(青と白南風と、それから幼女。)

(キャリーケースを預け終えた出で立ちは、白ポロシャツにハーフパンツ、斜め掛けしているぺちゃんこのボディバッグといたって軽装。一面大きな窓越し、一機また一機と滑走路を飛び立つ飛行機へiPhoneのカメラレンズを向けてシャッターボタンを押し続ける後ろ姿に、どうやら浮かれる様は隠し切れない。カメラロールが青と白で埋め尽くされた頃、ふと何かが腰辺りに当たる感触で意識を傍に落とせば、その先にある見知らぬ半泣きのどんぐり目と目が合った。)? なんですか?トイレ?(ママだかパパだか何やらうにゃむにゃ言ってはいるようだが、生憎この男子には聞き取れず。その場にしゃがんで目線の高さを逆転させてから、もう一度首を傾げ)お腹すいた?お腹いたい?お腹関係…ですか? あ、ちがう?じゃあなんだろう……(フリルのあしらわれた可愛らしいワンピースを揺らして全身で首を横に振り、「マぁマ!」とようやくはっきり不機嫌に声を上げられたところで、分かりやすくぎょっと顔を歪めた。)え!?おっおれ、ママじゃないよ!?(言葉足らずの女児と察し悪い男児の真面目で頓珍漢なやりとりは、その場で少しだけ視線を集めたかもしれない。)
秋吉かもめ 07/01 (Wed) 12:34 No.7
(ここまで引いてきた大荷物が無くなっただけでも解放感があった。お手回り品と称される細々したものを入れたショルダーバッグを揺らしながら、カーキのシャツにネイビーのジーンズとラフな格好であまり足を踏み入れることのない空港内を気ままに歩く。空気は少し生ぬるかった。行き先はそれぞれだろうが数多の人が集う場所だ、ざわめきの波が寄せては返す。そんな場所にて今、一際に鼓膜を揺らした声があった。)……いつの間に子連れになったんだ?(声の位置に向けた視線は、クラスメイトと幼女という組み合わせを捉えて一時停止。次いで迷子という二文字を引っ張り出しながら助け船にしては冗談の色が濃い一言を向けた。ささっと頭上を見上げ、案内の図形と文字を素早く追う。)あった、インフォメーションはあっちっぽいけど、……男二人でそこまで送り届けるのって大丈夫だと思うか?(一方を指差しながらの言葉は、昨今の世情にプラスし己の顔の造りが決して優しいものではない自覚もあってだ。誘拐犯かママかなら、後者の方が幾分マシな響きだろう。)
江坂匡 07/01 (Wed) 15:28 No.8
江坂くん……!(彼の差し出した二文字に当てはまる少女が、なかなか意図の通じない通行人Aを前に「も゛ぉーーー!」とぐずり始めた頃、視界の外から聞こえた通行人Bの声に向く瞳は4つ。すぐに立ち上がれば、彼がこちらへ歩み寄る速度を急かすように片腕を掴んで引っ張り込んでから)ぅっえっあっ、迷子なんですか!?(これは目下の少女へ。返答はイエスでもノーでもなく、ママどこ!の一言のみ。それを聞いたところで再び顔を上げた後、指差す先を追うように目を向けてから続く疑問形に改めてレンズ越しの目を見れば)確かにまあ、どっちかといえば江坂くんのほうがママですよね〜…あ、中身の話ですよ?(友人へ向ける気安い笑い声に他意は含まず。目的地が決まるなら、早速少女を挟むように片側の小さな手を掬って握り)…ということで、行きますよ、ママ!(ちゃんと送り届けますからね、と本人への説明も忘れずに。現状恐らく一人だけ上機嫌に繋いだ手を前後に揺らしながら)おれ、小さい子への接し方いまいちわかんないんですよね〜。(それは束の間道中の雑談未満として)
秋吉かもめ 07/02 (Thu) 18:59 No.41
