(清涼感求めた果て、タイムリミットは迫る)

(フードコートで着色料がふんだんに使用されているであろうソーダ味のアイスクリームとパイナップル味のそれの二段重ねを注文して受け取れば、タクシーに乗りそびれる訳にはいくまいと、集合時間の10分前に到着する生真面目さは健在。効きすぎた冷房も一歩外に出たなら、冷気奪って全身蝕む太陽を憎らし忌まわしげに見上げた。白いシャツには汗で染みを作って、手元のカップアイスも比例するように容赦なく溶けゆくけれど、)……乗るまでに食べきれるかな、これ。(容器の周囲に汗をかいた手元のそれを見遣る眉はハの字を象って、時計台に眸を投げた。まだまだ黄色の部分は果てしなく、水色に辿り着く気配はない。リミットは10分。一所懸命、一心不乱にスプーンは進む。)
巽志真 07/11 (Sat) 23:53 No.214
(数えきれぬほどの写真撮影にいくらかの食事とショッピング。空港に到着してからそれほど経っていないのに、少女のテンションの高さは初日とは思えぬ上がりよう。後に反動の疲れや酔いに苦しむかもしれない未来などまるで考えていない様子だ。そして気づけば瞬く間に近づく集合時間。早めに到着したのは意図しての事でなく、集合時間を10分ほど早めに勘違いしていたゆえの幸運だった。しかし、そんな自分と違って当たり前に既に其処で待機している少女を見つけ、小走りに駆け寄る。)志真!相変わらず早いわね、一番乗り……って、あらっ。(目に留まるのは、一心不乱にスプーンを進める二段重ねのアイスクリーム。)それ美味しそうね!どこで売ってるの?私も食べたいから、一っ走りして買ってくるわ。(たとえ集合時間1分前だろうが30秒前だろうがいけるだろうと過信して当然の如く滑り込みアウトになる少女だ。教えられたらすぐにでも突き進みそうな勢いにて、懸命に食事中の彼女に問いかける。)
御子柴ともり 07/12 (Sun) 03:51 No.217
(照りつける太陽に負けじと固形を保持したアイスに進むスプーンが漸く黄色をすべて舌の上に運んだ頃合い。脳髄介さずとも意味が直接理解に及ぶ言語から、耳馴染みの好い声から、その少女が双眸に映ることは想像に易かった。)ミコ。ミコもはやいやん。…こういうんは置いていかれたら地獄やから。言葉も拙いまんま、ヘルプミー、エクスキューズミー、を繰り返すん、想像しただけでサブイボ。みて。(アイスで冷えた故の産物をさも脳裡に浮かべた地獄絵図のせいにする口吻で、鳥肌たった左腕を擦った。問い掛けには反射的に「あっちのフードコート」と数百メートル先の目的地に指を向けるけれど、かちりと音を立てて時計台が時を刻む。正確にはそんな気がした、だけれども、)ま、  待って、ミコ。フラグでしかない。(先刻瞼裡に過ぎった絵面が、15分後まさしく現実になる予感がした。眉間の一本皺を深く刻んで、少女の細腕に自然腕が伸びた。)ソーダ味、好き?好きやったらこれ食べかけでごめんすぎるけど、あげる。好きやなかったら、別荘ついてから、近くのアイスクリーム屋さん一緒に探そ。な?(仲間がひとり足りない状況を想像しただけで随分肝と共に体躯がまるごと冷えたから、無遠慮に食べかけのカップを差し出すに至り、返答がNOであったときのための予防策も忘れじと。)
巽志真 07/12 (Sun) 18:51 No.224
