(はいさい、待ってて南の島。)

はっはっは!ここはどこだ!!(その男はどうしようもなく迷子であった。迷子のくせに明るい浮かれポンチは平生セレブ気取って頭に乗っけたままいるサングラスを、今にかぎって正しい用途でかけているから視界不良も併発。空港のフロアマップが全く見えない。はははと全てを笑い飛ばすのは、そうするしかなかったからである。)いやぁ~困ったね!どこかで腹ごしらえでもしたかったのだが。 なあ?(諦めて近くの共用椅子に腰掛ける。「キミもお腹が空いただろ?」―男が馴れ馴れしく声をかけているのはクラスメイトの一人。空港に到着し手荷物を預けるなり「行くぞ!」とその手近なクラスメイトを引っ掴んで、嫌がろうと何だろうと強制連行し連れ回したあげく迷子になった。チノパンのポッケに突っ込んでいた雑誌を取り出しては相変わらず黒い視界でどこのページを開いているかわからないままパラパラ…。)いやあ、僕はそれにしても、沖縄にパスポートが必要だなんて知らなかった!もしかして北海道に行く時も必要?(手にする雑誌の表紙にはでかでかと『沖縄の歩き方』。 この男の南の島はイコール沖縄。浮かれきって頭に飾ったハイビスカスも機嫌に合わせて揺れた。)
橘鷹銀河 07/01 (Wed) 21:21 No.19
……成田空港国際線、出発ロビーだよ。(対してこの男はどうしようもなく陰鬱だった。一足先に椅子へ座り、グラサンクラスメイトの横顔を見上げながらの返答はさて届いたか否か。海外でのバカンスの話を親に切り出した時点で珍しく好奇心にそそられる心地があったのは否めないが、滅多ない機会だからとトントン拍子に参加と相成り体感3秒程度で迎えた今日。搭乗準備を終えたと言うに「飛ぶのかな、飛行機……」と真っ青な快晴映すガラス窓を真っ青な顔で見遣った。無論理由は迷子ではない。)おれは今食べたら、緊張で離陸と同時にリバースしそうだよ。あ、まさか朝ごはんがまだ?レストラン街なら向こうで見た気がするけど。(墜落乗り物酔い治安その他エトセトラを心配するあまり心ここにあらずの状態で手を引かれてしまったから、彼の目的もたった今察した体たらく。徒行の最中見掛けたレストランエリアの方角をあっちと差した人差し指が、雑誌のTHE沖縄感にへにゃりとお膝に着地して、)ば、(――かなのか?と続けそうになった口を噤んだ。)橘鷹、パスポートが必要なのは海外に行くときでさ、沖縄にも北海道にも必要ないんだ。……つまり、(どういう事かお分かりいただけるだろうか。反応を待ちつつの追撃は曰く、)おれたち、今から4時間くらい空の上の人になるんだけど……、
奈尾秀実 07/01 (Wed) 23:04 No.23
なるほど!!キミはSiri並に優秀とみた!(湿っぽい即答に対し、どこまでも対照的なまま気楽を撒き笑ってみせて、無遠慮に顔面蒼白な同輩の肩を組む。手近なクラスメイトを引き込んだつもりであったが上の空でどこか鬱々とした彼が特に橘鷹の目についたのかもしれない。「バカンスだぞ腹の底から笑え!」は押し付けがましい遊戯論。)飛ばない飛行機などただの鉄だ、飛ぶさ!…もしやと思ったが、ほずみー、キミもしかして飛行機が初めてなのか?大丈夫!楽しいぞ!!なんなら僕が隣に座ろう!!音楽でも聞いてリラックスするといい!!(そうして差し出すイヤホン、流れる中森明菜のDESIRE。誓って悪気は微塵もない。)ああその通り、準備にばかり気を取られて朝食を忘れていた。(悪気はないから取り留めなく会話を続ける。言い当てられ多少の照れくささを孕み、腕組んで語り出す現状の原因は詳細さえ浮かれきっている有様であった。連行した少年が優秀なガイドとなる予感に双眸を輝かせると奈尾の手首掴む挙動はまた連れ回しがはじまる兆し、であるがしかし 神妙にはじまった解説に動きは止まる。)  な…… なにぃーーーーーーっ!?!?(衝撃の落雷。やっちまったなぁ!脳裏クールポコの到来。バサ……と手から沖縄のノウハウが詰まった書物が落ち、頭のハイビスカスもポトリ…。)ほずみー、それはつまり…僕たちは…沖縄には行かないのか…!?4時間かけてシーサーもいない外国へ…行くのか…!?