(二人と合流果たしても尚、保護者的存在はどこにも見当たらなかった。 ママのご指名を受けている級友の質問に返ってきたのは答えにならぬ答え、幾分低いところを彷徨っていた視線は再び上昇する。)いやそこはせめてパパにしてくれ……。(性別の壁をぶち破っていた称号がこちらへと飛んできたのなら分かりやすく顔を顰めた。とはいえ再度投げ返す気にもならず、もう一度だけぐるりと周囲を見回して真のママらしき人物はいないものかと確かめる。結果、男二人に幼女を添えた布陣がインフォメーションカウンターへと出発することとなったのだけれど。)おう、……行く途中に本物のママ見付けたら教えてくれな。(短い相槌は彼へ、後に続く要請は幼女へ。手は繋がないものの幼子を挟んで彼と反対側に位置取ったなら、)まあ弟か妹でもいねえとなかなか接する機会も無いよな。状況次第だろうけど、今みたいな感じでいいんじゃねえ?何か……フツーにその子の兄に見えるわ。(手を繋ぎ歩く姿はほのぼのとした印象すら覚えるものだから、微かに緩んだ唇からその印象を素直に紡いだ。こっちな、と時折上の案内板を見て合図を出すのに精を出していれば目的地が視認出来る場所までやって来た。)
江坂匡 07/02 (Thu) 22:16 No.46
(性別の壁を飛び越えた呼び名はあくまで改める気はなさそうで、返したのはからっとした笑い声のみ。むしろ迷子の少女へ向けた言葉に対して、幼声と男子のはーい!を重ねて響かせ暫く。貰い受けた褒め言葉(として受け取った)に早速足をぴたりと止めれば、やがて浮かべる表情は喜び一色の満面笑顔にて)やったぁ!ねえ、おれお兄ちゃんに見えるって!じゃーあー…やっぱりこのまま連れて帰っちゃおっかな〜!?(嬉しそうな笑顔のまま弾む声で前者ルートへ分岐、は勿論流石に冗談。彼の反応が先か、幼女渾身の「やだっっ!!!」に分かりやすく漫画ちっくにショックを受け、ガーン!と口で言うまでがおふざけセット。お兄ちゃんにするならどっちがいいですか?友達になるなら?ママにするなら?パパにするなら?繋ぐ手を揺らしながらいろんな質問を投げかけて遊びつつ)江坂くんも何かアピールしたかったらしてもいいですからね、フフフン。(いつの間にか幼女へのアピールタイムとなっていた時間も束の間。インフォメーションセンターで手を振りお別れまで、凸凹の背丈は横一列に並んで賑やかさに欠けなかったはず。)
秋吉かもめ 07/03 (Fri) 17:38 No.61
(宙ぶらりんになったママの称号には、お空の向こうから見守ってもらうこととして。迷子のお知らせが入る可能性も考慮し澄ましていた耳には明るい声が弾んで届いた。喜ぶ様を微笑ましく見てはいた、いたのだけれど。)おい、さすがにそれはやべえだ、……っふは、はは!ド直球な拒否じゃねえか。残念だったな、諦めろ。(まるで条件反射のように咎める内容の言葉を紡いでいた唇は最後の一音を発するその直前、こども特有の無邪気さを纏った一言によって急ブレーキがかかった。次いで沸き上がってきた笑い声をも素直に発してから、軽やかに彼の肩をぽんぽんと叩こう。オチが上手くついたなら、口元に刻まれた笑みをそのままに歩調を合わせ人混みをすり抜け進む。)……身長?肩車とかしたらまあ、秋吉よかいい景色は提供出来そうだけどな。お喋りすんならこっちのお兄ちゃんの方がいいだろ。(唐突なアピールタイムはいつの間にか彼への掩護射撃に早変わり。実際のところ彼主導で道中の会話は弾んでいたから、嘘偽りなどどこにもありはしなかったけれど。無事にスタッフへと少女を引き渡し控えめながらひらひらと手を振れば、満面の笑みと共に同じものが返ってきた。任務完了の報酬としては十分だった。「お前下にきょうだいとかいないんだっけ?」なんて雑談は帰路にて。旅立つ前の小さな出会いと別れの物語にエンドマークがそっと添えられた。)
江坂匡 07/03 (Fri) 22:00 No.64
name
color
pass
0文字