時間を10分早く勘違いしてたのよね、知ってたらあと10分どこかで遊んだのに、なんだか悔しい。……そんなに?意外と置いていかれるのが一人じゃないかもしれないし、地獄かどうかは体験してみないと分からないじゃない?あーでも、そうね…外国はハードル高いかも…そういう時は翻訳アプリに頼ればどうにかなるわよ。…あ、電話で心に通訳してもらえば安泰ね。……うわ、(想像だけでサブいぼが出るのかと微妙に半信半疑だったが、アイスの効果もあって見事に左腕に広がる鳥肌に思わず感嘆めいた息を落とし。そしてフードコートと答えを得られたら、後は全力で走ってアイスを味わって出発するだけ――と、随分忙しない予定だが。)フラグ?そんなものへし折るわ!(しかし折れない鉄鋼のフラグの可能性が高かったので、腕を取られて引き留められたのは幸いだった。)大好き!…えっ、いいの?本当に?私は食べかけでも地面に落ちても気にしないから願ってもない話だけど…本当にべろっと平らげちゃうけど、いいのね?(再三の確認を重ねてから、GOサインが出ればスプーン片手に大口を開けて。)いただきます!(宣言通り、水色を勢いよく食べ出す少女だったが。)うっ…。(数秒と経たず頭痛に襲われるのはご愛敬。しかしそれに負けじと爽やかなソーダの味に舌つづみを打てば、瞬く間に山はぺたんこの地平に近づいてゆくだろう。)
御子柴ともり 07/13 (Mon) 19:26 No.234
その10分でわたしと出逢ったからラッキーっておもって。(幸運を自称する唇は胸裡に羞恥を渦巻かせたから、それ以上は続かず一文字に引き締めた。けれど、憶測から飛び出て経験せずとは物事を語れぬとする少女は、自身のリアリズムと掛け離れて見えたから純然たる好奇が掻き立てられたのも事実。)そうやってミコが言うんやったら何とかなるかもって思うから不思議。素敵。でも今はひとりにせんとって。(少女の細腕でへし折れるフラグの見立てには到底辿り着けず、引き止める口実はやけに寂しがりの如き口吻となった。そうして彼女が自身の手の内に残された水色を受け取ってくれたなら安堵に似た声音が喉元を擽る。)地面に落ちたんはあかん。地面あついからきっと秒で溶ける。──うん。ぺろっと平らげて。お願い。アイスも溶ける前に食べてもらえるんが、きっと本望。ど?美味しい?(GOサインのち、差し出したそれが少女の体躯を冷やしてくれたならご満悦とばかりにほんの僅か巽の眦も溶ける。きっとその頃には迎えのご立派なリムジンタクシーがエンジン音立てて、目の前に到着しただろう。)ちょうどお迎え来たで。ばっちり。そういえば部屋割りとかってどうなってるんやろな。聞いた?まだやんな?(そんな応酬を重ねながら、いの一番に開いたドアに乗り込んだなら「隣座ろ」の傲慢さも自然声音に乗った。アイスが縁を結んでくれたことを知るのはきっともう少しあとの話。)
巽志真 07/15 (Wed) 22:20 No.240
…そうね!勘違い様様だわ。勘違いバンザイ!(本来の時間通りに来ていたらこの一時も生まれなかった事を思えば、とんだ損失だと勢いよく首を縦に振りまくる。)ふふっ、でしょ?ありがとう!……もー!そんな可愛いこと言われたら一人にできるわけないじゃない。ううん、いっそもう一生ひとりにしないわ。(引き留める台詞の可愛らしさにハートを射抜かれ、気づけばプロポーズまがいの重たい一言まで飛び出す始末。そして託された水色は溶ける事すら許さぬとばかりに怒涛の勢いで少女の口に消えていく。)そっか、そうよね…!食べるにしても上の部分が限界だわ…。うん、とっても!これならあと5個ぐらいぺろっといけそう!(たぶん2個目の途中で腹を壊す未来が現実になろうが、後悔はしないだろう少女である。そうして口の端にアイスの名残を残したままリムジンタクシーを迎えるか。)ほんと、ぴったり一番乗り!これも志真がアイス分けてくれたからね、ありがとう。……あ、そういえば。現地についてから、適当なタイミングで発表されるとか?誰と一緒か、わくわくするわね。(言われるが早いか、開かれたドアから勧められるのとほとんど同時のタイミングで彼女の隣にちゃっかり腰を下ろし、その後も雑談が尽きないのは言わずもがな。さらに結ばれる縁を知って、大喜びでハイタッチを求めるのは少し先の未来。)
御子柴ともり 07/17 (Fri) 02:25 No.242
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