(海外の太陽は力強い説。)

(数時間の空旅は睡眠時間と成り代わり、次に瞼を押し上げたその時は既に異国の地であった。額に滲む汗を指先で拭うけれど、その指先すら常々とは異なって映る程には取り囲むすべてが真新しく息を呑む。陽光が容赦なく照りつけることを今更知ることとなり、遮光を求めて手頃な価格のショップに爪先を向けた。棚に飾られた多種多様のサングラスをたったひとつに絞ることはじつに難解で、涼しさ気取っていたかんばせは汗と共に剥がれ落ちた。度のない眼鏡を外してシャツに引っ掛ければ、とりわけ拘り持たぬ指先は某映画の殺人アンドロイドの如き真っ黒のシンプルな四角縁を摘む。)I'll be back──……。………いかつすぎか?(静かにごちて鏡に映る自身を眺め入れば、たとえ他人の気配が近付こうとも未だ知る由はない。)
巽志真 07/07 (Tue) 20:45 No.136
(友人の言った通り、4時間ほど空の人となった。飛行機で窓際を陣取り景色や機内食にはしゃぎ倒して、隣に座るクラスメイトにウザ絡みをし……。それまでは、空にいるだけに天国の心地を味わっていたのだ。それまでは。)はっはっは!さすがに危なかった!!!(入国審査で送還されかけた。英語が聞けず喋れず全て「イェー!」で通そうとし、入国審査官をイラつかせ瀬戸際を渡ったくせ、第一声に緊張感がないのは陽気さ10割増しのせい。助言を想起してサングラスはかっこつけて頭に乗っけたまま、与えられた1時間は日本と空気の味が違うここに慣れるための時間。)……ん?(南の島じゃなくても学校だろうとサングラスを着用してくる男、勿論とばかりに爪先を向けたショップ。鏡越しに見知った姿を見留めると背後から歩み寄り)おお、似合うじゃないか!溶鉱炉に沈んでもおかしくないぐらいには!少し近寄りがたいがね!(鏡に映る巽にずいっと無遠慮に顔を寄せれば、彼女の顔横に自然と顔貌が並ぶ。陳列するサングラスから丸いフレームのものを食指が選び取り)どうだろう巽、似合うか!(いつの間にかサングラスファッションショー。頭上の私物サングラスと装着した商品のサングラス。贅沢。)
橘鷹銀河 07/07 (Tue) 22:50 No.139
イェー。(黒の奥で喫驚に瞬いた紫の眸は、知っていた。入国審査で約1名、非常に手こずったことを。意味を持つかすら怪しい掛け声で乗り切ろうとしていたことを。端的に揶揄う意地の悪さが育んだ瞳に携える喜悦は、サングラス通して隠す心算だ。だからこそ、似合わぬ3字を舌先にかろく乗せた。)人間がなんで泣くんか、わたしにも分かりそう?──それでも橘鷹は近寄ってきてくれんねんなあ。(隣に並んだ背の高い少年のかんばせを仰ぎ見て自然肩を竦めたのは、人好きのする少年への純然たる賞賛に似ている。彼の指先の選択を眼差しで結末まで追いかけては、贅沢遣いに訝しむ店員の相好になどには目もくれてやらなかった。)似合う。ふたつつけて、浮かれポンチっぽいんが最高に。こっちもええんちゃう。そんままもういっこ。ラッパーっぽい。オシャレ。(ちゃちな仕様ではなくスタイリッシュがテーマであろう星形のピンクのレンズをとんとんと静かに示しては調子良く、自身のシュワルツェネッガーはそっと指先で外して平素の黒縁眼鏡を定位置に戻す。そうして、脳裡過ぎったのは先刻宣った職業の一種から、)入国手前で 銃口向けられ わたしたち あそこでバイバイ だがしかし アッパレ再会。(リズミカルに韻を踏む茶々入れが喉元を潜った。)
巽志真 07/08 (Wed) 22:36 No.166
