも一緒に差し出された紙袋はきっぱりと断った。指摘されたことは完全に的を得ていたために思わず照れたように笑むも、同じ穴の狢だろうと彼の頭上に乗っかっているサングラスを指差す。浮かれているのはふたりお揃いだ。)あぁ、えっと、ご縁は嬉しいですけどもう小銭はいらなくてですね……。 あ!飴!あげます!1円多く払ってもらったお礼!ね!またいつでもあげますから欲しいときは言ってくださいね!(握らされそうになった5円玉から逃げるように手のひらをぱたぱたと振り首も一緒に横に振る。このタイミングで1枚でも小銭を増やしたくないのだ。でもこのまま固辞し続けていては話が終わらないと眉を下げたところではたと顔を上げて、購入したばかりの飴の外袋を開けマンゴー味の飴ひとつ引っ張り出せば彼の手のひらに無理やりにでも握らせたい。決して苦手な味の数を減らしたい下心だけでは──ないはず。いつもより語尾が跳ね上がるのはやっぱり浮かれているから。)
琴平るい 07/05 (Sun) 17:55 No.102
ああこれか?はは、これは最早つけていないと落ち着かない。さっきまではもっと浮かれていたんだよ、ハイビスカスを髪に飾ってたんだ。(行く宛てのなくなった袋だが、気持ち良いほどのNOならばさしてしょぼくれる様子もなく「そうか!」と元あった手提げの袋に仕舞い込む。サングラスを指摘されると現状の上を行く浮かれポンチぶりを側頭部指差しながら白状し、入学当時から身につけていたサングラスは目的地にお誂え向きであると気分が余計に南国にかぶれたのは言うまでもない。お揃いの浮かれっぷりに賛同するようにサングラスを正しく装着。)む!いらないのか!?遠慮はする…、(遠慮はするな。男がありがた迷惑を押し付ける際の常套句だが、言い切る前に言葉が立ち止まったのはされるがまま握らされた飴玉を凝視することに意識が向いたから。ぱっと顔貌が明るむ。)おお、ありがとう!マンゴー味だな 大好きだ!琴平、いつでもと言ったからには次貰いに行った時品切れなんて事がないようにな。(偉そうに言葉を向けてサングラスをまた頭に乗っけたなら踵を返す兆し。は、と思い出したように視線を少し上に向けたあと)買いすぎてしまったんだ、飛行機で隣になった子とでも食べてくれ!(ぴーなっつ最中をひとつふたつみっつ。ウシマロ一箱。浮かれの一欠に対して現地への名残のようなラインナップであるが橘鷹は人に何かを振る舞うのが好きな男で、無理矢理持たせては「鞄に入るか?」と首を傾ける。浮かれ仲間とみなした彼女へ、ささやかながら記念のような気持ちで。)
橘鷹銀河 07/06 (Mon) 21:45 No.122
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