橘鷹銀河 07/02 (Thu) 17:47 No.39
おれは今橘鷹がSiriを使えてる事実に安心してるよ。あっちで迷って何かあったら事だしさ。(案じるべき要素が目の前に増えたとなれば眉間の皺は薄まらない。が、規格外の根明に当てられたかふ、と笑み漏らしての「バカンスじゃなくても笑ってるでしょ」は自己弁護ではなく相手への印象。)ただの鉄が飛ぶから怖いんだよ。初めてじゃないけど、前は偶々落ちなかっただけで今回がそうじゃないとは限らな、(会話のテンポに乗り切れず、言葉途中で聞こえたハスキーボイスに「ウワッッ」と声あげ反射でイヤホンを取り去った。飛行機より先に抱えた頭がまっさかさま。)…おまえ……。(恨みがましいまなざしで隣見上げるも、3ヶ月の付き合いでも悪気ないとは知れた話。元より怒りは持続しないから、「隣で4時間、静かにしていられる?」は気分転換要員としてのよすがと、この浮かれポンチを機内に放つのは危険と判断したがゆえの問い掛け。現実突きつける役目を担う重責が言葉を選び過ぎ、お察しください状態だった導入への杞憂が雄叫びによって消えたから一人勝手にスッキリした顔で、)まぁ、……豚肉の角煮みたいなのは食べられるかも知れないし、ハイビスカスもきっと似合う島だとは思うけど。シーサーは、そうだね。……もしかしたらサーライオンみたいなオブジェは、ある、かな……と良いな。(明らかにパチモン臭い名称が口をついだのは励ましの一環。雑誌と花とを拾い上げ、ついているかも分からぬ埃を静かに払った。)
奈尾秀実 07/03 (Fri) 17:25 No.60
そうか?お喋りは好きなんだ、Siriともいつもお喋りをしているぞ!すみません、よくわかりませんとしか返ってこないが。 ああ、その点なら大丈夫!僕は今まで数え切れんほど迷子になっているが誰かしらが交番まで届けてくれるのでな!(Siriにも相手にされぬ哀愁さえ明るく告げ、誇れない経歴を弁舌さわやかに。「確かに!楽しいからな!キミも笑えるじゃないか!」とその笑みを深くしようと無遠慮に奈尾の頬を伸ばす。)なんだただの怖がりか!飛行機事故は宝くじが当たる確率より低いと言うし、落ちたら富豪になれるということにならないか!?(極論というか暴論ともいえる説を悠々提唱する矢先恨みで湿った視線に気づき瞳をくりくり丸くする。)山口百恵派だったか?(だとしたら申し訳ないと口元を手の甲で覆うがそんなに尾を引く話題ではなかった。「公共の場では静かにするのがマナーだからな!」はなんの信憑性もなく理解しててもできるかどうかは別。ほずみーは4時間何がしたい?と問いかけはじめたあたり既に隣に着席する気満々。奈尾がスッキリした分橘鷹は肩を落としたがそれも瞬間のことで、)…本当に!?(並べられた励ましに分かりやすく元気を取り戻す。)サーライオン……聞いたことがない!是非会いたいしそいつの前で一緒に写真を撮ろう!!(パチモンライオンだって鵜呑みにする素直さで新たな目的地への意欲が沸いた。ありがとうと拾ってくれた雑誌と花を回収すれば、ハイビスカスは勝手に奈尾の頭に飾った。落ちたからいらないのではなく似合うと思ったからなので誓って悪気はない。捨ててくれても構わないものである。)ははは、これでキミも南の島じみたな!それじゃあ僕はご飯を食べに行くよ、また飛行機でな。機内で食べて良いものを沢山買ってくる!(いらぬ気遣いで張り切ってしまえば制止があろうと遠慮するなと聞く耳持たずに、浮かれポンチは空港にはばかる。)
橘鷹銀河 07/04 (Sat) 11:56 No.72
……橘鷹を助けないとって思う感覚、おれはまだ理解したくなかっ、ったたたたっ!(経歴に伏し目になったも一瞬、突如齎された頬への攻撃に思わず声音が高くなる。解放叶っても恨めしげな目で見つめつつ両指で両頬覆う仕草はぶりっ子めいて遣る瀬無いが、ガード優先につき暫しそのまま。)否定は出来ないけど。何でも最悪の事態想定しておいたら何かあっても心構えが出来てるでしょ。おれは富豪になれなくてもいいから落ちたくないな…。(暴論受け入れた上で無事を祈る双眸は真っ青な空を映す。よく言うよとため息交じりに笑った後、「橘鷹の音楽の趣味についてインタビューしようかな。」「DESIREを歌った瞬間耳栓するけど。」と連ねよう。)……たぶん、(ないんじゃないかな、とは続けられず、真意とは裏腹に肯定になった相槌。再び肩落とさせるのは今じゃなくても良いだろうとの甘えで曖昧に笑った。)うん、それに限定しなくても、きっとフォトスポットだってたくさんあるだろうしね。おれも探しておく。(ただの嘘つきにはなりたくない自己保身はあれ、気軽な誘いは純粋に嬉しくもあったからこその申し出だった。亜麻色の髪を彩る花は生憎視界には入らないが、形から入る姿勢を今くらいは真似てもいいか。)搭乗時間にはちゃんと戻って来てよ。(見送る際に投げた台詞は懸念ゆえだがどうにも座りが悪かったから、)あと人にぶつかる前にサングラスは取りな。(万が一を心配して助言を引っ付けた。雪解け間近でも一人きりでもないけれど、いい日旅立ち。サーライオンをさがしに?)
奈尾秀実 07/06 (Mon) 21:03 No.119
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