む!そうきたか!いかつい外国人に個室に連れて行かれそうになる所もやるか!?(サングラスの向こうにある瞳の色は知れずとも、つい先刻の橘鷹を揶揄う意図を察知するのは容易い。だからと言って機嫌を損ねるわけでもなく笑い事にしながら恥の再現だって提案できた。)ああ、分かりすぎてボディービルダーデビューをするかもしれないし、州知事にだってなれるかもしれん! まあな、僕は巽がボディービルダーの肩メロンになっても近寄ると思うぞ。(持ちうるシュワ知識をフル動員させる最中に真っ黒いレンズ越しの視線がこちらに向いている気がして、デリカシーに欠ける仮定を勝手に浮かべながらかち合ってるかどうかもわからない双眸を巽に向けた。)ははは 似合うかそうか、ありがとう!―お、確かにそちらも良い。ナイトプールにかけてくようなプラスチックフレームじゃないのがいいね!(彼女の食指が示した星形にひどく心が惹かれた。今どきのラッパーはこんなサングラスをするのかと巽に問おうと手に取りながら、今度はよく見える紫の双眸と視線を合わせた折)……天才か!?(茶々入れよりも瞬時に踏まれたライムに瞠目し頬を紅潮させた。)キミはタツミー、僕は成金のむすKOー、コールスロー、HEY Yo ………難しいな………。(挫折の入口に辿り着くまでの所要時間わずか3秒。星形サングラスに加護はない。)
橘鷹銀河 07/09 (Thu) 23:49 No.184
そうして終ぞ橘鷹が別室から戻ることはなかった──…ってナレーションせんで済んで良かったな、ほんまに。(沸き起こる感情に冷静の仮面はメッキ剥がれて唇が歪にゆがむ。けれど旅の出だしから仲間を欠くのは不本意で、「そうなってたらさすがに助け舟出したけどな」と本音が唇を割った。)州知事か、わたし人様のバッシングの矛先にはなりたくないから、ボディービルダーのほうがええな。…どう?これでも近寄れそ?(真剣を絵に書いたようなかんばせでTシャツの袖口に掌を両側差し込んで、肩幅を増強したならメロンとまでいかずとも肩マンゴーくらいにはなっただろうか。)ナイトプール?…あのバエスポット?そういうとこやと皆つけてんの?(少年の瞼裡に浮かんだであろう情景は薄ぼんやりとして輪郭を持たなかったからこそ、眉のあいだの一本の皺と共に純然たる疑問符を。して、ラッパーのような陽気さなど介さぬ相貌とそれに反した口吻とはいえ、賞賛得られたならしたり顔は隠せそうもない。)いくらでも褒めて。……ふ、(たとえ韻を踏んでなかろうと、星型サングラスがよく似合う少年の姿かたちは百点満点として映じたから。終ぞ唇の隙間から笑みが呼気と共に溢れて、)なんでコールスロー?ハンデほ~らどうぞ。(少年の耳に引っ掛かった侭のサングラスに人差し指をとんと小突いて”ハンデ”の解を説いては、そのサングラスのご加護を願わんと。「それ買う?わたしに似合うんも選んで。」と金髪の店員の視線に負けたらしい少女は、今度こそ肩を竦めて少年のセンスを強請る心算だ。)
巽志真 07/11 (Sat) 21:44 No.208
ははは 本当にな!『みんな、橘鷹の分まで俺たちが楽しもう―…』と団結のダシにされかねなかった!心から良かったと思うよ!(口調は朗らかだがあまり明るく言うような内容でもない部分は置いておいて、口の歪みに似合わぬ心根を垣間見れば口角が持ち上がる。「巽が代わりにハイタッチを試みてくれたか?」と橘鷹が思い描くと舟はどうしたって泥舟。)そうか?割と打たれ弱い一面でも?僕は着られる服がなさそうだし州知事の方が良いな。 …おお!一気に強そうだ!…う~~~ん、ぶつかったら痛そうだしやはり近寄るのはやめておこうか。(新鮮な肩マンゴーを目にして思案顔。顎に手を当て導き出した結論は掌返しも甚だしいものだったが、半分冗談である。)ああ、つけている!と思う!ナイトプールは夜だが眩しいだろうからな!(つまりはイメージ先行、つまりは偏見。巽の眉間の皺はほぼ刻ませ損であった。)…何故だかは僕にもわからない…咄嗟に口から出ていたんだ…。難しいな、次から次へとポンポン韻を踏まなければいけないというのは…。(腕を組み真面目に考え始める始末なのに少女のライムはどこまでも軽やかだ。どうやら再び踏んでいる気配を感じつつ「キミは本当に凄いな…」の称賛も再び。示されたハンデにそう言われたらと口角にはやる気の笑みが滲んで、)買うに決まっているだろう!(やはり加護にするには自分の所有にしてから。強請られたなら「仕方がないなあ!」の満更じゃない感さえ隠さず、店中のサングラスを巽に試させる勢いだった。)
橘鷹銀河 07/12 (Sun) 23:33 No.231
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